ネタバレなしの書評 / 本のあれこれ

愛の名のもとに信念を貫く容疑者。

ご来訪に感謝。

ところで、こんなことを思う時がないだろうか?

  • これぞミステリーを味わいたい。
  • ガリレオシリーズに興味がある。
  • 献身に興味がある。

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』だ。

容疑者Xの献身』は僕を、切ない愛に生きた容疑者の献身を、頼んでもいないのに見せてくれる。

 

あらすじ

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

 『東野圭吾』とは...

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1985年 - 『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞。

1999年 - 『秘密』で第120回直木三十五賞候補、第20回吉川英治文学新人賞候補、第52回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。

2006年 - 『容疑者Xの献身』第134回直木三十五賞を受賞、第3回本屋大賞4位、第6回本格ミステリ大賞(小説部門)を受賞。

2008年 - 『流星の絆』で第43回新風賞を受賞。

2012年 - 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で第7回中央公論文芸賞を受賞。

2013年 - 『夢幻花』で第26回柴田錬三郎賞を受賞。

2014年 - 『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

『容疑者Xの献身』とは...

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容疑者Xのぶれない愛が生んだ本格ミステリ。

 

難解なミステリ。

『容疑者Xの献身』はガリレオシリーズの3作目にあたる。

 

シリーズ未読だったので、実に面白い、全然言わないなぁ、実に面白くないのかなぁ、と思っていたが、実に面白いミステリーだった。

 
白夜行』しかり、『手紙』しかり、東野圭吾は人を描き、その複雑で捉えきれない心情をもミステリーにして読み手に投げかける。


容疑者Ⅹの献身で投げかけられたミステリーは、難解だ。

トリックもそうだし、容疑者Xの心の中も。

 

容疑者Xという存在。

不可解なトリック。

探偵役ガリレオの登場。

加害者たちの不安。

 
本格ミステリーのセオリーを踏襲しつつも、それに加わる容疑者Xという存在。

 
僕は容疑者Xをずっと見ていた。

けれども、終盤まで彼の真意と計画がわからなかった。

 
それもそのはずだ。

僕は彼の曲げようとしても曲がらない信念を感じ取れなかったから。

 
一見、奇妙に見えた容疑者Xの行動の全てはある行動理念から成り立っていた。

 
愛する人を守りたい、愛さなくていいから。

それはまさに献身だ。

 
けれど最後の最後で彼はミスを犯した。

それは人の心である。

 

小説家『太宰治』は言った。

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 献身とは、ただ、やたらに絶望的な感傷でわが身を殺す事では決してない。献身とは、わが身を、最も華やかに永遠に生かす事である。人間は、この純粋の献身に依(よ)ってのみ不滅である。

 

容疑者Xの献身に息をのんだ一冊だった。