人生、壊せないものはない。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 最近つらいことが重なる。
  • 婚約者に別の女性がいた。
  • 幸せになりたい。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

よしもと ばななさんの『デッドエンドの思い出』だ。

 

あらすじ

つらくて、どれほど切なくても、幸せはふいに訪れる。かけがえのない祝福の瞬間を鮮やかに描き、心の中の宝物を蘇らせてくれる珠玉の短篇集。(「BOOK」データベースより)

 

デッドエンドの思い出

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軽快に進んでいたはずだった。ところが、え、行き止まり? なんてことだ。どこにも行けないではないか。戻るしかないのか…

 
人生は紆余曲折。どこへ向かっているのかわからぬ道をくねくねうねうね曲がりに曲がり、辿り着いたのは行き止まり。セーブ機能がないファミコンソフトぐらいやってられない。

 

つらいものはつらい。

そういう人生のつらい時期を、筆者は切り取り本作に貼り付ける。ペタリと貼られた短編たちは、ふんわりしていて可愛らしい印象を受けるが、つらいものはつらい。マシュマロの中にこっそりと入っていた辛味パウダーが心をひりつかせる。

 

行き止まりなのかもしれない。

そこは確かに行き止まりなのかもしれない。けれど、大丈夫。そんなものは壊してしまえばいい。その先は幸せに通づる近道なのかもしれないのだから。

 
生きていると、辛かったり、刺々しくなったりもするけれど、そうなった時、僕はまた、本作を読みたいと思う。

 

 
週一で読むことになるかもしれない。
 

 

つらいを越えて。

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柔らかく、円やかな文体が描くのは、行き止まりだった壁をぶち壊す感動だ。


もしもの話。婚約者に別の異性がいたとしたらどうするだろうか。僕ならやり切れなくて、とりあえず慰謝料を胸に、いや、銀行に預けて、強く生きていくだろう。

 

始まらない。

表題作『デッドエンドの思い出』は、ラジオのようによく聞くような男女の修羅場が始まると思いきや、始まらない。

 

もちろんショックは受けるし、愕然としているようだが、風船のような主人公の意識はどこかふわふわしている。現実のような、そうではないような、その中間地点にいるからだろうか。

 

人生つらいことばかりではない。

つらいことこの上ない主人公。だが、人生つらいことばかりではない。救世主はキリスト以外にもいたのだ。

 

やがてデッドエンドは、辛い過去から、思い出、という柔らかい言葉に昇華されていく。つらい、を抜け出した先は、きっと明るい未来だ。

 

 
今は眩しくて見えないけれど。