恋も友情も青春もマッチングアプリで。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 青春時代に戻りたい。
  • マッチングアプリに興味がある。
  • 人とのつながりを大切にしたい。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

加藤シゲアキさんの『オルタネート』だ。

 

あらすじ

高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。全国配信の料理コンテストで巻き起こった“悲劇”の後遺症に思い悩む蓉。母との軋轢により、“絶対真実の愛”を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津。高校を中退し、“亡霊の街”から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる”とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体―。“あの頃”の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。(「BOOK」データベースより)

 

オルタネート

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青春とはいいものだ。僕もオルタネートのように甘く熱狂的な青春をしたかった。だが、実際にはブルーハーツからカッコよさを抜いたドブネズミのような青春しか送れなかった、無念。

 

マッチングアプリ「オルタネート」

本作は高校生なら誰もが使用しているマッチングアプリ「オルタネート」が普及している世界を舞台としている。旧石器時代のような、おっさんの僕には未だにマッチングアプリなるものに怪訝な目を向けているわけだが、そんな時代はもう古いのかもしれない。

 

漠然とした不安と面倒。

漠然とした不安と面倒な気持ち。 LINEが普及し始めた当初、僕は漠然とした不安と面倒さがありしばらく使用していなかった。するとどうだろうか、周りの人たちの浦島太郎を見るかのような目

 

え、嘘でしょ? やってないとかあり得なくない? 時代が時代なら僕は魔女として火あぶりにでもされるのではないか、と恐ろしさを抱いた記憶がある。 オルタネートは僕にその感覚を思い出させた。

 

使っていない高校生なんかいるわけがない。え、なんで使ってないの? そんなの自由ではないか、と思うが、使用している人たちにとってはそれが、太陽が落ちてくるぐらい信じられないことなのである。

 

立ち向かう。

蓉、凪津、尚志。彼らはオルタネートに翻弄される。けれど必死に立ち向かう。簡単に繋がり合えるからこその不自由さに、それぞれの想いが交差する。そして未来へと向かっていく。

 

その未来はオルタネートがくれたものではなく、自分自身で手繰り寄せた未来だ。

 

心をエキサイト。

3人の物語は心地よい速度で絡み合っていく。終盤のドラマティックな展開は、茶つみとクリスマスキャロルのメロディにのって、僕の心をエキサイトさせた。 これは青春の音だ。オルタネートを通して3人が辿り着いた祭りだ。

 

 
青春に入り交じった熱気が、僕の心を静かに貫いていった。
 

 

有名になるデメリット。

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有名税というのがある。芸能人はあることないこと言われるのは当たり前。悪口を言われようともそれは有名税だから仕方がない。

 

今やSNSやYouTubeなどもあり、ほぼ素人でも有名人になれる時代だ。有名税は、そんな人にも容赦がない。

 

悪魔にも変わる。

オルタネートは使い方次第で天使にも悪魔にも変わる。有名税の巣窟として悪意を放つことだってある。その悪意に耐えられるのは、強い決意を持った人だけだ。普通の高校生が耐えられるものではない。

 

優しさをくれることだってある。

けれど、天使のような一面を見せることもある。有名税は何も悪意だけが支払われるわけではなく、励ましの言葉、応援のメッセージも届く。優しさをくれることだってあるのだ。

 

それらをどう捉えるかはその人次第だけれど、どうかポジティブにとらえて欲しいと思う。

 

 
そうすれば未来は多少なりとも明るく灯ってくるはずだ。
 

 

解析できない。

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 昨今、SNSに縛られる人は数知れず。いいね、が欲しさのあまりとんでもないことをしでかす人もいる。そんなに、いいね、欲しいのだろうか。僕は誕生日に、いいね、をもらっても嬉しくない。いいことなんか何もないわ!と激昂するかもしれない。

 

新サービス。

オルタネートにも信者はいる。新サービスにより、遺伝子レベルで相性の良い異性との出会いが可能になるとすれば、オルタネート教に入るのも悪くないのでは、と思っても仕方ないかもしれない。とは言え、オルタネートは宗教団体ではない。機械であり、プログラムなのだ。

 

やってみないとわからない。

人間の心には、人間にしか解析できないプログラムがある。どうすれば解析できるかは、やってみないとわからない。上手くいくかもしれないし、バグってしまうかもしれない。今よりもよくない状況になるかもしれない。

 

けれど、プログラマーはきっと成長を果たす。それはオルタネートが解析するよりも大きな成長だ。僕は恋愛に相性なんて関係ないと思う。好きな人は機械やプログラムが決めるべきではない

 

 
自分以外の誰が決めると言うのだろうか。
 

 

新たな青春。

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僕のような古い人間はSNSに怖さをもっている。何かよくわからないけれど、個人情報とか出ちゃって、とんでもないことになる可能性があるのではないか。そういう漠然とした不安が付きまとってしまうのである。

 

なのでオルタネートがある時代に高校生だったとしても、おそらく使わないだろう。便利なところもあるが、別にリスクが潜んでいる気がするし、SNSに左右される青春に抵抗がある

 

そう思っていたが。

そう思っていたが、読了してみると、オルタネートも悪くないかもしれない、と思えてくる。僕の心は秋の空よりもコロコロ変わる。結局は使う人次第で、便利になるか、翻弄されるか、が決まっていくような気がしたからだ。

 

気づかせてくれたもの。

オルタネートが気づかせてくれたものは三者三様、それぞれ違うアンサーである。

けれど、どれも大事な青春の1ページであったことは間違いがない。

 

 
分厚い1ページだった。