誰でもない人に。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 東京に出てビッグになりたい。
  • 将来社長になるんだ。
  • 就活に不安を感じる。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

朝井 リョウさんの『何者』だ。

 

あらすじ

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから―。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて…。直木賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

何者

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人間は何者かになろうとする傾向が強いと感じる。未来の自分に対して期待をしているのだ

 

その何者かは、尊敬する人や偉業を成し遂げた人など具体的な人物だったり。東京でビッグになるとか、将来社長になるとか、漠然とした目標であったりする。

 

僕自身も、いつか今よりも遥か高い位置に存在する何者かになれるのではないか、という淡い希望を抱いたりした時もある。

 

ところが現実は。

ところが現実は、重く漬物石のように押さえつけられ、必死に耐えているのが精いっぱいなのが現状。何者にもなれないことを知り、ただ途方に暮れるばかりだ

 

未来に期待をよせている。

本作の登場人物たちも、何者かになれると信じ、未来に期待をよせている。僕のように甘い角砂糖のような考え方の人もいれば、泥水の中を必死にもがいている人、雰囲気だけは、何者かになれる感たっぷりの人もいる。

 

ほとんど角砂糖で出来ている僕は、本作を読み、「はあっ!」と驚嘆の声をあげた。

 

単純なことだけれど、多くの人がわかっていない事実を頭に叩きつけられたようで、頭蓋骨が未だにぷるぷる震えている。

 

 
何者への道は、簡単には通れない獣道のようだ。
 

 

キラキラと偉大なる就活生。

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僕は就活の経験がない。なので周りの人が愚痴っていたり、忙しそうにしていると、大変だね、と他人事のような気持ちで、それを眺めていた。

 

具体的な大変さを知らなかったからだ

 

就活。

本作は就活という、人生を決めるかもしれない一大イベントに焦点をあてている。

 

企業へ行ったり、面接したり、空いた時間は企業を調べたり、面接練習や情報交換。こんなにもやるべきことが多く、忙しいものなのかと、何だか申し訳ない気持ちになった。TwitterなどのSNSも活用しているのには、時代の波を感じてしまう。

 

目をそらしてしまう。

そういう必死さを体験してこなかった僕には、就活生が眩しく偉大な存在に見えた。思わず目をそらしてしまう。

 

生きる、ということは必死になること

何者かになるには必死になるしか方法がないこと

 

 
そんなことを本作は、僕に厳しく教えてくれた。