本と宴





【おすすめ10冊】読書ノート#6

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴の読書記録である『読書ノートを紹介しよう。

 

 

 

 

読書ノート

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ジョーカーゲーム柳 広司

結城中佐の発案で陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校“D機関”。「死ぬな、殺すな、とらわれるな」。この戒律を若き精鋭達に叩き込み、軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く結城は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を上げてゆく…。吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞に輝く究極のスパイ・ミステリー。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

スパイ養成学校『D機関』に関わる者たちの物語。

 

僕は、自分がスパイ向きであると豪語していたのだが、本作を読み、無理だと悟った。自分の気持ちすらもコントロールし、死ぬな、殺すな、とらわれるな、という戒律は厳しすぎる。

 

スパイの実情と葛藤。それらが秀逸に展開されるミステリーと相まみえる。

 

 
スパイの過酷さを知った。 

 

神様ゲーム麻耶 雄嵩

小学四年生の芳雄の住む神降市で、連続して残酷で意味ありげな猫殺害事件が発生。芳雄は同級生と結成した探偵団で犯人捜しをはじめることにした。そんな時、転校してきたばかりのクラスメイト鈴木君に、「ぼくは神様なんだ。猫殺しの犯人も知っているよ。」と明かされる。大嘘つき?それとも何かのゲーム?数日後、芳雄たちは探偵団の本部として使っていた古い屋敷で死体を発見する。猫殺し犯がついに殺人を?芳雄は「神様」に真実を教えてほしいと頼むのだが…。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

神様に翻弄される小学生の物語。

 

全知全能の神様に不可能はないのだけれど、手を貸してくれるかどうかは別問題。そもそも本当に神様なのか確かめるすべもない。徹底して小学生というものを描いた物語が作り出した残酷な真実と疑心暗鬼は、僕をワクワクさせたけれど、芳雄は容赦なく打ちのめされていく。

 

これは神の仕業? それとも運命? 意味の分からない真実に芳雄は静かに眼を閉じるしかなかった。

 

 
神様は意地悪だ。 

 

1Q84/村上 春樹

1Q84年―私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう。青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。…ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』に導かれて、主人公・青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

1Q84を巡る不可思議な物語。

 

世界は疑問に満ちている。少し歩けば、犬のように疑問にぶち当たり、もう少し歩けば、世界情勢のように混乱する。ある少女の小説、宗教団体、夜空に浮かぶ月、人智を超えた存在。その全ては青豆と天吾にとって、何らかの意味を持っているのだろうけれど、それが何かわからない。

 

1Q84の世界に翻弄されながらも手繰り寄せられる運命は、僕を得体の知れない高揚感へと誘ってくれる。

 

 
ひとつきりの月が浮かぶ世界へ。
 

 

少女は踊る暗い腹の中踊る/岡崎 隼人

連続乳児誘拐事件に震撼する岡山市内で、コインランドリー管理の仕事をしながら、無為な日々を消化する北原結平・19歳。自らが犯した過去の“罪”に囚われ続け、後悔に塗れていた。だが、深夜のコンビニで出会ったセーラー服の少女・蒼以によって、孤独な日常が一変する。正体不明のシリアルキラー“ウサガワ”の出現。過去の出来事のフラッシュバック。暴走する感情。溢れ出す抑圧。一連の事件の奥に潜む更なる闇。結平も蒼以もあなたも、もう後戻りはできない!!第34回メフィスト賞受賞!子供たちのダークサイドを抉る青春ノワールの進化型デビュー。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

感情が勢いのままほとばしる物語。

 

潔い物語は、へばりつく過去を吹き飛ばそうとするかのように、傲慢に、身勝手にぶっ飛ばしていく。そんな物語の中で、結平とウサガワの行動は異常ともいえる。けれど、それは過去のためであり、未来のため。

 

傍から見れば暴走しているようにしか見えないけれど、それは未来が決めることだ。傍観者が決めることではないのだ。

 

 
とにかく進もう。
 

 

教団X/中村 文則

謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。絶対的な悪の教祖と4人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。著者最長にして圧倒的最高傑作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

教団Xに関わる者たちの物語。

 

信仰とは何か。本作にはその答えに近づけるヒントがある。宗教だけではなく、宇宙や政治、その他もろもろの話を織り交ぜたスペクタクルな内容は、僕に「考えろ!」と訴え続ける。そして、宗教の恐ろしさを叫び続けている。教団Xは、まさに宗教の恐ろしさを体現した団体だ。

 

信仰とは救いであるはずなのだけれど、残念なことに信仰と狂気は紙一重で、危険を孕んでいたりもするものなのだ。

 

 
やがて狂気は暴力に。 

 

なかよし小鳩組荻原 浩

倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に大仕事が舞いこんだ。ところが、その中身はヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略、というとんでもない代物。担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとには、さらに別居中の娘まで転がりこんでくる。社の未来と父親としての意地を賭けて、杉山は走りだすが―。気持ちよく笑えて泣ける、痛快ユーモア小説。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

父親という存在のたくましさを描いたユーモア小説。

 

ユニバーサル広告社社員、杉山は誰がどう見てもろくでもない親である。アル中で酒癖も最悪。いい親の部類にはどんなコネクションを使ってでも、決して入ることはないだろう。けれど、杉山は子供と一緒にサッカーをする。馬も育てる。子供のことを真剣に考え、愛することが出来る。

 

本作は杉山の成長を描いた物語である。難しい仕事に、ええい、ままよ、とぶつかっていく姿勢。子供に対して必死に頑張る姿。ボロボロになりながらも走り出した杉山はカッコよくて、心がうち震わされた。

 

 
頑張れ杉山。
 

 

殺戮にいたる病我孫子 武丸

東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるシリアルキラーが出現した。くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇、平凡な中流家庭の孕む病理を鮮烈無比に抉る問題作!(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

猟奇的で病的なシリアルキラーの物語。

 

グロいのを控えた方がいい、とお医者様に言われた方は本作を控えた方が賢明かもしれない。少しの揺らぎもない愛と猟奇性は猛毒だ。耐性がないとやられる可能性がある。シリアルキラーに対する巨大な怒りと疑惑はやがて真実へと到達するのだが、その刹那、僕は勘違いに気づくことになる。

 

どうやら僕は、蒲生稔という存在と物語の捉え方を間違っていたようだ。

 

 
麻薬のような真実だった。 

 

来来来来来/本谷 有希子

新婚一ヶ月で旦那が失踪!嫁ぎ先には野鳥狂いの姑に、いじわる小姑。新妻・蓉子は、鬱憤ぶつけられ放題の日々に、ひたすら耐えている―とびきりの「ご褒美」を待ちながら。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

面白さの中に思わせぶりな物悲しさを孕んだ戯曲。

 

鬱蒼とした悲劇には喜劇がよく合う。本作は喜劇と悲劇の二重人格である。どこまでも悲劇な人格は、蓉子に感情をロックオンし、狙いを定める。なんて不憫な境遇なんだろう。しかし、その憐憫の情は次第に姿を変え、複雑な化物に進化する。一方、喜劇の人格は大いなるテンションを登場人物たちに授ける。好き勝手やっていた別々の人格も、やがて1つに統合し正体を表す。

 

これはただのエキセントリックな戯曲ではない。ひたすら面白いとは何かを追求したエンターテイメントである。

 

 
舞台が頭に浮かんでくる。 

 

イン・ザ・プール/奥田 英朗

「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

伊良部総合病院神経科を訪れた患者たちの物語。

 

精神科医の物語ということで、なんとなく難しく身構えていた自分がいたが、拍子抜けだった。伊良部先生はとんでもなかったのである。深夜のプールに忍び込もうとしてみたり、美人の患者にそれなりのガチさをもって迫ってみたり。その行為は患者たちを圧倒させてしまうが、なぜだか結果オーライ。患者たちは落ち着くべきところに落ち着く。

 

あれ、ひょっとすると名医なのでは。実は凄腕の持ち主なのかもしれない…?

 

 
型破りな精神科医だ。 

 

永い言い訳/西川 美和

人気作家の津村啓こと衣笠幸夫は、妻が旅先で不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。悲劇の主人公を装うことしかできない幸夫は、妻の親友の夫・陽一に、子供たちの世話を申し出た。妻を亡くした男と、母を亡くした子供たち。その不思議な出会いから、「新しい家族」の物語が動きはじめる。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

失くした絆を新しい絆が思い起こさせる物語。

 

夫婦というのは一緒にいる時間が長ければ長い程、愛することを忘れ、怠りがちになる。けれど、死んでしまってはもう愛することができない。独りよがりの言い訳でしかなくなってしまう。衣笠幸夫と同じ境遇の家族たちの物語は、言い訳などではない。痛切なメッセージである。

 

亡くなった人にはもう愛を伝えることができないけれど、せめて生きている人には愛を伝えていきたいと思う。

 

 
幸夫の永い言い訳が届きますように。
 

 


 


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