奇妙な館に閉じ込められて。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • クローズドサークルに閉じ込められたい。
  • ビックリしたい。
  • 十角館に行ってみたい。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

綾辻 行人さんの『十角館の殺人』だ。

 

あらすじ

十角形の奇妙な館を訪れた大学ミステリ研の七人。彼らを襲う連続殺人の謎。結末に待ち受ける“衝撃の一行”とは?本格ミステリの名作がYA!に登場。(「BOOK」データベースより)

 

十角館の殺人

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ミステリーにはいくつか大事なものがある。それは黒の組織でも、身体は子供で頭脳は大人になることでも、じっちゃんの名にかけることでもない。

 

僕が思うにそれは、厚焼き玉子ぐらいの太さの厚みである

 

それはなぜ起きてしまったのか。

突如起きてしまった事件。それはなぜ起きてしまったのか。

 

物語が進むにつれ、それは形あるものとなる。彼らの繋がりは大学ミステリ研というだけではない。断ち切れない一種の呪いのような鎖で繋がっている

 

激しい憎悪ゆえに。

本作はただのクローズドサークルを題材にしたミステリーではない。登場人物、そして犯人、背景、過去。それらがしょっぱい厚焼き玉子のような厚みを生み出し、十角館を包み隠す。激しい憎悪ゆえに

 

惨劇はなぜ、どう起きたのか。それをある一行によって叩きつけられた時、十角館の世界は終わりと変化を同時に迎えた

 

 
ラグナロクが起きたのだ。
 

 

製造された十角館。

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本作の舞台は十角館。閉じ込められた孤島にぽつりと漂う館である。

 

そこで起こる連続殺人の緊迫感さようなら楽しかった日々、こんにちは疑心暗鬼が僕を、頑張って地震でも起こそうとしているかの如く震えさせる。

 

本土でも展開されていく。

ところが本作で描かれているのは十角館の物語だけではない。十角館と海を挟んだ向こうにある本土でも展開されていく。

 

当初、本土の物語に何の意味があるのか、不思議でしょうがなかったのだが、後に気づく。これこそが十角館を伝説にした物語のデコレーションなのだと

 

全てはひっくり返る。

本作はまず、孤島を舞台にした連続殺人に、肌をヒリヒリさせ、息を吸えば空気とミステリーが肺の中を嬉しそうに循環していく

 

一方、孤島と同時に進んでいく本土での展開は、事件がただの猟奇的なものではないと、訴えるようにしっかりと肉付けをしていく

 

2つの物語が交わった時、全てはひっくり返る。この神がかり的な展開に僕の心臓もひっくり返ったような気がした

 

 
巧みなミステリー製造者は、驚愕の真相を作り出してしまったようだ。