おとぎ話のような殺意。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 昔話が読みたい。
  • 現代のミステリに飽きた。
  • ちゃんと驚きたい。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

青柳 碧人さんの『むかしむかしあるところに、死体がありました。』だ。

 

あらすじ

鬼退治。桃太郎って…えっ、そうなの?大きくなあれ。一寸法師が…ヤバすぎる!ここ掘れワンワン埋まっているのは…ええ!?昔ばなし×ミステリ。読めば必ず誰かに話したくなる、驚き連続の作品集!(「BOOK」データベースより)

 

むかしむかしあるところに、死体がありました。

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ミステリは時代を超える。きっと昔々のあるところにもミステリはあったことだろう。高床式倉庫密室殺人事件や、本能寺の変を使った消失トリック、被害者が振り絞って残した『いとおかし』というダイイングメッセージもあったかもしれない。

 

華麗にリメイク。

本作は昔話にミステリを加え、華麗にリメイクしたミステリ小説である。一寸法師に、花咲かじいさんに、つるの恩返しに、浦島太郎に、桃太郎。どれも読んだことがある、かつ今でも記憶にある昔話たちだ。

 

表紙の雰囲気から、ひょっとするとユーモア系だろうか、と訝りもしたが、蓋を開けてみると、あら、びっくり、物語の設定を見事に生かし、土台がしっかりとしたミステリたちが待ち受けていた。

 

懐かしさを感じつつも。

懐かしさを感じつつも、突然荒ぶりだす物語と最後までどうなるかわからない展開。そして、そこから生まれる読後の余韻。昔話だからこそのトリックと謎。

 

はじめて昔話を読んだ時のような高揚感がそこにはあった。

 

 
秀逸なミステリの爆誕である。
 

 

ミステリという毒。

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昔話にミステリにしてしまうとは、大胆不敵。単純なようで誰も思いつかないアイディアには驚きを隠せない。もちろん筆者の技量あってこそのものだが。

 

語り継いでいきたい。

僕が本作のベースとなった昔話を読んだのは遥か昔。ひょっとすると中には読んでいないけれど、なぜか知っている物語もあるのかもしれない。

 

どの物語も考えさせられるものがあるし、現実ではないほのかに香る不思議な展開が子供心をくすぐっていく。次の世代へと残したい、子供たちに語り継いでいきたいと思うお話だ。

 

残酷だ。

が、本作は子供にはオススメ出来ないかもしれない。

 

全く違った不思議と形を変えてしまった毒のようなものに、僕の身体は少し痺れてしまう。もちろん物語から発せられる教訓めいたものも感じるが、子供には残酷だ。

 

ひょっとすると表紙に騙されて買ってしまう、よい子がいるかもしれないと思うと不安にもなる。

 

違うよ、それは桃太郎が鬼を倒す話じゃないよ。桃太郎が鬼を一匹残らず殺害しようとする話だよ!

 

一言、そういってあげたいのだが…言えない。

 

 
でも面白いよ!