終わったけれど終わっていない。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • どんな時でも友情は大切なものだ。
  • 戦時中ってどういう状況だったのだろう。
  • 戦争は当事者にどんな傷をもたらしたのだろう。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

中脇 初枝さんの『世界の果てのこどもたち』だ。

 

あらすじ

戦時中、高知県から親に連れられて満洲にやってきた珠子。言葉も通じない場所での新しい生活に馴染んでいく中、彼女は朝鮮人の美子と、恵まれた家庭で育った茉莉と出会う。お互いが何人なのかも知らなかった幼い三人は、あることをきっかけに友情で結ばれる。しかし終戦が訪れ、運命は三人を引きはなす。戦後の日本と中国で、三人は別々の人生を歩むことになった。戦時中の満洲で出会った、三人の物語。(「BOOK」データベースより)

 

世界の果てのこどもたち

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僕は当たり前のように生きれているこの世界、この国で、教科書や資料に書かれている戦争以外の戦争を知らない

 

戦時中、そこに生きている人々がどんな暮らしをして、何を思い、そしてどんな終戦をむかえたのか。教科書の中の情報だけでは、窺い知ることが出来ない。

 

心がヒリつく。

もちろん今までにも戦時中に焦点をあてた小説を読んできたが、どれも微妙にケースが違い、その度に心がヒリつく


満州で出会った三人の少女。彼女たちは国籍や状況が違えども、邂逅し、やがて離ればなれになる。

 

胸が抉られたような心持ち。

それからの展開は目を背けたくなる。今の安穏な時代からは考えられない衝撃なことばかり。なんだか喉の奥がチリチリし、胸が抉られたような心持ちだ。

 

そこには、すぐ傍に死が落ちていて、仕方ないと思い前へ進むしかない世界が広がってた。

 

幸せになるわけにはいかない。

自分だけが幸せになるわけにはいかない、と幸せから遠ざかる人もいる。母国にも、住んでいる国にも居場所がなく、惑う人もいる。人買いに売られ、次第に日本語を忘れ去ってしまった人もいる。

 

戦争は終わったはずなのに。

戦争は終わったはずなのに、その後遺症のような心の痛みは当事者たちの身体にこびりついて離れない。その時代を生きた人たちにとって、戦争とは終わることのない悲劇なのかも知れない。

 

 
それでも未来を見て生き続ける人間は強いし、カッコいいと思った。
 

 

くり返してはいけない苦しみ。

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僕は仕事をしているが、好きこのんでしているわけではない。生きるために、歯を食いしばり、血の涙を流しながらしている。嫌だ嫌だ!駄々を捏ねるとしないで済むのなら、存分に捏ねてみたい

 

仕方がなかったのだろうか。

同様に戦争も仕方がなかったのだろうか。のっぴきならない事情がそこにはあったのだろうか。争いを望まず、平和に暮らしているたくさんの人たちが苦しむことになるというのに。

 

申し訳ないぐらい。

本作には、戦争がもたらした悲惨な状況が克明に描かれている。それを体験していない僕が、心を痛めるのが申し訳ないぐらいに。

 
戦争は、人として持っているものを全て奪っていく。それがあったからこその今なのかもしれないが、2度とくり返してはいけない。

 

なにより、子供たちに体験させてはいけない

 

 
今の時代の幸福を改めて感じつつ、世界中の人たち全員がそう思う日が来ることを願う。