抱きしめたい家族。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 家族が大好き。
  • 嫁が不貞をはたらいている気がする。
  • 誰でもいいから抱きしめたい。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

小島 信夫さんの『抱擁家族』だ。

 

あらすじ

妻の情事をきっかけに、家庭の崩壊は始まった。たて直しを計る健気な夫は、なす術もなく悲喜劇を繰り返し次第に自己を喪失する。無気味に音もなく解けて行く家庭の絆。現実に潜む危うさの暗示。時代を超え現代に迫る問題作、「抱擁家族」とは何か。第1回谷崎賞受賞。(「BOOK」データベースより)

 

抱擁家族

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今のところ星を数えたことはないが、星の数だけ家族の形というものがあるらしい。それは今や多種多様にわたり、ファミリーと称した宗教のような団体であったり、万引きをする家族であったり、父親を狸鍋にされた家族であったり。

 

家族には他人から見ればおかしなルールや、常識が「おぎゃあ!」と赤子のように生まれたりもする。友達に当たり前だと思っていた家での習慣を話して「あれ、家だけ違う?」と戸惑ってしまったり。

 

家族の理想。

なぜそうなるのか。それはきっと、家族を持つ人には家族の理想というものがあるからではないだろうか。

 

家族とはこうあるべき。

こういう家族にしたい。

 

そんな強い気持ちが家族の団結と規則を生みだしているのだ。

 

どう埋めていくか。

が、果たしてそれは家族全員が共有している理想なのだろうか。家族と言えども人はそれぞれ違った価値観をもつ。食い違うこともあるだろう。そうなった時、家族と言うのはその食い違いをどう埋めていくか考えていくべきではないだろうか。

 

理想を持つのは大事なことだ。だが、理想を横行するのは違う。

 

本作はそんな家族の奮闘が描かれた作品である。

 

 
理想は理想でしかない。
 

 

悲しい家族観。

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本作の家族は、幸せから遠く遠く2駅ぐらい離れた場所にいる。乗り過ごしてしまったのだろうか。寝落ちでもしてしまったのだろうか。

 

崩壊のイントロ。

きっかけは妻のある事件

 

崩壊のイントロが流れ始めた家族を立て直すため、夫は奮闘するが、その奮闘は大変痛ましく、目も当てられない。奮闘するべき方向が違う、というか食い違っている。


それは次第に常軌を逸して、もはや笑えるものになっていく。他の家族たちも一癖あり、混沌は止まることを知らない。

 

混沌に拍車をかけ。

加速していく崩壊と夫の奔走は、混沌に拍車をかけ、不思議と陶酔したような心地よさを覚える。

 
彼が狂ったようにして守ろうとしていたもの。それは僕が思い描いている家族と少し違う気がして、なんだかおかしくて、悲しくなる。

 

 
抱きしめてあげたくなった。