【おすすめ10冊】読書ノート#3

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴の読んだ本の記録『読書ノート』をご紹介しよう。

 

 

 

 

読書ノート

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村上ラヂオ/村上春樹・文、大橋歩・画

著者の50のエッセイと大橋歩の銅版画101点のコラボレーション。雑誌「anan」の好評連載が一冊に。しみじみ、ほのぼの。あなたの心にすとんとしみる、久しぶりのエッセイ集。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

『異人さん』というワードを『いいじいさん』とか『にんじんさん』とか間違えている人を独自の解釈で捌いていく筆者。筆者にかかれば些細な話からでもドラマが作りだせるのだろう。そして、そこに加わる版画。この相乗効果は不況すらも乗り越えることができるかもしれない。小説では描けない物語がたんまりと詰まった一冊。

 

 
いいじいさんもびっくり。
 

 

テースト・オブ・苦虫(1)/町田康

 会話が通じない。ひょっとしたらおかしいのは自分?「コミュニケーション・ブレイクダウン」「陽気な僕ら浮気なあんたら。ハッピーなデイズ」「反省の色って何色ですか?」ほか、日常で噛みしめる人生の味は、苦虫の味。文筆の荒法師、町田康の叫びを聞け。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

文章に色濃く滲む味と勢いに魅了され、のっぴきならない用事があっても帰るに帰れない。これはエッセイなのか? という疑問も束の間、ああ、この世界はなんて居心地がいいのだろうか、という確信に変わる。空想の出来事と真実が交じり合い、あふれ出す筆者の存在は誰にも止められない。町田康の世界を存分に楽しむことできる一冊だ。

 
 
カオスな祭りを開催している。
 

 

容疑者Xの献身/東野 圭吾

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

容疑者Xは一体何をしているのだろうか。やがてそれが垣間見えた時、僕は彼の愛の大きさに狼狽えた。愛する人をただただ守りたい、例え愛されなくても。彼の「生まれた時からこの計画を企てていました」という躊躇いのない行動理念とトリックにはただただ脱帽。ところがそこに余計な奴が...やめて、ガリレオ! やめてあげて!

 

 
献身とは信念である。 

 

四畳半神話大系/森見 登美彦

私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

人生に失敗はつきものである。あの時、ああしておけば...本作はそんな疑問に答えた4つの平行世界の物語。所々リンクする平行世界に共通するワードや、避けられない出来事や事象。そして主人公の転機となるワード。平行世界だからこそのギミック溢れた面白みが僕を躍らせる。それにしても主人公の転機ワードは、なぜあれになったのか。責任者に問いただす必要があるかもしれない。

 

 
出てこい責任者! 

 

口笛の上手な白雪姫小川洋子

「大事にしてやらなくちゃ、赤ん坊は。いくら用心したって、しすぎることはない」。公衆浴場の脱衣場ではたらく小母さんは、身なりに構わず、おまけに不愛想。けれど他の誰にも真似できない多彩な口笛で、赤ん坊には愛された―。表題作をはじめ、偏愛と孤独を友とし生きる人々を描く。一筋の歩みがもたらす奇跡と恩寵が胸を打つ、全8話。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

よく迷子になって、その果てに体験した不思議な体験に魅了されたり、作家と恋に墜ち、言い知れぬ不安に駆られたり、僕は今忙しい。けれど、何か小骨のようなものが、心のどこかに引っ掛かっていて、心がかきみだされてしまう。不思議製造機である筆者が些細な日常にばら撒いた些細な不思議は、僕の中のどこかに今でも引っ掛かっている。

 

 
なかなか物語から抜け出せない。 

 

風味絶佳山田詠美

「甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから」70を超えてもグランマは現役ぶりを発揮する。20年目のマイルストーン的作品集。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

『アトリエ』という短編がある。甘じょっぱくてバランスのよい物語だと思っていたのだが、そっとばら撒いていたスパイスが、忘れた頃に喉元へ駆けあがってきた。苦みのような、辛みのような刺激に、ぎゃああ! と驚嘆めいたものを吐き出してしまった。けれど、また通いたくなる国籍不明な店員がいるタイ料理専門店のような中毒性がある。さすがは筆者である。その甘美な世界観は、僕の全発想力をもってしても出てきてくれはしないだろう。当たり前だけれども。

 

 
いろんな風味が楽しめる。
 

 

ピンクとグレー/加藤 シゲアキ

大阪から横浜へ越してきた小学生の大貴は、マンションで同い年の真吾と出会う。性格は全く違う2人だったが惹かれあい、親友に。やがて高校生になった2人は、雑誌の読者モデルをきっかけに芸能活動をスタート。同居も始めるが、真吾だけがスターダムを駆け上がっていくことで2人の仲は決裂してしまうが…。ステージという世界の魔法、幻想に魅入られた幼なじみの2人の青年の愛と孤独を鮮やかに描いた、切ない青春小説。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

アイドルを甘く見ていた。過去と現在を織り交ぜる手法。アイドルらしからぬ、文章に滲む重厚感。ダークな雰囲気。どの角度から見ても、素晴らしい世界観が描かれている。芸能界にいるからこそ見える世界だ。芸能人としての自分はどうあるべきなのか、という迷い。自分以外の影響で、自分が自分ではなくなっていく恐怖。そういう煩悶を越えて、芸能人たちは輝いているのかもしれない。

 

 
それをアイドルが書いている衝撃。
 

 

君はポラリス/三浦しをん

どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう。三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛…言葉でいくら定義しても、この地球上にどれひとつとして同じ関係性はない。けれど、人は生まれながらにして、恋を恋だと知っている―。誰かをとても大切に思うとき放たれる、ただひとつの特別な光。カタチに囚われずその光を見出し、感情の宇宙を限りなく広げる、最強の恋愛小説集。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

恋愛はなぜ難しいのだろうか。大抵は、好きか、嫌いか、の二択のはずである。けれど、それは僕の四畳半ぐらいある視野の狭い思い込みだった。同性を好きになってむふむふしたり、嫁が子供の大事なものを咥えてるのを見てふがふがしたり、実は僕は犬で人間に恋をして、わぉんと言ったり。本作は、好きか、嫌いか、では片づけられない慕情を訴えている。二択で括れないものこそ、本当の恋愛なのかもしれない。

 

 
微かな痛みと切なさを感じた。 

 

線は、僕を描く/ 砥上 裕將

 水墨画という「線」の芸術が、深い悲しみの中に生きる「僕」を救う。第59回メフィスト賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

圧倒される迫力と繊細な技術、そして描き手の熱量。水墨画とはなんて奥行きのある世界なのだろうか。そんな水墨画と運命の出会いを果たした「僕」は過去と人生に立ち向かっていく。そして、たくさんの出会いもあった。それは水墨画と同じように彼の財産となっていくことだろう。いい人たちに出会えて、本当にラッキーな奴である。

 

 
些細な出会いが人生を変えるかも。 

 

六枚のとんかつ/蘇部 健一

 『メフィスト賞』第三回受賞作。大笑いか激怒かっ!?決して読む者の妥協を許さぬ超絶アホバカ・ミステリの決定版、遂に登場!流麗にしてクレバー。この“難問”を自力で解いた時には感動すらおぼえる表題作。思わず“ナルホド”とヒザを打つ『音の気がかり』。“ウゲッ”と絶句する『しおかぜ17号四十九分の壁』他、全15編+αを完全収録。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

一度見ただけだと、なんだこれは? という評価になるエンタメ作品がたまにひょこっと顔を出す時がある。本作もそのタイプに部類する小説だ。探偵役は決して正しい推理をするとは限らない。暴走の果てに間違った方向へと進み、オチへと進む。まるでミステリーを題材にした、落語のようである。中々お目にかかれないミステリーのスタイルを作り出した筆者には、感服するしかない。

 

 
面白い味のとんかつ。
 

 


 


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