2人だけの真実。

ご来訪に感謝。

ところで、こんなことを思う時がないだろうか?

 

  • なんだかよく騙される。
  • 影に魅力を感じる。
  • 読み応えのあるミステリーが読みたい。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

道尾 秀介さんの『シャドウ』だ。

あらすじ

人は、死んだらどうなるの?―いなくなって、それだけなの―。その会話から三年後、凰介の母は病死した。父と二人だけの生活が始まって数日後、幼馴染みの母親が自殺したのを皮切りに、次々と不幸が…。父とのささやかな幸せを願う小学五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは?いま最も注目される俊英が放つ、巧緻に描かれた傑作。本格ミステリ大賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 シャドウ

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女性は影のある人が好き、という噂を聞いた。

本作を読めば、僕も影のある男になれるだろうか。

なんと言っても表題が『シャドウ』なのだから効果抜群のはずだ。

 

そんなヨコシマすぎてもはや縦なのではないか、という疑問を抱きながらも読んでみると、たしかに登場人物たちにはそれぞれの影がある。

 
秘められた想いと企みは、嫌がらせの」うに登場人物たちを苦しめていく。

でも僕はそれに気づかけない。

気づかない。

悲劇はとっくの昔から始まっていたというのに。

 
次第に明るみになる数々の傷。

それが今こじ開けられていく。

 

 どんどんでんでん返し。

ミステリー小説にはどんでん返しという手法がある。

人間の思い込み機能を巧みに利用し、惑わせるのだ。

 
ああ、これはこうなのかもしれないな。

これは伏線っぽいな。

この事件はこうだな。

 
読んでいる最中の僕の頭はフル稼働だ。

もっと違うことにフル稼働させてほしいとよく言われる。

 
ところが、だ。

 
こうだと思っていたことが、実は違っていて、さらには新た事実が発覚して、こうくるのか、と思えば違う展開になって、こうみせてこうか、と思えば違っていた。

こうではない、そうか、あれだったのか。

で、どれ?

 
思考回路がショート寸前だ。

この小説のプロットが一体どうなっているのか、気になる。

 

世界は子供にも容赦がない。

 

僕の母はまだ生きている。

遠く離れた場所でくらしているが、たまに電話をしたり、食べ物などを送ってきたりしてくれてありがたい存在だ。

 

なので幼い頃に母を亡くした凰介の気持ちは完全にはわからない。

ただ、ものすごい衝撃であったことだろう、と想像を膨らますばかりだ。

 

だからこそ、父と2人で暮らす凰介は誰よりも幸せを願っていた。

なのに、世界は凰介に鞭をあたえる。

まだ小学生なんだぞ、と僕が怒りを振りまいても鞭は止まらない。

 

緊迫した展開と疑惑。

次々におこってしまう謎と事件は凰介に容赦がない。

 

小学生が背負うには重すぎる真実は、僕の想像を絶するほどに過酷だった。

 

けれど凰介は強かった。

幸せは自分で掴むものなのだと知っていたのかもしれない。

 

勘違い。

そういえば影のある男になろうとして読んだ本作。

結局登場人物たちの影が重すぎて抱えきれなかったので、影はそこら辺に捨てておくことにする。

グッバイ影。

 
で、勘違いをしていたのだが、『シャドウ』は登場人物たちにまとわりつく影のことではなかった。

僕は勘違いクソ野郎だったのだ。

 
それがわかっていたら、もう少し疑うことができたかもしれないが、後の祭りである、

 
そうか。

あの人物はずっとシャドウを演じていたのか。