本と宴





【おすすめ10冊】読書ノート#2

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が最近読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴の読書記録、『読書ノート』をご紹介しよう。

 

 

 

 

読書ノート

 

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リターン/五十嵐 貴久

高尾で発見された手足と顔がない死体は、十年前ストーカー・リカに拉致された本間だった。警察官を殺し、雲隠れしていたリカを追い続けてきたコールドケース捜査班の尚美は、同僚の孝子と捜査に加わる。捜査が難航する中、孝子の恋人、捜査一課の奥山の連絡が途絶えた。彼の自宅に向かった二人が発見したのは…。『リカ』を超える衝撃の結末。(「BOOK」データベースより)

リカさんの恐怖に狼狽える物語。

 

え、リカさん…本間と10年間暮らしていたのですか!? と驚きを隠せない。

徐々に近づいてくるリカさんの存在。

それを追う警察。

その先にある不気味な感覚は、身体の中で何かが蠢いているようで落ち着かない。

そして、辿り着く恐怖。

忘れかけていたリカさんをふと思い出す。

そうだった。

リカさんはただ愛に飢えていただけだったのだ。

 

その結末は不安と予感を感じさせるものでもあった。

 

 
リカさんは相変わらずだ。
 

 

クロス/山下 紘加

私はどちらの性で、どんな立ち位置で、彼を愛せばいいのだろう。 警備会社で働く28 歳の「私」は、結婚していながら関係を続けていた浮気相手との悪戯をきっかけに、女性装にのめりこむ。 ストッキングを履いたり、自らの手でメイクを施したりと女性性に寄り添うような生活は、「私」に新鮮な喜びと自由をもたらす。 あるとき女の姿で訪れたバーで、タケオと名乗る男に出会い、強烈に惹かれていくが――。

女装に目覚めた男の物語。

 

主人公の、女装してみたら世界が変わりました、ありがとうございます、という感覚。

それは窮屈な現状からの解放であったり、娯楽のような甘ったるい幸福感であったり、とにかく美味しい。

そこに性という問題も加味され、男であるはずの人格が、女装すると乗っ取られたかのように変わる。

自分は一体どこにいるのか。

そして、誰なのか。

 

出口のない迷路のような迷いは、残念ながら最高の物語を作り出し、この気持ち悪さがいい! と絶賛されることになる(僕調べ)。

 

 
いい! 

 

スイッチ/潮谷 験

夏休み、お金がなくて暇を持て余している大学生達に風変わりなアルバイトが持ちかけられた。スポンサーは売れっ子心理コンサルタント。彼は「純粋な悪」を研究課題にしており、アルバイトは実験の協力だという。集まった大学生達のスマホには、自分達とはなんの関わりもなく幸せに暮らしている家族を破滅させるスイッチのアプリがインストールされる。スイッチ押しても押さなくても1ヵ月後に100万円が手に入り、押すメリットはない。「誰も押すわけがない」皆がそう思っていた。しかし……。

純粋な悪とは何かを描いた物語。

 

押すなよ、絶対に押すなよ、と言われれば押してみたくなる不思議。

そこに、押せばある家族破滅するよ、という地獄の宣告を加えればあっという間に純粋な悪の実験の始まりである。

押すのか、押さないのか、そんな逡巡に更なる波乱がざぶんと津波のように襲いかかり、そこに、私も参加します、と過去が参戦。

 

純粋な悪の実験は果たして成功するのか。

頭の中のコイントスに委ねてみても裏なのか、表なのか。

僕には判断がつかない。

 

 
これぞメフィスト賞。 


銀杏手ならい/西條 奈加

子に恵まれず離縁され、実家の手習所『銀杏堂』を継ぐことになった二十四歳の萌。女先生と侮る悪童らに振り回されながら、忙しない日々を送っていた。ある朝、銀杏堂の門前に女の捨子を見つける。自身も血の繋がらぬ両親に愛情深く育てられた萌は、その子を「授かりもの」として育てることを決心するが…。真っ直ぐに子どもと向き合い成長する、時代人情小説の傑作。(「BOOK」データベースより)

古き良き時代の教育と思いやりの物語。

 

ある日萌は子どもを拾い育てる。

その行為は、現代であれば誹謗中傷の嵐でTwitterが炎上するかもしれない。

けれど、周りの人たちはそんな萌を助け、優しく見守る。

その子は、きっと優しい子どもに育つこと間違いなしだろう。

 

そして、萌の子どもたちに向き合う真摯な姿勢。

昨今の教育現場にはモンスターが溢れかえっているらしいが、萌の真剣な想いを見習って欲しいものである。

 

 
教育の根本がここにある、かもしれない。 

 

儚い羊たちの祝宴/米澤 穂信

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。(「BOOK」データベースより)

バベルの会を中心に据えた上流階級たちの物語。

 

小説は狂っていれば狂っているほどに面白い。

本作の背景には上流階級という環境がある。

だからこそ、諸君、上流階級はこう狂うのだよ、といったお手本のような狂気は違和感なく、すんなりと酔いしれられる。

 

本格ミステリを求めている方には物足りない部分があるかもしれない。

が、個人的には狂ったダークファンタジーが大好きなので、これだよ、これ、求めていたのはこれなのだよ、とかつてない高揚に身震いした一冊だった。

 

 
ぶるぶる。 

 

旅のラゴス/筒井 康隆

北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

ラゴスの生涯をかけた旅の物語。

 

人生とは何ですか。

そう面接などで訊かれた際、ラゴスならば自信をもってこう言うことだろう。

旅です、と。

24歳から68歳にかけての旅はまさに人生そのもの。

良さげな場所があれば、もうここに永住しようかなぁ、という誘惑に駆られるものだが、ラゴスは、そんなの関係ない。

行くね、とあっさりその場所を去ってしまう。

彼にとって旅とは宿命なのかもしれない。

 

最後の最後まで旅を続けたラゴスの姿は、自分の信念を曲げない男のカッコよさで溢れていた。

 

 
人生のような旅。 

 

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上 春樹

多崎つくるは鉄道の駅をつくっている。名古屋での高校時代、四人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、四人から絶縁を申し渡された。理由も告げられずに。死の淵を一時さ迷い、漂うように生きてきたつくるは、新しい年上の恋人・沙羅に促され、あの時何が起きたのか探り始めるのだった。(「BOOK」データベースより)
多崎つくるが過去に決着をつけにいく物語。

 

人生でずっと引っ掛かり続けているもの。

それはどんなに時間が経とうとも消えてくれず、頭の片隅で常に蠢き、自分自身に影響を与えていく。

大抵は悪い方向へと。

多崎つくるの巡礼の旅は、そんな過去の呪縛からの解放であり、日常への回帰ある。

 

これでつくるは解放されるのだー、と思いきや、おや?

どうやらつくるの最後の巡礼は年上の恋人になりそうである。

 

 
長いタイトルが印象的。
 

 

舟を編む/三浦 しをん

出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!(「BOOK」データベースより)

辞書を作る物語。

 

…ううむ、果たして面白いのだろうか、と思っていた自分をぶん殴ってやりたいぐらいに、辞書作りはエキサイティングだった。

作成にまでかかる膨大な時間。

許されない誤植。

掲載する言葉の取捨選択。

作り手の真剣さは、僕の辞書に対する意識を変え、小説のように愛おしいものへと昇華していった。

 

それもこれも辞書作りの申し子、馬締光也のせいである。

彼は僕と辞書に関わる人たちを変えていった。

類まれな才能の持ち主だ。

 

 
 
 
 
辞書を読みたくなる。 

 

罪と罰/ドストエフスキー

鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に償われるという理論のもとに、強欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその妹まで殺してしまう。この予期しなかった第二の殺人が、ラスコーリニコフの心に重くのしかかり、彼は罪の意識におびえるみじめな自分を発見しなければならなかった。(「BOOK」データベースより)

罪と罰に喘ぐラスコーリニコフの物語。

 

ペトローヴィチさんと、ベトローヴナさんと、マルメラードワさんと、マルメラードフが一堂に会した時、世にも奇妙な名前地獄が始まる。

そんな地獄の中、ラスコーリニコフは罪に揺れる。

罪は法律である程度決まっているが、個人の見解としての罪は時代や国で大きく異なる。

正義、哲学、宗教、理論、自尊心。

だが、そんなもの結局は愛というものの前ではちっぽけなものだ。

 

罪と罰は愛ゆえに作られた規則なのかもしれない。

 

 
愛をとりもどせ! 

 

強運の持ち主/瀬尾まいこ

元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。ショッピングセンターの片隅で、悩みを抱える人の背中を押す。父と母のどちらを選ぶべき?という小学生男子や、占いが何度外れても訪れる女子高生、物事のおしまいが見えるという青年…。じんわり優しく温かい著者の世界が詰まった一冊。(「BOOK」データベースより)

話術と技術を行使する占い師の物語。

 

占い師を別次元のすごい存在だと思っていたのだけれど、どうやら一概にそうではないみたいだ。

占いに来た人は、大抵何か不安を持ち、それを解消するために来ている。

だからこそ、大事なのはその人にプラスになるようなことを告げ、笑って帰っていってもらうことなのだ。

知識ではなく、トークスキル、観察力、洞察力という技術で占うルイーズ吉田は、やってきたお客さんの背中をどんどん押していく。

 

例え占いが外れたとしても問題はない。

だってみんな満足そうな顔をしているもの。

 

 
大事なのは前向きに生きること。
 

 

 


 


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