現実と戦うため鍵を探す七人。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか? 
  • 鏡の中ってどうなっているのだろう?
  • 学校や職場に行きたくない。
  • 誰も気持ちをわかってくれない。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

それは…

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ばーん!

 

かがみの孤城とあらすじ。

どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。9時から17時まで。時間厳守のその城で、胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探す―(「BOOK」データベースより)

 

 

どんな話?

ああ、辛い。学校へ行きたくない。いや、行けない。家に閉じこもっているこころ。話が通じないクラスメイトの無意識の悪意に照らされすぎて、耐えられなくなったのだろう。家の中には悪意なんかないし安全だ。

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と、思っていたら鏡が光っている緊急事態が発生したので、つい手を伸ばしてみる。すると、その先にはオオカミと見ず知らずの六人がいる。誰ですか?

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その場所はこころにとって、他の六人にとって大切な場所となっていく。けれど、そこは現実ではない。制限付きの夢の城で、現実の波乱を仄かに漂わせながら、六人は絆を深めていくのだが…

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ここがおもしろい。

 
  • 入り込んだ鏡の中。
  • 同じ境遇の七人。
  • 厳しい現実。

 

入り込んだ鏡の中。

不思議な世界というのは憧れるものだ。辛いことがあった時や岐路に立たされた時、僕は現実逃避をするため、頭の中でせっせとおにぎりを握る感覚で、ファンタジーを作り出すことがあるが、それが実際に起きたとしたらどうするだろう。

 

主人公、こころの現実は芳しくない。大分心が弱ってきている。そんなタイミングで突然光りだす鏡なにこれ怖い。しかも、入ってみるとオオカミのような生き物が現れる。もう意味が分からない。

 

こころはそんな意味の分からない場所に魅了されていった。鍵という厳めしい現実を壊す希望と、そこにいた六人の存在によって。

 

 
鏡の中は不思議な世界。 

 

同じ境遇の七人。

鏡の中に集った七人。彼らには不確かな共通点があった。けれど、その共通点はとても曖昧で繊細なもの。安易に触れてしまえばガラスのように壊れてしまうかもしれない。

 

だからこそ、七人には絆が生まれていった。どこの誰なのかわからない七人は、時には寄りそい、時にはすれ違い、そして微かな真実を垣間見つつ、鏡の世界に希望を抱く。助け合える、と藁にでも縋るように。

 

 
きっと助け合える。 

 

厳しい現実。

鏡の世界は優しかった。同じ境遇いる七人なのだ。気持ちが痛い程にわかるし、慮れる。ずっとここにいられれば案外幸せなのかもしれない。だが、彼らが生きていかなければいけないのは過酷が待ち受ける現実世界。期限付きで条件付きの世界は永遠ではないのだ。

 

けれど、彼らは一人ではない。助け合える。筆者が虎視眈々と用意していたサプライズは、そんな希望を抱かせる。

 

現実と交差する鏡の世界は、厳しい現実へと旅立つための前夜祭のようなものだったのかもしれない。

 

 
いってらっしゃい。 

 

まとめ。

 

子どもの痛みは大人にはわかりにくいものだ。子ども側の弁護士は、なんでわかってくれないのだ! と叫ぶのに対し、大人側の検事は、本当に痛いの? と疑心暗鬼。さらに、こっちはこんなに考えてあげているのに! と訝る始末で、上手くかみ合わない。

 

じゃあもういいです、私たちは私たちで勝手に助け合います、と強気の七人はより絆を固めていく。それは朧気で曖昧なものだ。ガラスのようにすぐ割れてしまうかもしれない。鏡の世界というファンタジーは、現実の世界を超えることは出来ないのだ。

 

七人の子どもたちは弱っていた。そういう時、僕は背中を、ぽん、と押してくれる何かに期待をする。子どもたちも、あわよくばそういう期待を抱いていたのかもしれない。

 

残念ながら、鏡の世界は別に背中を押してくれることもなければ、前に進む希望をくれるわけでもない。むしろ、勝手に進めばいいじゃない、と突き放すかのような厳しさも感じる。そんな都合のいい話あるわけないではないか、と。

 

けれど、僕は鏡の世界と彼ら七人に勇気をもらった。現実世界の辛さや葛藤は彼らを押しつぶすし、叩き潰すこともあるだろう。だが、彼らは助け合える。それは回りくどいし、まやかしであるかもしれない。それでも、僕はきっと助け合えるのだと思えてならない。

 

例え、うまくいかなかったとしても、彼らはもう大丈夫。きっと強く生きていける。そう思わせてくれる前向きな物語だった。

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