見えない心が2人を繋ぐ。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 悪女に騙されたい。
  • 暗躍する人生を歩みたい。
  • 光と闇に触れたい。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

東野 圭吾さんの『白夜行』だ。

 

あらすじ

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。(「BOOK」データベースより)

 

白夜行

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大切な人を守りたい。その気持ちは、自粛期間中のSwitchのように尊い。子供でも大人でもそれは同じことだ。誰にでも大切な人はいるだろうし、Switchは欲しい。衝動は止められるものではない。

 

その人が傷つき苦しめられている。その事実を知ってしまった時、果たしてどうするだろうか。

 

胸騒ぎがする。

被害者の息子、桐原亮司。

容疑者の娘、西本雪穂。

 

2人の関係はそれだけのはずだった。なのになぜだろうか。胸騒ぎがする。

 

まるで愛のようだ。

胸騒ぎは次第に形を定め2人の周囲を、未確認飛行物体のように蠢く。一体これは何だろう。掴めそうで掴めない。まるで愛のようだ。

 

けれど、呪いのようにも見えなくもない。幼心に刻みつけられ、大人になっても決して消えはしない呪い。

 

 
それは大人になっても、解くことが出来ない。
 

 

光と闇。

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2人の人生は闇と光のように明滅している。真っ暗なアンダーグラウンドと華やかな世界。闇と光は交わることがない。交わってはいけないのだ。こうも交わらないのには、綿密な話し合いが持たれたのだろう。

 

闇と光の宿命。

だが闇と光は、成功者の努力のように、それを見せることはない。それが闇と光の宿命であり、在り方なのだから。

 

闇は闇のまま生きていくことに納得していたのだろうか。もしそれが彼の意思であり、存在意義なのだとすれば、その人生は偉大だ。

 

けれど、そうでなかったとしたら

僕は何を思えばいいのだろう。

 

 
全然わからない。
 

 

 悪女を繋ぐ糸。

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悪女。なんて淫靡な響きであろうか。だが悪女にも色んなタイプの悪女がいる。淫靡に感じるのは僕がヨコシマすぎてもはやタテに見えるからだろう。

 

悪女と形作られたもの。

西本雪穂はまさに悪女。僕の目からはそう見える。けれど、その悪女と形作られたものは2人の関係にとって大事なもの。それは2人を繋ぐ細すぎる糸だ。

 

どうすればいいのか、わからなくなったしまったその糸は、今にも切れそうに揺らぐ。だが、切るわけにはいかない。大切な糸なのだ。だから、雪穂は悪女でい続けようとした。それだけが糸を保つたった1つの方法だったのではないだろうか。

 

ただの悪女。

結局のところ、2人の気持ちはわからない。本作に2人の心情を慮る描写はない。登場人物たちの視点からしか慮ることしか出来ないのだ。

 

亮司にとって雪穂はただの悪女だったのだろうか。それだけではなかったと思いたい。

 

 
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