悩める患者と滅茶苦茶な精神科医。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 精神科に行こうと思っているが躊躇している。
  • 空中ブランコを飛んでみたい。
  • 注射するのも、されるのも、どっちも好きだ。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

奥田 英朗さんの『空中ブランコ』だ。

 

あらすじ

伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。(「BOOK」データベースより)

 

空中ブランコ

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家電の成長と子供の成長ほど楽しみなものはない。毎年毎年新しく発売される家電の進歩には目をみはるものがあるし、それと同じようなスピードで子供も成長していく。

 

それらは、にんまりと七福神のような顔で見守る大人たちの成長も促進していく。大人だっていろんな経験をして、未だ成長の途中なのだ

 

破天荒極まりない。

前作『イン・ザ・プール』伊良部一郎は破天荒極まりない精神科医だった。彼もきっと成長していることだろう、と遠足の前日ぐらい楽しみにページを捲ると、前作と同じ伊良部先生がいた

 

だめだこいつ、何も変わっていない。

 

伊良部先生はやはりとんでもない。

前作同様、患者視点から語られる伊良部先生はやはりとんでもない。患者が心を治している最中に、同時進行で伊良部先生のお楽しみ会が開催されているような状態。人生を最高に楽しんでいると思われる。

 

だが、結局患者たちはそんな伊良部先生と出会い、落ち着くべきところへと着地していく。名医なのか、ヤブ医者なのか。それもやはり判然としない。

 

 
でもまあ、みんな楽しそうだし、いいのか...?
 

 

自分のことがわからないから。

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自分のことは自分が一番よくわかっている。だから医者に止められても酒を飲んでいいんだ、大丈夫だから、わかっているから

 

そんなことを言う人がいるが、本当にわかっているのだろうか。「まず医学をわかれ!」と声を大にして言いたいのだが、本人には何か確信があって言っていることなのだろう。

 

心の中を認識することが出来ない。

そういう人は中々、自分の心の中を認識することが出来ない。周りの人から見れば明らかな問題点なのに、いいや、違う、と意地をサロンパスのようにはってしまう。

 
それを認めるのには、時間やきっかけが必要だ。それを伊良部先生は、サプライズプレゼントのように与えてくれる。時には空中ブランコに挑戦しながら。


ひょっとすると馬鹿らしくなって、どうでもよくなっただけかもしれないが、人生は結果オーライ。楽しんだもの勝ちなのだ

 

 
伊良部先生を見ていると、つくづくそう思う。