【おすすめ10冊】読書ノート#7

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴の読書記録、『読書ノート』をご紹介しよう。

 

 

 

 

読書ノート

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世界の果てのこどもたち中脇 初枝

戦時中、高知県から親に連れられて満洲にやってきた珠子。言葉も通じない場所での新しい生活に馴染んでいく中、彼女は朝鮮人の美子と、恵まれた家庭で育った茉莉と出会う。お互いが何人なのかも知らなかった幼い三人は、あることをきっかけに友情で結ばれる。しかし終戦が訪れ、運命は三人を引きはなす。戦後の日本と中国で、三人は別々の人生を歩むことになった。戦時中の満洲で出会った、三人の物語。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

僕は教科書に書いてある戦争以外の戦争を知らない。それを本作の三人は悲痛な体験を通して教えてくれる。自分だけが幸せになるわけにはいかない、居場所がない、忘れてしまった日本語。その後遺症は終戦後も消えることはない。その時代を生きた人にとって、戦争とは終わることのない悲劇なのかも知れない。

 

 
二度と繰り返してはいけない。
 

 

王とサーカス/米澤 穂信

海外旅行特集の仕事を受け、太刀洗万智はネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王殺害事件が勃発する。太刀洗は早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり…2001年に実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクション、米澤ミステリの記念碑的傑作。『このミステリーがすごい!2016年版』(宝島社)“週刊文春”2015年ミステリーベスト10(文藝春秋)「ミステリが読みたい!2016年版」(早川書房)第1位。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

調理しずらい『国』という食材の中で挑んだ事件は、太刀洗万智に難問を語りかけてくる。ジャーナリストとはどうあるべきなのか、事件にどう向き合うか、どう記事にするか。その葛藤は万智を成長させた。ジャーナリストとして大事なもの。それは未来を見据えていくことなのかもしれない。

 

 
難しい職業だ。
 

 

ノルウェイの森/村上 春樹

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は一九六九年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

僕は激しく混乱し、動揺していた。本作がわかりやすく形あるものを投げつけてくる気配がないからだ。主人公の近くにある生と死。それが何を示しているのかわからなくて僕は悩むのだけれど、結局人間は生を求めるものなのかもしれない。生と死に翻弄された主人公が辿り着いた朧げな場所に一抹の不安を覚える。

 

 
主人公は一体どこにいるのだろう? 

 

オルタネート加藤 シゲアキ

高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。全国配信の料理コンテストで巻き起こった“悲劇”の後遺症に思い悩む蓉。母との軋轢により、“絶対真実の愛”を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津。高校を中退し、“亡霊の街”から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる”とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体―。“あの頃”の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

マッチングアプリには危険が潜んでいる。簡単に繋がり合えるからこその不自由。そして、飛び交う悪意。オルタネートが普及する世界で翻弄される蓉、凪津、尚志には次世代の怖さを感じる。けれど、それも全部使い方次第。未来はオルタネートではなく、自分たちで手繰り寄せなければいけない。加速していくドラマティックな展開に青春の音が鳴り響く。これは三人が辿り着いた祭りだ。

 

 
エキサイトする青春。
 

 

乳と卵川上 未映子

娘の緑子を連れて大阪から上京してきた、「わたし」の姉でありホステスの巻子。巻子は豊胸手術を受けることに取り憑かれている。一方で、緑子は言葉を発することを拒否し、ノートに言葉を書き連ねる。夏の三日の間に展開される哀切なドラマは、身体と言葉の狂おしい交錯としての表現を極める!日本文学の風景を一夜にして変えた、芥川賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

人はいつしか当たり前のように自分の性に折り合いをつけるものだけれど、性がまだ未熟な緑子にとってはそうもいかない。理解できないことも納得できないこともあることだろう。痛切な悲鳴で溢れたノートは、不思議な夏の三日間に性の摩訶不思議さと複雑で紐解けない感情を注ぐ。わたし視点で描かれるからこその哀切さが胸に響いた一冊。

 

 
性って難しい。 

 

白いしるし西 加奈子

女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった―。恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるのだろうか?ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

恋は障害物はあればあるほど燃えるもの。だが、その障害物は超えることができないし、壊すこともできない。障害物などなかったかのように振る舞うことはできるかもしれないが、それは辛いことだ。尊敬していた上司が横領をしていた事実よりも辛い。けれど、この恋が夏目にくれたものは辛い想いだけではない。夏目に更なる強い気持ちと、白いしるしを残していったのだ。

 

 
真っ白の中に映える白いしるしを。
 

 

整形美女姫野 カオルコ

二十歳の繭村甲斐子は、大きな瞳と高い鼻、豊かな乳房とくびれたウエストを持つ女性だった。だが、彼女は名医・大曾根に懇願し、全身整形をする。一方、同郷の望月阿倍子も、社会人となった新生活を機に整形。その姿は甲斐子そっくりになった。正反対の考えのもと、整形をした二人の、整形後の運命はいかに―。美しさとは?幸福とは?根源を問う衝撃作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

『整形』という、変わりたい人御用達の魔法。危険すぎて、人々から恐れられている諸刃の剣は二人から取り返しのつかないものを奪っていった。自分を変えることとは何か、幸せとは何か。甲斐子と阿倍子の人生と煩悶は、僕を深い熟考の海に突き落とした。幸せは様々な形で僕らの側にいるのかもしれない。

 

 
なかなか陸に上がることができない。
 

 

空中ブランコ奥田 英朗

伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

 前作『イン・ザ・プール』の伊良部一郎は破天荒極まりない精神科医だった。彼もきっと成長していることだろう、と遠足の前日ぐらい楽しみにページを捲ると、前作と同じ伊良部先生がいた。患者が心を治している最中に、同時進行で開催されている伊良部先生のお楽しみ会。彼は名医なのか、ヤブ医者なのか。それもやはり判然としない。

 

 
でも患者たちも楽しそう。
 

 

高熱隧道吉村 昭

黒部第三発電所――昭和11年8月着工、昭和15年11月完工。人間の侵入を拒み続けた嶮岨な峡谷の、岩盤最高温度165度という高熱地帯に、隧道(トンネル)を掘鑿する難工事であった。犠牲者は300余名を数えた。トンネル貫通への情熱にとり憑かれた男たちの執念と、予測もつかぬ大自然の猛威とが対決する異様な時空を、綿密な取材と調査で再現して、極限状況における人間の姿を描破した記録文学。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

今となれば技術も発展しているだろうから、トンネル工事で使用したダイナマイトが自然発火し~というニュースを僕は聞いたことがない。でも昔は違う。多くの犠牲者を出しながら命がけで掘らなければいけなかった。人間の限界。掘るために使用するダイナマイトの自然発火。魔術のような大自然の驚異。臨場感と緊迫感にあふれた地獄絵図のような光景に、僕の胸は何度でも熱くなる。当たり前に通りすぎていたトンネルが少しだけ怖くて切ないものに見えてくる。

 

 
ブラック企業のレベルではない。
 

 

十角館の殺人綾辻 行人

十角形の奇妙な館を訪れた大学ミステリ研の七人。彼らを襲う連続殺人の謎。結末に待ち受ける“衝撃の一行”とは?本格ミステリの名作がYA!に登場。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

閉じ込められた孤島にぽつりと漂う館。そこで起こる連続殺人の緊迫感とさようなら楽しかった日々、こんにちは疑心暗鬼が僕を、頑張って地震でも起こそうとしているかの如く震えさせる。そして、本土で展開される物語と交わった時、ある一行をきっかけに全てはひっくり返っていく。神がかり的な展開に僕の心臓もひっくり返ったような気がした。

 

 
ラグナロクでも起きたのかと思った。 

 


 


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