たまたま通りかかるわけがない。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 
  • 奇遇な出会いに憧れる。
  • 夜に出歩くのが好き。
  • 乙女に会いたい。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

それは『森見 登美彦』さんの…

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ばーん!

 

夜は短し歩けよ乙女とあらすじ。

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。(「BOOK」データベースより)

 

 

 

どんな話?

乙女に恋をしている先輩。乙女を追って京都を駆けまわるのだが、会っても、「奇遇ですね」と言われるばかり。

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しかも、必死で視界に入ろうとしているだけなのに、いろんな邪魔が入る。なんでなの?

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果たして先輩の恋は実るのだろうか。それは運命と夜だけが知っている。

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ここがおもしろい。

 
  • 乙女がいた。
  • 乙女はどこまでも歩く。
  • ストーカーのような先輩。

 

乙女がいた。

 

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乙女の定義とは、果たして何であろうか。

 

いや、女性は皆、乙女といえば乙女ではあるが、例えば、「やばたにえん」「まじ卍」と、外来語のようなことを宣う女子たちに、乙女! と高らかに宣言するのは憚られる。乙女とはもっと、高貴で、恥じらいをもちつつも奥ゆかしい、由緒正しき撫子みたいな存在ではなかろうか。

 

そんな絶滅危惧種のような乙女はもう、日本には生息していないのかもしれない…と諦めていたところ、僕は見つけてしまった。

 

乙女は本作にいたのである。その乙女っぷりは言葉では言い表せない。著名な画家数人に、乙女を描いてください、と発注したならば、全員が本作の乙女を描くであろう乙女の中の乙女。キングオブ乙女コンテストがあれば満場一致で優勝してしまう器をもった乙女だ。

 

 
審査員は僕しかいないよ。
 

 

乙女はどこまでも歩く。

 

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そんな乙女が闊歩する京都の町は、摩訶不思議で妖艶。まるで乙女が歩くがために舗装され、開発されたかのようである。

 
乙女はどこまでも歩く。そうしなければ、地球の寿命が3億ぐらい縮んでしまうかのように練り歩く。そんな乙女の優雅なひと時は、それを邪魔するかのような事件と曲者たちによって、阻まれる。

 
けれど、止まるわけにはいかない。乙女は進まなければいけない。止まっている暇はない。なぜならば、夜は短いのだから

 

 
乙女は行くよ、どこまでも。
 

 

ストーカーのような先輩。

 

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恋は盲目。人を惑わせ、どうかしてしまう恋心は、時として危険物取扱法によって取り締まられる。いくところまでいった暁には『ストーカー』という称号を与えられ、未来永劫、末代まで蔑まれるだろう。かなし。

 

それを他人事のように思っていたのだが、あろうことか、乙女にストーカー行為を働く不逞の輩が現れた。名を先輩と言う。

 
先輩は乙女の視界に入ろうと、気味が悪い作戦を企画し、実行。その行動力を別の意義あるところで発揮すれば、出世も間違いないのだが、やはり恋は盲目。先輩には乙女しか見えていない

 
気持ち悪く冴えない先輩に吐き気を催していたのだが、その必死なストーカー行為に僕の心は揺れ動いてしまった。不覚である。健気で純真で真っ直ぐだけど、所々曲がっている気持ちは愛と呼んでいいのではないだろうか。

 

きっとそうだ、まごうことなき愛だ。 

 

 
世界はそれを愛と呼ぶらしいよ。
 

 

まとめ。

 

乙女を最後の最後まで乙女として描ききった筆者には盛大なパレードでも開催してあげたい心持ちになるけれど、資金と行動力が不足しているのでやめておこうと思う。

 
乙女は本当に乙女中の乙女であった。スーパー乙女である。そんな乙女に恋をしたスーパーストーカー先輩の気持ちがわからないでもない。

 
そんな先輩の恋心は筆者の言葉の魔術によって、何だがよくわからないものになっていった。ストーカーのような想いがとても純粋なものに感じたのである。


あかん、これはあかん。ストーカーの気持ちに理解をしめすということは、僕もストーカーの素質があるのかもしれないではないか。予備軍ではないか


恋愛とは本当に予測がつかないものである。想いとは、恋心とは自分でも予測がつかない。先輩自身もそう感じていたのではないだろうか。もちろん乙女も。

 
しっちゃかめっちゃかな二人とその周辺は、予測のつかない運命によって、きっと今日もしっちゃかめっちゃかしていることだろう。いつか京都に行き、たまたま通りかかった時にでも確認することにしよう。

 

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