本と宴





【おすすめ10冊】読書ノート#11

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴の読書記録、『読書ノート』をご紹介しよう。

 

 

 

 

読書ノート

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君の膵臓をたべたい/住野 よる

ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて―。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

「名前のない僕」と「日常のない彼女」の恋とは呼べない物語。

 

膵臓をたべたい。この言葉は彼らがカニバリズムで膵臓を好んで食べているという証明ではなく、二人の大切な繋がりを証明する言葉である。山内桜良のすぐ側には「死」が常に付きまとっている。だからこそ、二人は感情を単純に吐き出すわけにはいかなかった。二人の共有されていく秘密。思い出、理解、桜良の願い。明日死ぬかもしれない事実。『君の膵臓をたべたい』というキラーワードに含まれたたくさんの想いは、僕の涙腺と心を爽やかに殴りつけてくるので、めちゃくちゃ痛い。

 

人と関わることと今日という日の大切さを思い知らされた一冊である。

 

 
僕も膵臓をたべてみたい。
 

 

その女アレックス/ピエール・ルメートル

おまえが死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

奇想天外なアレックスに振り回される物語。

 

僕が小説を読むのは、心を揺れ動かされたいからである。普通に生きていれば味わえない人生の四苦八苦を主人公に乗り移り、体験したいからなのだが、この女アレックスは得体が知れない。最初は監禁された被害者として姿を現したアレックス。なぜ監禁されたのかわからないが、ここまで痛めつけられるなんてひどいではないか。と、アレックスに乗り移った僕は監禁の苦しみを共に味わうわけなのだが、あら、何か様子がおかしい。

 

悲しみや苦しみは、やがて、どういうこと? となり、そして、驚きに変わり、やはり悲しみへと戻っていく。息つく暇もなくひしめく展開に、僕の心はもうくたくたである。

 

 
まさかそんな女だったなんて... 

 

僕のメジャースプーン/辻村 深月

ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった―。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に一度だけ。これはぼくの闘いだ。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

復讐という行為をコトコト煮詰めてじっくりと熟成させた物語。

 

もし僕が、主人公のような能力を持っていたとするならば、乱用しまくり、その内新世界の神になるとか言って、大層な野望を抱くところである。が、主人公には優しく厳しい大人たちがいた。

 

人が人を裁くということ。罪と罰。愛と命。大人との対話によって、主人公が最後に出した答え、そして衝撃的な闘いの結末には息が詰まる思いだ。

 

 
ひどい事件だ。
 

 

名前探しの放課後/辻村 深月

依田いつかが最初に感じた違和感は撤去されたはずの看板だった。「俺、もしかして過去に戻された?」動揺する中で浮かぶ一つの記憶。いつかは高校のクラスメートの坂崎あすなに相談を持ちかける。「今から俺たちの同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」二人はその「誰か」を探し始める。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

名前の分からない自殺者を探す物語。

 

タイムスリップは人類の夢。いつの日かタイムマシンが作られたあかつきには、例え臓器を売ることになっても使用させてもらい、あんなことやこんなことをしようと思っているのだが、依田いつかはタイムマシンなど使わずとも、あれ、戻ってる? 状態。ただ時期を選ぶこともできなければ、記憶もあやふや。これは夢にまで見たタイムスリップ状態ではない。

 

けれど、いつかはそのタイムスリップを意味あるものにしようとし、本来あり得なかったはずの友情に恵まれた。こんな青春を送れるのであれば、僕もタイムスリップしたいものである。

 

 
必ずメジャースプーンから先に読もう。 

 

ユリゴコロ/沼田 まほかる

ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題された4冊のノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。この一家の過去にいったい何があったのか―。絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラストまで、ページを繰る手が止まらない衝撃の恋愛ミステリー!各誌ミステリーランキングの上位に輝き、第14回大藪春彦賞を受賞した超話題作!(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

衝撃的な内容のノートの物語と現在が交差して、やがて交わる物語。

 

本作は家族の物語でもある。幸せな家族像とは程遠いかもしれないけれど、必死に生きた家族が、ここに描かれていて、もやもやもするのだけれど、これで良かったんだろうなあ、きっと。

 

ノートは一体誰が書いたものなのか、それは実際に起きた出来事なのか、気になる展開は僕のユリゴコロをちくちく刺激して痒い。

 

 
自分家でそんなノート見つかったら怖い。 

 

手紙/東野 圭吾

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

強盗殺人を犯していないはずの弟が、兄の罪に覆われる物語。

 

僕は今幸せに暮らしているが、世の中にいる犯罪加害者の家族はどう暮らしているのであろう。そんな疑問を解決してくれるのが本作。もちろんケースは人それぞれだけれども。もしも、僕の家の隣人が強盗殺人犯の弟だと想像してみる。たしかに怖いし、要注意せざるを得ない。なので、直貴かわいそう、と思いもしたが、それは偽善でしかないわけだ。

 

でも、本作を読んで、注意はするだろうけれど、まずはちゃんとその人自身を見ようと思った。犯罪加害者の家族は罪を犯していないのだから。

 

 
重い手紙だった。
 

 

7回死んだ男/西澤 保彦

高校生の久太郎は、同じ1日が繰り返し訪れる「反復落とし穴」に嵌まる特異体質を持つ。資産家の祖父は新年会で後継者を決めると言い出し、親族が揉めに揉める中、何者かに殺害されてしまう。祖父を救うため久太郎はあらゆる手を尽くすが―鮮やかな結末で読書界を驚愕させたSF本格ミステリの金字塔!(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

7回も死んでしまう男を救う物語。

 

ハリウッド超大作でも、2度死ぬ、ぐらいが限界なのに7回も死ぬとは…ご愁傷様であるが、一体どういうことだ? 気になって蓋をあけてみると、そこには不思議なミステリが、春を感じたつくしかのように顔を出していた。不思議な体質と、なぜが死んでしまう祖父、余計なことをする登場人物。悪戦苦闘する主人公と驚きの事実、どこかコミカルな展開。

 

重すぎるミステリも嫌だけれど、軽すぎても嫌! というマリーアントワネットぐらいわがままな方には、「7回死んだ男でも読めばいいじゃない」と、ぜひとも言いたい。

 

 
バランスのとれた絶妙なミステリ。 

 

寡黙な死骸 みだらな弔い/小川 洋子

息子を亡くした女が洋菓子屋を訪れ、鞄職人は心臓を採寸する。内科医の白衣から秘密がこぼれ落ち、拷問博物館でベンガル虎が息絶える―時計塔のある街にちりばめられた、密やかで残酷な弔いの儀式。清冽な迷宮を紡ぎ出す、連作短篇集。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

11の不穏渦巻く弔いを描いた短編集。

 

タイトルからエッジがきいていて、恐る恐る読みはじめたけれど、そこにはホラーやサスペンスとは一味違う物語が展開されていた。物語同士の繋がりや、死骸たちが何も語らないからなのか、不思議な違和感に包まれる。喉あたりに何かが引っかかっているのだ。でも全然嫌じゃない。もっと引っかかってくれればいいと懇願してしまう。

 

これこれ、こんなの待ってましたよ! と、もし僕が人気アーティストであれば、オーディエンスの声が止まないであろう一冊だ。

 

 
絶妙に素晴らしく不穏。
 

 

賢者の愛/山田 詠美

幼い頃からの想い人、諒一を奪った親友の百合。二人の息子に「直巳」と名付けた日から、真由子の復讐が始まった。二十一歳年下の直巳を調教し、“自分ひとりのための男”に育てる真由子を待つ運命は―。谷崎潤一郎『痴人の愛』に真っ向から挑んだ話題作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

復讐と愛と挑戦が織り交ざった物語。

 

思えば、痴人の愛の主人公も当初は賢者になろうとしていた。ところが気付けば痴人に転落。ナオミという怪物によって。本作の真由子も、それに近い転落をみせる。ただ違うのは、復讐という背景があったこと、そして化け物はナオミではなかったことだ。

 

どろどろと屈折した愛の泥濘にはまった果てに、悲劇と呼ぶに相応しい喜劇が本作にはあった。痴人の愛がかわいいと思えるほどに。

 

 
なんでこんなことに…
 

 

僕は勉強ができない/山田 詠美 

ぼくは確かに成績が悪いよ。でも、勉強よりも素敵で大切なことがいっぱいあると思うんだ―。17歳の時田秀美くんは、サッカー好きの高校生。勉強はできないが、女性にはよくもてる。ショット・バーで働く年上の桃子さんと熱愛中だ。母親と祖父は秀美に理解があるけれど、学校はどこか居心地が悪いのだ。この窮屈さはいったい何なんだ!凛々しい秀美が活躍する元気溌刺な高校生小説。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

勉強ができないからなんだ! と声高らかに叫びたくなる物語。

 

勉強は大事なこと。けれど、勉強よりも大切なことは沢山ある。勉強ができない負け惜しみのように聞こえる常套句を、本作は、負け惜しみではない、こんなに大切で素晴らしいことがあるではないか、と雄弁に語っている。本当に大事なことは、自分にとって大切なものを見極めることなのだと、時田秀美には教えられた。これは勉強ができない負け惜しみではない。本当だ!

 

 
僕も勉強ができない。 

 


 


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