芸能界の暗闇に照らされる。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 芸能界って大変そう。
  • アイドルが書いた小説が読んでみたい。
  • NEWSはやはり加藤シゲアキ一択。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

加藤シゲアキさんの『ピンクとグレー』だ。

 

あらすじ

大阪から横浜へ越してきた小学生の大貴は、マンションで同い年の真吾と出会う。性格は全く違う2人だったが惹かれあい、親友に。やがて高校生になった2人は、雑誌の読者モデルをきっかけに芸能活動をスタート。同居も始めるが、真吾だけがスターダムを駆け上がっていくことで2人の仲は決裂してしまうが…。ステージという世界の魔法、幻想に魅入られた幼なじみの2人の青年の愛と孤独を鮮やかに描いた、切ない青春小説。(「BOOK」データベースより)

 

  ピンクとグレー

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小説とは、女心と同じように難しいものである。いざ書いてみると、話がどこか遠くの空へと昇って行って、もう帰ってくることはない。

 

僕も一度小説を書いたことがあるが、話がどこへ向かっていくのか、コロコロ坂道を転がりどこかへと行ってしまう。いくら本が好き、書くのが好き、と言えども簡単に書けるものではないのだ。

 

だからこそ、僕は本作が心配で心配で、2日に1度しか熟睡することができなかった

 

ところがいざ読むと。

ところがいざ読むと、それは完全な小説。アイドルを甘く見ていた、という先入観はあったが、アイドル活動が忙しい最中、ここまでのものが出来上がるとは思っていなかったのだ。

 

過去と現在を織り交ぜる手法。

アイドルらしからぬ、文章に滲む重厚感。

ダークな雰囲気。

 

どの角度から見ても、素晴らしい世界観が描かれている。芸能界にいるからこそ見える世界だ。

 

 
アイドル、加藤シゲアキの見方が180度変わってしまった。
 

 

芸能界の光と闇にクラクラする。

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本作には芸能人であるが故の苦しみが、いたる所に転がっていて足の踏み場もない。僕は恐ろしさで身震いし、それを拾い上げることが出来ず、呆然とそれを眺めていた。

 

蝕んでいく。

茫然と眺めていたそれは、2人の芸能人を蝕んでいく。

気づかない内に芸能界の扉を通過していた大貴と慎吾

 
やがて2人はそれぞれ違う芸能界の光と闇を垣間見る。それは金の匂いや、闇の香りがするものではなく、もっと精神的なもの。けれども、きっとそれが一番怖い。

 

自分はどうあるべきなのか。

芸能人としての自分はどうあるべきなのか、という迷い。

自分以外の影響で、自分が自分ではなくなっていく恐怖。

そうでなくてはいけないという葛藤。

 
ただただ燦然と輝いて見える芸能界だったが、それだけではなかった。そういう煩悶を越えて、芸能人たちは輝いているのかもしれない。

 

 
現役アイドルがこういう小説を書くというのは衝撃的だった。