旦那が失踪したからご褒美を待つ。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 女たちのドロドロしたやつ、たまらないよね。
  • ご褒美が欲しい。
  • 失踪した旦那は今どこにいるのだろう。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

本谷 有希子さんの『来来来来来』だ。

 

あらすじ

新婚一ヶ月で旦那が失踪!嫁ぎ先には野鳥狂いの姑に、いじわる小姑。新妻・蓉子は、鬱憤ぶつけられ放題の日々に、ひたすら耐えている―とびきりの「ご褒美」を待ちながら。(「BOOK」データベースより)

 

 来来来来来

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鬱蒼とした悲劇には喜劇がよく合う。ご飯と納豆のようにネバネバと絡み合う。それが嫌いな人もいるかもしれないが、好きな人にはたまらないエンターテイメントとなる。

 
喜劇が喜劇として突き進む程に、悲劇はより悲しさを増し、悲劇がとことん悲劇である程、喜劇は喜劇として輝きを増す

 

この相乗効果は一説によると、ちょっとした不況ぐらいなら軽く乗り越えられる力を持つという。

 

喜劇と悲劇の二重人格。

本作は喜劇と悲劇の二重人格である。どこまでも悲劇な人格は、蓉子に感情をロックオンし、狙いを定める

 
なんて不憫な境遇なんだろう。かわいそうだ。しかし、その憐憫の情は次第に姿を変え、複雑な化物に進化する

 

一方。

一方、喜劇の人格は大いなるテンションを登場人物たちに授ける。メリークリスマス。一足早いサンタの登場だ

 
好き勝手やっていた別々の人格も、やがて1つに統合し正体を表す

 
これはただのエキセントリックな戯曲ではない。ひたすら面白いとは何かを追求したエンターテイメントである

 

 
心が激しく揺さぶられた。
 

 

揺らめく影。

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本作に登場する女性たちのすぐ側にみえる男性の影。男性陣はそろいも揃って女性陣に致命的なダメージを与えている。

 

せめて会心の一撃で葬りさってくれればいいものを

 

彼女たちの苦しみ。

彼女たちの苦しみと嘆きは不思議な高揚によりクライマックスを迎える

 

ほとんどの人物がアッパー系に上がりうおおおお!と僕のテンションもクライマックスに向かう中、蓉子の嘆きはそこら中を静かに漂う

 

 
何かの前触れのように。
 

 

舞台の力強さ。

時折、舞台の写真が掲載されている。静止画ではあるが、役者さんたちの舞台上での迫力がそのまま切り取られていて、今にセリフがきこえてきそうなパワーが放たれている

 

キャンプファイヤーだ。

なので自然と登場人物は、役者さんたちの姿に置き換えられた。想像だけでも舞台にいる役者さんたちの熱が伝わってくる

 

これはキャンプファイヤーだ。メラメラと燃え上がり、見る人の心を掴んで離さない。

 

炭となり煙となって。

想像だけでもこんな気持ちになるのなら、舞台を見てしまったらどうなることだろうか。楽しみなような、怖いような。とにかくワクワクが止まらない。

 

もしかすると炭となり煙となって地球と同化してしまうかもしれない。

 

 
僕はどうかしているけれども。