変わりたい気持ちが生んだ形。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 幸せって1つじゃないよね。
  • 美しいって何だろう。
  • ああ、整形したい。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

姫野 カオルコさんの『整形美女』だ。

 

あらすじ

二十歳の繭村甲斐子は、大きな瞳と高い鼻、豊かな乳房とくびれたウエストを持つ女性だった。だが、彼女は名医・大曾根に懇願し、全身整形をする。一方、同郷の望月阿倍子も、社会人となった新生活を機に整形。その姿は甲斐子そっくりになった。正反対の考えのもと、整形をした二人の、整形後の運命はいかに―。美しさとは?幸福とは?根源を問う衝撃作。

 

整形美女

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僕はゴミのような人間だ。もう自分でもゴミなのか人間なのか、判別がつかない時がある。自らゴミ箱に入ってやろうか、と意気込むことさえある。


変わりたい。ゴミからせめて紙くずになりたい。残飯でもいい。いや、待てよ。よく考えたら全部燃えるゴミではないか。何も変わっていないではないか。結局、僕はゴミ人間のままではないか。

 

変わりたい人御用達の魔法。

繭村甲斐子と望月阿倍子も、変わりたいと懺悔のように願った。そして叶った。この時代には整形』という、変わりたい人御用達の魔法がある。

 
だがその魔法は危険すぎて、人々から恐れられている諸刃の剣。2人は違う幸せと違う煩悶を抱え、その重たさに沈んでいこうとしている。

 
魔法は2人から取り返しのつかないものを奪っていった。

 

 
その魔法は禁呪だったのだ。
 

 

阿倍子の整形。

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何かを為す理由は人それぞれ。時には不祥事を起こした有名人のように何を言っているのか、全く理解が出来ないこともある。

 
2人が整形した理由自体はわからなくはない。一種のコンプレックスを抱え、それが致命的な箇所を抉っていたとしたら、変わりたいと思っても仕方がない。

 

阿倍子の変化。

阿倍子の変化は、整形する人はだいたいこうだろうな、というものだ。整形を題材にした物語は大抵こんな感じだ、という道を歩いている。

 
ところが甲斐子の存在が巡り巡って、彼女に大きな影響を与えてしまう。

 
整形とは、自分を変えることとは何か、幸せとは何か。阿倍子の人生と煩悶は、僕を深い熟考の海に突き落とした。

 

 
なかなか陸に上がることができない。
 

 

甲斐子の整形。

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甲斐子は美しい。ダビデ像や考える人も彼女の美しさには霞むことだろう。クレオパトラも楊貴妃も嫉妬に荒れ狂うかもしれない。

 

ではなぜ整形をするのか。

ではなぜ整形をするのか。当初、僕は彼女の言っていることがまるで理解出来なかった。どういうことだ?

 
訝っていた僕だったが、次第に彼女の言っていることが頭に馴染んでくる。彼女は美しいが故に、整形をするのだ。今なら理解出来る。確かにそうなのかもしれない。

 

計画の一部。

だが、それも計画の一部でしかなかった。それは理解し難く、美しいからこそたどり着いた答え

 
彼女を見ていると、幸せは様々な形で僕らの側にいるのだとつくづく思い知らされる。

 

 
僕の側にはどんな幸せが存在しているのだろう。