本と宴





娘の成長と親の成長。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 広告社に仕事を頼みたい。
  • ヤクザに狙われている。
  • 別居中の娘に会いたい。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

荻原 浩さんの『なかよし小鳩組』だ。

 

あらすじ

倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に大仕事が舞いこんだ。ところが、その中身はヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略、というとんでもない代物。担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとには、さらに別居中の娘まで転がりこんでくる。社の未来と父親としての意地を賭けて、杉山は走りだすが―。気持ちよく笑えて泣ける、痛快ユーモア小説。(「BOOK」データベースより)

 

なかよし小鳩組

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世の中にはいろんな親がいる。子供にたくさんの愛情を注ぐ模範のような親もいれば、子供に無関心だったり、挙げ句の果てには虐待をはたらく、ろくでもない親だっている。

 

そんな奴らは生まれ変わったら宇宙空間を漂う微生物になればいいと思う。

 

ユニバーサル広告社社員、杉山。

ユニバーサル広告社社員、杉山は誰がどう見てもろくでもない親である。アル中だし、酒癖も最悪。それも一因になりバツイチにもなる。いい親の部類にはどんなコネクションを使ってでも、決して入ることはないだろう

 
けれど、杉山は子供と一緒にサッカーをする。一生懸命になることができる。馬も育てる。子供のことを真剣に考え、愛することが出来る

 

杉山の成長。

本作は杉山の成長を描いた物語である。


難しい仕事に、ええい、ままよ、とぶつかっていく姿勢。子供に対して必死に頑張る姿。ボロボロになりながらも走り出した杉山はカッコよくて、心がうち震わされた

 

 
子供は親を成長させる特殊アイテムなのかもしれない。
 

 

今作のユーモア。

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前作『オロロ畑でつかまえて』では卓越なユーモアをみせた筆者。文章もそうだが、何よりユーモアを最大限に引き立てたのが設定である。

 
田舎と都会のコラボレーション

ぶっ飛んだ中身の村おこし

 

ユーモアのフルコースを大変美味しく堪能させててもらった。

 

思い切った設定。

本作では、ヤクザのイメージアップをする、という思い切った設定がユーモアを引き立てていく。


嫌々ながらも、その仕事をしなくてはいけないとわかった時のユニバーサル広告会社の面々の焦燥。垣間見えるヤクザたちの内情と打ち出した企画。

 

難しい題材ながらしっかりとしたユーモアを確立している。前作に比べると、少なめかもしれないが、それでもしっかりと読み手を楽しませる準備はできているようだ。

 

 
こちらも楽しむ準備は万端である。 

 

子供も生きている。

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子供の人生はどうしても親に左右されてしまう。人格や価値観は自然と影響されるだろうし、離婚ということになれば、辛かったり寂しい思いをさせてしまう。

 

場合によっては、そのせいでグレたり人生の最下層へと真っしぐらに墜落していくかもしれない。

 

杉山の娘。

だが、杉山の娘は明るく元気に、ちょっと独特だけど生きている。杉山の教育が良かったとは思えないが、きっとたくさんの愛を注いだのだろう

 

娘も杉山を愛しているようだ。だからこれ以上、大人の都合というクソみたいなもので、子供を弄ばないで頂きたい

 

 
子供にだって選択権はあるのだから。