本と宴





【おすすめ10冊】読書ノート#1

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴の読書記録、『読書ノート』をご紹介しよう。

 

 

 

 

読書ノート

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巷では読書ノートなるものが流行っているそうだが、逐一ノートに書いていたら時間がかかるし、モチベーションが上がりにくいのではないだろうか。

 

ならばブログに書いてしまうのがおすすめである。

やり方も書き方も自由。

これならノートは不要である。

 

文庫本だろうとハードカバーだろうと何でも書いてしまえ!

 

というお告げがあったので、さっそく宴の読んだ読書ノート#1のはじまりである。

 

 

さくら/西 加奈子

ヒーローだった兄ちゃんは、二十歳四か月で死んだ。超美形の妹・美貴は、内に篭もった。母は肥満化し、酒に溺れた。僕も実家を離れ、東京の大学に入った。あとは、見つけてきたときに尻尾にピンク色の花びらをつけていたことから「サクラ」と名付けられた十二歳の老犬が一匹だけ。そんな一家の灯火が消えてしまいそうな、ある年の暮れのこと。僕は、実家に帰った。「年末、家に帰ります。おとうさん」。僕の手には、スーパーのチラシの裏に薄い鉛筆文字で書かれた家出した父からの手紙が握られていた―。二十六万部突破のロングセラー、待望の文庫化。

何か大事なものを失くしてしまった家族の物語。

 

他人からは見えにくい家族という世界観。

筆者はそれを丹念にこねくりまわし、見事な演出をはかる。

アカデミー小説賞をあげたいぐらいだ。

 

家族でしか分かち合えない銀幕のスターのような眩しい思い出と瓦解に、静かに心を締め付けられていく。

家族の異変に、あんなに饒舌だった愛犬サクラもだんまりである。

 

時に美しく、時に儚い、けれどいつしかまた咲く。

そんなさくらのような一冊だった。

 

 
具合でも悪いのかしら。
 

 

火花/又吉 直樹

売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。(「BOOK」データベースより)

芸人による芸人を描いた物語。

日常生活全てネタです、とでも言うかのような登場人物たちのコミカルな掛け合い、漠然と暗雲が垂れこむ将来や展望。

不器用な二人の芸人を通して描かれる芸人の世界は、厳しくも面白い。

 

時として人生には選択を迫られる時があるけれど、二人の師弟関係はいつまでも続けばいいなぁ、と思う。

 
 
いつまでも。 

 

ツナグ/辻村 深月

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。(「BOOK」データベースより)

生者と死者との再会を描いた物語。

 

死者とは余程のことがない限りは会えないのが通例。

ところが、会えますよ、と言われれば、どうしようか、と逡巡するのが人間である。

会うべきなのか、会っていいのだろうか。

ああ、会わなければよかった、会ってよかった。

必然的に生まれたドラマは、真剣に生きろ、死んだら終わりだ、と僕に告げる。

 

永遠ではない人間関係を大事にしよう、と思えた。

 

 
生者と死者の邂逅は不思議な体験。
 

 

   

 

グレート・ギャツビー/スコット フィッツジェラルド

村上春樹が人生で巡り会った、最も大切な小説を、あなたに。新しい翻訳で二十一世紀に鮮やかに甦る、哀しくも美しい、ひと夏の物語―。読書家として夢中になり、小説家として目標のひとつとしてきたフィッツジェラルドの傑作に、翻訳家として挑む、構想二十年、満を持しての訳業。(「BOOK」データベースより)

偉大なる男キャッツビーを描いた小説。

 

たった一つの貴い願いが人間を劇的に変えてしまうことがあるのかもしれない。

けれど、その願いは叶う保証などない。

一途な想いからアメリカンドリームを掴んだ男ギャッツビー。

そんな彼に惹かれる主人公の視点から描かれるギャッツビーの人生は楽しそうにもみえるし、苦しそうにもみえる。

そして、儚い。

 

主人公と僕の中で、彼はいつまでも『偉大なるギャッツビー』として君臨することだろう。

 

 
狂おしく悲劇的な人生だった。 

 

百貨の魔法/村山 早紀

時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける―。百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される「白い猫」が織りなす、魔法のような物語!(「BOOK」データベースより)  

創業者の想いと愛に溢れた星野百貨店の物語。

 

従業員の方々が、いやいや僕のような底辺の人間にそんなに優しくしないでください、と卑屈になるぐらいの優しさと誇りで胸がいっぱい。

僕もその気持ちになるべく答えたいので真摯に向き合う。

そうか、なぜかお客様たちまでもが優しいのは、優しさが連鎖していったからなのかも。

 

謎の新人コンシェルジュと白い猫を軸に、従業員たちそれぞれの物語が大事な想いを繋いでいく星野百貨店は、今日も優しい気持ちでお客様と向き合っていることだろう。

 

 
優しさ最強説。
 

 

ひみつのたべもの/松井 玲奈

「推しに捧げる手作りプリン」「食欲おばけの日」 「これっくらいのお弁当箱」「ああ、愛しの台湾」など 読めばお腹が空く、松井玲奈 初のエッセイ集。 彼女のプライベートの食にまつわる話を 「anan」連載25回分に、書き下ろし25作品を加え、 たっぷり50編を収録。 レストランで出会う特別な一皿から 深夜に衝動的にすすりたくなるカップ麺、 旅先の記憶、実家の忘れられない味まで、 繊細な観察眼で多様な"たべもの"を描きます。

筆者の食にまつわる出来事を書いたエッセイ。

 

推しのためにウエハースを食べまくったり、台湾へプチトリップしたりと大忙しの筆者。その中でも驚いたのが目玉焼きの食べ方である。

醤油? ソース? 塩コショウ? いやいや、ナンセンス、何もかけない、それが私のジャスティス、とでも言わんばかりに主張する。

 

大人になると、社会というものに調味料ガンガンかけられて荒んだ大人になっちまったなぁ、と嘆いたりもするが、そんな時、もう一度プレーンにでもなれたら。

筆者はそんなことを言いたいのかもしれない。

いや、そんなわけないな。

 

 
そんなわけないね。 

 

しゃぼん玉/乃南アサ

女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村で、老婆と出会った。翔人を彼女の孫と勘違いした村人たちは、あれこれと世話を焼き、山仕事や祭りの準備にもかり出すようになった。卑劣な狂犬、翔人の自堕落で猛り狂った心を村人たちは優しく包み込むのだが…。涙なくしては読めない心理サスペンス感動の傑作。(「BOOK」データベースより)

荒んだ心を溶かしていく村の物語。

 

どこかに優しさを溜め込んでいるダムでもあるのではないか、とつい疑がいたくなるような村の寛大さは翔人と僕を暖かなしゃぼん玉で覆っていく。

これが優しさなのだろうか。

いいや、違う。優しさももちろんあるのだが、そこには厳しさと誰であろうと受け入れる器と人を信じる心がある。

 

それは今ここで優しさ、と一言で表せるようなものではないので、ぜひとも読んで感じて頂きたい。

 

 
素敵な村。
 

 

 

 

ビタミンF/重松 清

炭水化物やタンパク質やカルシウムのような小説があるのなら、ひとの心にビタミンのようにはたらく小説があったっていい。そんな思いを込めて、七つの短いストーリーを紡いでいった。Family、Father、Friend、Fight、Fragile、Fortune…〈F〉で始まるさまざまな言葉を、個々の作品のキーワードとして埋め込んでいったつもりだ。そのうえで、けっきょくはFiction、乱暴に意訳するなら「お話」の、その力をぼく(著者)は信じていた。(「BOOK」データベースより)

ふと人生を振り返ってみたくなる短編集。

 

大人はくたびれるものだ。

どんどん勝手気ままに進んでいく人生に、これでいいのか、と迷いながら生きるのは結構しんどい。

そんなあなたにビタミンF。

AとかBとかCとかも大事なのだが、Fほと大事なものはない。

 

四十歳手前の男性にオススメの一冊だが、老若男女が読んでも何かしら感じるものがあると思う。

 

 
すっごい効くよ。
 

 

漁港の肉子ちゃん/西 加奈子

男にだまされた母・肉子ちゃんと一緒に、流れ着いた北の町。肉子ちゃんは漁港の焼肉屋で働いている。太っていて不細工で、明るい―キクりんは、そんなお母さんが最近少し恥ずかしい。ちゃんとした大人なんて一人もいない。それでもみんな生きている。港町に生きる肉子ちゃん母娘と人々の息づかいを活き活きと描き、そっと勇気をくれる傑作。(「BOOK」データベースより)

肉子ちゃんから勇気をもらう物語。

 

肉子ちゃんは人格者というわけではないし、正しく生きているわけではない。

それなりに間違った生き方をしているし、生まれ変わったら肉子ちゃんになりたいかと言われると、絶対に嫌だ。

けれど、肉子ちゃんはみんなに愛され、それ故に悲劇めいたことも起きてしまうけれども、肉子って愛称だけれど憎めない。

 

ということで、僕も肉子ちゃんを見習い、いびきを変えることにしようと思う。

どうにか頑張って「すごおおおおい!」といういびきに到達してみせる。

 

 
すごおおおおい!
 

 

蛇行する川のほとり/恩田 陸

演劇祭の舞台装置を描くため、高校美術部の先輩、香澄の家での夏合宿に誘われた毬子。憧れの香澄と芳野からの申し出に有頂天になるが、それもつかの間だった。その家ではかつて不幸な事件があった。何か秘密を共有しているようなふたりに、毬子はだんだんと疑心暗鬼になっていく。そして忘れたはずの、あの夏の記憶がよみがえる。少女時代の残酷なほどのはかなさ、美しさを克明に描き出す。

ひと夏の少女たちが残酷を知る物語。

 

あれ、ここはセーヌ川のほとりかしらん、と間違えてしまうような文章が醸し出す雰囲気。

そして、自然を奇跡に近い気持ちで愛するような純真な佇まいの少女たち。

勘違いしてフランス文学でも読んだっけ、と思うぐらいに美しい物語は四人の少女の視点から、過去を仄かに匂わせながらも語られる。

 

謎解きの要素もあるけれど、ミステリというよりは、純粋な美しさに酔いしれる物語だ。

 

 
少女たちと戯れよう。 

 

 


 


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