愛という名の犯罪。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • これぞミステリーを味わいたい。
  • ガリレオシリーズに興味がある。
  • 献身に興味がある。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』だ。

 

あらすじ

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

容疑者Xの献身

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とても魅力的な人なんだけれど、クラスメイトだったら友達にはならないであろうタイプの人間がいる。

 

惹かれる部分はあるけれど、実際会ったらめんどくさそう。フランスの哲学者の本を熱心に語ってきそうベートーベンの素晴らしさを原稿用紙5枚分ぐらい語ってきそう蟻を見てこの世の儚さを憂いてそう。いや、別にいいんだけれども。

 

そういうタイプの人間。

容疑者Xも僕にとってそういうタイプの人間だ。偏見かもしれないが、頭のいい人によくある独特な雰囲気を持っていて近寄りがたい。けれど人として尊敬できる部分、惹かれてしまう部分があるのも事実である

 

そんな彼は犯罪に関わったどころか、犯罪を行った。許されることではないし、生まれ変わったらカマドウマにでもなればいいと思う。

 

のっぴきならない理由。

だがそれにはのっぴきならない理由があった

 

彼を動かす原動力である愛。僕が思っているよりも、きっと大きいであろう愛。彼は自分を救ってくれたその愛に動かされたのだ。

 

一切の躊躇がない。

だからこそ、彼の行動には一切の躊躇がない。「生まれた時からこの計画を企てていました」と言わんばかりだ。そんな奴、生まれた時からやり直してしまえ

 

その揺るぎのない信念に僕の心の奥底にある湖が静かに震えた。もしも大切な人が間違いを起こしてしまった時、迷いなく同じような行動がとれるだろうか。

 

僕ならきっと迷いの森をさまよい続け、自首するか、隠蔽するか、最後の最後までよくわからないまま、結果的に大切な人を傷つけてしまうかもしれない

 

正しいことではない。

もちろん容疑者Xのしたことは正しいことではないと思う。けれど、そこには愛する人を守るための真っすぐな気持ちがある

 

その愛はガリレオと大切な人と僕の心を、鞭となってビシバシ打ち付けていく。

 

 
痛い。
 

 

何かしているX。

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容疑者Xは頭がいい。しかも行動力がある。犯罪者エリートクラスがあれば上位の成績で卒業も夢ではないだろう。

 

だが、容疑者Xは一体何をしているのだろうか。なんだかよくわからない。でも何かをしている。

 

それが全て繋がった時、僕は彼の愛が思っていたよりも大きくて、狭いマンションでは引っ越し屋さんも部屋に搬入するのに困ってしまうものだということに気づいた。そして全てが明るみに出た時、容疑者Xは完全犯罪への道へとまっしぐらに進んでいく

 

ところが。

ところが、ガリレオという介入者が現れる。容疑者Xの気持ちに浸っていた僕は、ガリレオよ、余計なことをするではない、と思っていたが無駄だった。彼は余計なことをするために生まれてきた

 

なんて奴なんだ。

なんて奴なんだ、とは思ったが、それで容疑者Xの愛する人の気持ちは少しだけ安らいだような気がする。彼女がどういう気持ちで容疑者Xの献身を受けていたのか、その全貌はわからないけれど。

 

ガリレオはきっと、このままでは駄目だ、と感じていたのだろう。容疑者Xに同情をしていたのかもしれない。それは優しさとかではなくて、ガリレオの信念のようなものだったのだと思う。

 

 
それは何より強い信念だ。
 

 

最愛。

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奇妙に見えた容疑者Xの行動。

その全てはある理念から成り立っていた


愛する人を守りたい、愛さなくていいから

それはまさに献身だ。

 
けれど最後の最後で彼はミスを犯した

それは人の心である

 

彼はそれを読めなかったのだ。

 

 
まぁ、ガリレオのせいな気もするけれど。