ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
- パラレルワールドを体験したい。
- 京都へ行きたい。
- 四畳半で暮らしたい。
ちょうどよかった。
そんな人にオススメの小説がある。
森見登美彦さんの『四畳半神話大系』だ。
『四畳半神話大系』は、冴えない四畳半の世界へ、頼んでもいないのに連れて行ってくれる。
私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。(「BOOK」データベースより)
『森見登美彦』とは...
森見登美彦さんは1979年1月6日生まれ。
2003年 - 『太陽の塔』で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞。
2007年 - 『夜は短し歩けよ乙女』で第20回山本周五郎賞を受賞。
2010年 - 『ペンギン・ハイウェイ』で第31回日本SF大賞を受賞。
2014年 - 『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞を受賞。
2017年 - 『夜行』で第7回広島本大賞を受賞。
2019年 - 『熱帯』で第6回高校生直木賞を受賞。
『四畳半神話大系』とは...
『四畳半神話大系』は冴えない大学生が4つの平行世界をさまよう青春小説。
4つの平行世界が新しい。
人生に失敗はつきものである。
あの時、ああしておけば良かった...
あの時、ああしていればどうなっていたのだろう...
あの時、あんなことするんじゃなかった...
時間を戻したい、やり直したい、ジャニーズ系に生まれ変わりたい。
そんな思いに駆られることが、僕には度々ある。
寝る前に、戻れ、と願いながら布団に入るが、時間は無情にも進んでいく。
朝になって、日付戻っていないかなぁ、と思っても全然戻っていない。
努力は必ず報われる、というのは嘘なのだと思う。
けれど、あの時、違う選択をした自分はどうなるのだろうか。
どこへ行ってしまうのだろうか。
ふとそんな疑問を抱き、言い知れぬ不安感に身をゆだねる時がある。
本作はそんな疑問に答えた4つの平行世界の物語。
読み始めた時、僕はきちんと『4つの平行世界』の意味とシステムを把握していなかった。
読んでいけばわかるだろう、と高を括った。
そんな僕が2話目を読み始めた衝撃は言葉に出来ない。
あー、そういうことか。
小説ってこういうのもアリなのか。
それほど沢山の小説を読んできたわけではないが、僕の中で新境地というか、新しいし面白い試みだなぁ、とまだ見ぬ新世界への入り口に立った気分になった。
四畳半で僕は踊る。
主人公はやはり、森見作品らしい主人公。
ビルの上から見下ろした交差点にいても森見作品の主人公だとわかることだろう。
そんな主人公が4つの平行世界を舞台に駆け巡る姿は、勇者のようである。
所々リンクする平行世界
共通するワードや、避けられない出来事や事象。
そして主人公の転機となるワード。
平行世界だからこそのギミック溢れた面白みが僕を躍らせる。
それにしても主人公の転機ワードは、なぜあれになったのか。
絶妙なチョイスに憧憬の念を抱いた。
アメリカのミュージシャン『ボブ・ディラン』は言った。
他人にとっての神話と、ぼく自身にとっての神話とは別のものさ。
神話のような一冊だった。