風味豊かで甘い恋愛。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • とにかく恋愛がしたい。
  • 美しい文章に酔いしれたい。
  • 長編は苦手だ、短編がいい。

 

ちょうどよかった。
そんな人にオススメの小説がある。

山田詠美さんの『風味絶佳』だ

 

あらすじ

「甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから」70を超えてもグランマは現役ぶりを発揮する。20年目のマイルストーン的作品集。(「BOOK」データベースより)

 

 風味絶佳

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文章たちに甘くとろけてしまい、僕はチョコレートなのかもしれない、体臭がカカオになってないかしらん、と不安に駆られる。この甘さは癖になる

 

山田詠美さんにしか書けない。

本作は文章の技術もそうだが、山田詠美さんにしか書けないし、生まれてこない芸術作品である。

 

その甘美な世界観は、僕の全発想力をもってしても出てきてくれはしない。僕は死ぬまで山田詠美さんにはなれない。いや、当たり前だけれども。

 

女性視点の表現。

とくに女性視点の表現が素晴らしい。僕は男性なのでわかりかねる部分があるのかもしれない。

 

だとしても、その文章や情景は僕の心の片隅に、ひょい、と椅子を置いて座りだす。目をつぶると、そいつらが心の中を駆け巡る。ああ、なんという夢心地

 

 
本当に美しいものは、理解できなくても感じればいいのだ。
 

 

癖になる。

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本作は、全てが前菜のようでもあり、メインディッシュのような複雑な食感を味わえる。それは香り豊かで、噛めば噛むほどに味わい深い

 

アトリエ。

アトリエ、という物語がある。

 

甘味やしょっぱさもあり、バランスのよい物語だと思っていた。が、冒頭でそっとばら撒いていたスパイスが、忘れた頃に喉元へ駆けあがってくる

 

ぎゃああ!

苦みのような、辛みのような刺激に、ぎゃああ!と驚嘆めいたものを吐き出してしまった。

 

なのに癖になるお味。また通いたくなる国籍不明な店員がいるタイ料理専門店のような中毒性

 

 
何度でも食べたくなるような物語だった。