【おすすめ10冊】読書ノート#9

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴の読書記録、『読書ノート』をご紹介しよう。

 

 

 

 

読書ノート

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十二人の死にたい子どもたち/冲方 丁

廃病院に集まった十二人の少年少女。彼らの目的は「安楽死」をすること。決を取り、全員一致で、それは実行されるはずだった。だが、病院のベッドには“十三人目”の少年の死体が。彼は何者で、なぜここにいるのか?「実行」を阻む問題に、十二人は議論を重ねていく。互いの思いの交錯する中で出された結論とは。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

絶望は散歩が大好きなようで、誰でも遭遇する可能性のあるもの。十二人の中には、それでよく死ぬ覚悟が持てたね、という人物もいるが、絶望の重さは、やはり人それぞれ。死ぬために出会った十二人は悲しいけれど、彼らは出会うべき十二人でもあった。ぶつかり合うこともあったけれど、死にたい子供達同士だからこそわかりあえることもあった。それは大人がどんなに語り伏せても解けない心の向こう側にそっと触れることができたからだと思う。

 

 
十三人目の正体とは?
 

 

また、同じ夢を見ていた/住野 よる

「人生とは和風の朝ごはんみたいなものなのよ」小柳奈ノ花は「人生とは~」が口癖のちょっとおませな女の子。ある日、彼女は草むらで一匹の猫に出会う。そしてその出会いは、とても格好いい“アバズレさん”、手首に傷がある“南さん”といった、様々な過去を持つ女性たちとの不思議な出会いに繋がっていき―。大ベストセラー青春小説『君の膵臓をたべたい』の住野よるが贈る、幸せを探す物語。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

夢は所詮夢かもしれないけれど、今生きている現実に影響を与えるものなのかもしれない。小学生にしては大人びている小柳奈ノ花。同級生から見れば、自分たちと少し違っている奈ノ花が怖い存在だったのかもしれないし、ただ単にいけすかない存在だったのかもしれない。そんな爆弾のような彼女をそっと包み込んだ夢は、とても優しく奈ノ花に寄り添う。その夢たちを奈ノ花には、いつまでも忘れないでいてほしい。

 

 
奈ノ花がどうなっていくのかは薔薇の下で。
 

 

午前零時のサンドリヨン/相沢 沙呼

ポチこと須川くんが一目惚れしたクラスメイトの女の子、不思議な雰囲気を纏う酉乃初は、凄腕のマジシャンだった。放課後にレストラン・バー『サンドリヨン』で腕を磨く彼女は、学内の謎を抜群のマジックテクニックを駆使して解いていく。それなのに、人間関係には臆病で心を閉ざしがち。須川くんは酉乃との距離を縮められるのか―。“ボーイ・ミーツ・ガール”ミステリの決定版。第19回鮎川哲也賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

学内で起きた事件はそれぞれの心が抱えた不安が形作られたもの。それは誰もが持っているかもしれない不穏な不安。マジシャンである酉乃初の魔法は、脆くてくずれそうな夢に後押しされ、驚きと想いを伝える。不安なんか、一緒に打ち倒してしまおうぜ、とでも言うかのように。魔法が上手くいかなかったり、効きにくい相手もいるかもしれないが、そんな時は魔法をかけて貰えばいい。魔法が上手く使えなくても、酉乃初は酉乃初に変わりはないのだから。

 

 
僕も魔法をかけてもらいたい。
 

 

うさぎパン/瀧羽 麻子

お嬢様学校育ちの優子は、高校生になって同級生の富田君と大好きなパン屋巡りを始める。継母と暮らす優子と両親が離婚した富田君。二人はお互いへの淡い思い、家族への気持ちを深めていく。そんなある日、優子の前に思いがけない女性が現れ…。書き下ろし短編「はちみつ」も加えた、ささやかだけれど眩い青春の日々の物語。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

淡い。何が淡いかというと、優子と富田くんである。昨今の高校生の恋愛は進みすぎていてもはや近未来。車は宙に浮き、人はワープ装置を使って移動するような恋愛ばかり。だからこそ今、真っ直ぐな純愛を描いてしまうと嘘臭くなりがちなのだが、本作が纏う空気がそれを自然とやってのけている。富田くんの初々しさは、お嬢様育ちの優子への想いに溢れ、かわいくて、うさぎパンと一緒に食べてしまいたいぐらいだ。

 

 
もちろん耳から。
 

 

デッドエンドの思い出/よしもと ばなな

つらくて、どれほど切なくても、幸せはふいに訪れる。かけがえのない祝福の瞬間を鮮やかに描き、心の中の宝物を蘇らせてくれる珠玉の短篇集。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

人生は紆余曲折。どこへ向かっているのかわからぬ道をくねくねうねうね曲がりに曲がり、辿り着いたのは行き止まり。そういう人生のつらい時期を、筆者は切り取り本作に貼り付ける。ペタリと貼られた短編たちは、ふんわりしていて可愛らしい印象を受けるが、つらいものはつらい。けれど、大丈夫。行き止まりなんて壊してしまえばいい。その先は幸せに通づる近道なのかもしれないのだから。生きていると、辛かったり、刺々しくなったりもするけれど、そうなった時、僕はまた、本作を読みたいと思う。

 

 
週一で読むことになるかもしれない。
 

 

青が破れる/町屋 良平

ボクサー志望のおれは、友達のハルオから「もう長くない」という彼女・とう子の見舞いへひとりで行ってくれと頼まれる。ジムでは才能あるボクサー・梅生とのスパーを重ねる日々。とう子との距離が縮まる一方で、夫子のいる恋人・夏澄とは徐々にすれ違ってゆくが…。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

生活が嫌だ。苦しい。生きていることは苦痛の連続でもある。運命は暴力的に主人公に牙を向けてくるので、暴力反対を説いてみるけれど、全く耳をかさず、理不尽な振る舞いをおこす。その傍若無人ぶりには声を失う。結局、彼は青に引っ張られているのか、それとも青を受け入れようとしているのか。名前のわからない微妙な変化は、名前のわからない未来へとひた走っていく。そうすれ何も考えなくて済むのだから。

 

 
青が破れてしまった。
 

 

黒い家貴志 祐介

若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに…。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

世の中には知らないままでいた方がいいこともある。入ってしまったが最後。そこからは恐ろしいものがゴロゴロと出てくる。主人公はその扉を開けてしまった。自分の価値観を超えた存在。それは残業をしてでもとらえきることは出来ない。見たことも、触ったこともない恐怖が若槻と僕に襲い掛かる。人はここまで悪になりきれるのだろうか。主人公と僕は人間の本当の怖さを目の当たりにした。極限の恐怖とは、このことを言うのかもしれない。

 

 
怖すぎる。 

 

むかしむかしあるところに、死体がありました。/青柳 碧人

鬼退治。桃太郎って…えっ、そうなの?大きくなあれ。一寸法師が…ヤバすぎる!ここ掘れワンワン埋まっているのは…ええ!?昔ばなし×ミステリ。読めば必ず誰かに話したくなる、驚き連続の作品集!(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

 ミステリは時代を超える。一寸法師に、花咲かじいさんに、つるの恩返しに、浦島太郎に、桃太郎。どれも読んだことがある、かつ今でも記憶にある昔話たちだ。懐かしさを感じつつも、突然荒ぶりだす物語と最後までどうなるかわからない展開。そして、そこから生まれる読後の余韻。昔話だからこそのトリックと謎。はじめて昔話を読んだ時のような高揚感が本作にはあった。

 

 
秀逸なミステリが爆誕。
 

 

永遠の0百田 尚樹

「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくる―。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。涙を流さずにはいられない、男の絆、家族の絆。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

狂った国のために命を落とした人たちがいた。彼らは零戦にのり果敢に戦った。国のためなら命をかけるのが当たり前の世の中で、零戦に乗り、恐怖に耐えながらも果敢に戦い抜いた。健太郎の死んだ祖父は、そんな国の中で「死ねない」と誓って戦った。当時の状況では、それはいけないこと。にもかかわらず「死ねない」と言った祖父は強く、カッコいい。おかしな国のために命をかけて戦った人たちがいたことを、僕は忘れない。忘れたくない。

 

 
絶対に忘れちゃいけない物語。 

 

星の王子さまサン・テグジュペリ

砂漠に不時着した主人公と、彼方の惑星から来た「ちび王子」の物語。人の心をとらえて離さないこの名作は、子供に向けたお伽のように語られてきた。けれど本来サン=テグジュペリの語り口は淡々と、潔い。原文の心を伝えるべく、新たに訳された王子の言葉は、孤独に育った少年そのもの。ちょっと生意気で、それゆえに際立つ純真さが強く深く胸を打つ―。「大切なことって目にはみえない」。感動を、言葉通り、新たにする。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

大人になると、ふとあの時の気持ちは一体どこへいってしまったのだろうか、と思うことがある。かばんの中も机の中も探しだけれど見つからなかったが、それがなんと本作にあった。盲点である。どうやら大切なことは目には見えないらしい。王子さまと飛行機で不時着した『僕』は、たくさんの物語を紡ぐ。それは愛らしくて、僕が忘れてしまっていたもののようだった。本を閉じ、夜空を見上げてみる。すると、星たちは笑っているようにも、泣いているようにも見えた。

 

 
あの星のどれかに王子さまはいるのだろうか。
 

 


 


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