人生を変えた出会いと水墨画。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 水墨画に挑戦してみたい。
  • 新しい何かに出会いたい。
  • 線に、僕を描いてもらいたい。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

 砥上 裕將さんの『線は、僕を描く』だ。 

 

あらすじ

 水墨画という「線」の芸術が、深い悲しみの中に生きる「僕」を救う。第59回メフィスト賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

線は、僕を描く

f:id:s-utage:20210217222415j:plain

 

ミステリー系が多いメフィスト賞で、こういった小説が受賞するのは意外である。

 

僕は読む前、ほとんど情報やあらすじを見ない。ただメフィスト賞受賞作というのは知っていた。なので読んでいる途中で、誰か死ぬのかな、誰が死ぬんだろう、と不謹慎なことを頭に浮かべていた。

 

結局作中では誰も死ななかった。それはそうだ、これはミステリーではなかったのだから。

 

水墨画の物語。

本作は水墨画の物語である。僕は今まで生きてきて水墨画に出会うことが一度もなかった。だからこそ、水墨画の世界が衝撃的に映る。なんて奥行きのある世界なのだろうか。

 

これもひとえに、筆者の経験者であるが故の描写力の賜物だろう。素人の僕でさえも、わかりやすく、感じやすい表現。描く人によって、こんなにも違いがあるものなのか、と感嘆する。

 

もったいない人生。

もし本作を見ていなければ、今後の人生で水墨画に注目することは無かったと思う。

もったいない人生をおくるところだった。

 

 
危ない、危ない。
  

 

 水墨画が人生を変える。

f:id:s-utage:20210217222323j:plain

水墨画は難しく、果てのない道が広がっている。どこまで行けば果てがあるのか、全く見えないし、わからない。

 

どんなに本気で取り掛かろうが、橋本環奈さんのように1000年に1度の才能があったとしても、上手く描ける保証がない。

 

納得できるレベルに達することすら難しい。僕が今からやってみたとしても、100年ぐらい経たないと、納得できるものが描けないかもしれない。石仮面を被るしかない

 

それを1年で。

主人公、青山霜介は、それを1年でやってのけた。すごい才能だ。いや、違う、すごい努力である。

 

彼には過去がある。人生に多大な影響を及ぼしてしまった過去。それは彼をいつの日か食いつくそうとしているかのようだった。

 

出会えた。

だが、水墨画に出会えた。

それは唐突な出会いだったけれど、出会うべくして出会えた運命のような出会いだ。

 

水墨画と向き合うことで、彼は人生とも向き合う。それは自分自身はもちろんのこと、物語に深みを与え、彼と水墨画の魅力を存分に引き出していく。

 

水墨画とはこんなにも素晴らしいアートなのか。圧倒される迫力と繊細な技術。そして描く者の熱量。それは僕の心にジワリとした興奮を与えた。

 

 

彼の出会いは水墨画だけではない。水墨画に関わる人たちとの出会いもあった。それは水墨画と同じように彼の財産となっていくことだろう。いい人たちに出会えて、本当にラッキーな奴である。

 

 
僕もこれからは、些細な出会いでも大切にしようと思う。