どんな名医にも治せやしない不治の病。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 病にかかったみたいだ、恋っていうんだ。
  • 猟奇的であれば猟奇的であるほど興奮するんだ。
  • 最近びっくりしていないな。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

我孫子武丸さんの『殺戮にいたる病』だ。

 

あらすじ

東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるシリアルキラーが出現した。くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇、平凡な中流家庭の孕む病理を鮮烈無比に抉る問題作!(「BOOK」データベースより)

 

殺戮にいたる病

f:id:s-utage:20210329144615j:plain

ここで質問をしたいと思う。グロいのダメな方はおられるだろうか?もし「ダメ!」友達が悪い連中とつるむようになったのを止められるような覚悟の強さがあるのであれば、本作を読むのは即刻諦めたほうがいいかもしれない。

 

本作は毒である。

耐性がない人にとって、本作は毒である。シリアルキラー、蒲生稔が巻き起こす数々の事件は猛毒。現代社会をぶち壊す兵器になるかもしれない

 

筆者は僕らに何を見せつけようとしているのか。当初、それが判然とせず戸惑うこともあった。

 

その毒がやがて漢方となり。

しかし、その毒がやがて漢方となり、病が癖になっていく。

 

毒に浸かりすぎて、麻痺した可能性もあるあるし、僕がど変態だった可能性もあるが、こうもグロいとそれほど気にもならなくなってしまった。友達が1人もいなくても気にならない

 
そんなグロさの先にある、蒲生稔の愛と猟奇性は、少しの揺らぎもない。それをしなければ地球が滅亡してしまうかのように、彼の猟奇性は止まることを知らない。

 

 
吐き気をもよおすような残虐生は、まさに殺戮にいたる病だ。
 

 

もう1つの物語。

f:id:s-utage:20210329152449j:plain

シリアルキラー、蒲生稔。とんでもない人間がいたものだ、と憤懣やる方ないのだが、怒っているのは僕だけではない。

 

他に2人の人物が、彼に疑惑と怒りを寄せている。

 

インタビュアーであれば。

恐ろしい疑惑に苦悩する女。

蒲生稔に殺された姉をもつ妹と、共に犯人を追う男。

 
僕がインタビュアーであれば「どういうお気持ちですか?」と、インタビューするのだろうが、出来ればそんな不謹慎なことは上層部の圧力があろうとしたくない。歯向かって生きていきたい

 

ドン!

物語は三者三様の苦悩と葛藤が描かれつつ、真実へと向かう。一体どうなるんだ、この事件は!とテンションを上げたていたら「ドン!」とやられた。

 

どうやら僕は、蒲生稔という存在の捉え方を間違っていたようだ

 

ガンガン!

油断していたら背後で花火が打ち上げられたような衝撃が頭の中に「ガンガン!」と響き渡る。近所迷惑にならないかしら。そんな心配をよそに僕の意識は後ろを振り返る

 

何度も物語を巻き戻し、確認をしていく。

 

 
驚くことに、そこにはもう一つの物語が確かにあった。