【おすすめ10冊】読書ノート#12

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴の読書記録、『読書ノート』をご紹介しよう。

 

 

 

 

読書ノート

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イニシエーション・ラブ/乾 くるみ

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

80年代のノスタルジー漂う至高の恋愛物語。

 

度々出てくるワードにもそれを感じたし、恋愛模様に関してもお腹いっぱいに感じることができて、ご馳走さま、といった心持ちだ。 お腹が幸せで喘ぎに喘いでいる。

 

読んでいる最中より、読了後の後味の方がうま味が強い一冊だ。

 

 
何度も読み直してしまった。
 

 

イノセントデイズ/早見 和真

田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は…筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。日本推理作家協会賞受賞。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

とある死刑囚に何があったのかを知る物語。

 

死刑囚となった彼女の惨憺たる人生には胸を締め付けられる。 関与した人物が語る彼女は、それでも垣間見える優しさや心遣いに溢れていた。 そんな彼女がなぜ死刑囚になったのか。 最後の最後で朧げにそれが見えた気がする。 彼女はきっと救いを求めたのだ。

 

彼女を守ろうとした人たちにも救いがあればいいと願う。

 

 
悲しい救いだ。
 

 

天の夕顔/中河 与一

本当にあの人だけは愛しつづけました―“わたくし”が愛した女には、夫がいた。学生時代、京都の下宿で知り合ったときから、“わたくし”の心に人妻へのほのかな恋が芽生え、そして二十余年。二人は心と心の結び合いだけで、相手への純真な愛を貫いた。ストイックな恋愛を描き、ゲーテの『ウェルテル』に比較される浪漫主義文学の名作。英、仏、独、中国語など六カ国語に翻訳された。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

純粋で一途な愛の物語。

 

二人には障害があった。時間だけが越えられる手段の大きな障害。だからこそ、一途でひた向きな純愛と呼ぶべきものになったのかもしれない。読んでいる最中は、ストーカーじゃないか、と思ってしまったのは内緒だが、お互いのことを慮る二人の想いは、まさに純愛と呼ぶべきに相応しいものである。

 

現代に生きる邪念の化身である僕なんかが読んでしまったのが申し訳なくなるぐらい、美しい物語だった。

 

 
ここ数年見たことのないような純真な愛。
 

 

スティル・ライフ/池澤 夏樹

遠いところへ、遠いところへ心を澄まして耳を澄まして、静かに、叙情をたたえてしなやかに―。清新な文体で、時空間を漂うように語りかける不思議な味。ニュー・ノヴェルの誕生。中央公論新人賞・芥川賞受賞作『スティル・ライフ』、受賞第一作『ヤー・チャイカ』を収録。(「BOOK」データベースより)

 

 

感想書評

世界と調和をはかる物語。

 

尖がなく円みを帯びた文章にうっとりしてしまう。一生に一度は訪れるらしい恋をしたのかもしれない。詩的なセリフや表現が多いので、すぐに飲み込めない部分もあるけど、その分咀嚼している時が美味しく感じる。

 

世界三大珍味に加えてほしいぐらいだ。

 

 
人生で一度は読まなければいけない文章。
 

 

くっすん大黒/町田 康

三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます―日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈のデビュー作、待望の文庫化。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

大黒を捨てなければいけない物語。

 

大黒を捨てるために四苦八苦するのだが、これがもしもキリスト像や仏像であったなら、また違う物語の隘路に迷い込んでいくであろう。そう鑑みると大黒というチョイスは絶妙である。ドナウ川に流れる生ゴミのように流れるような文体に大黒はどこまでも進む。それがとても心地よい。生ゴミと一緒にどこまで流れていきたい気分だ。

 

臭くてたまらないけれども。

 

 
パンクな物語。
 

 

スプートニクの恋人/村上 春樹

22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。―そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

時代が時代ならば神話になってもおかしくない恋物語。

 

筆者の小説の登場人物は、代わりにパンを食べればいいと言い放つ女王のように魅力的なキャラが多いが、また好きなキャラが現れてしまった。運命の出会いを果たしたかと思ったのだがレズビアンだった。残念だ。彼女はあちら側に行ってしまったようだけれど、こちら側にいる僕にはそれが分かり得ない。そもそも僕がいるこちら側は果たしてどちら側なんだろう。

 

そう思うと夜も眠れなくて、ついつい早朝に友人に電話をしてしまう。内容はもちろん、象徴と記号について、だ。

 

 
ここはどっち?
 

 

名も無き世界のエンドロール/行成 薫 

ドッキリを仕掛けるのが生き甲斐のマコトと、それに引っかかってばかりの俺は、小学校時代からの腐れ縁だ。30歳になり、社長になった「ドッキリスト」のマコトは、「ビビリスト」の俺を巻き込んで、史上最大の「プロポーズ大作戦」を決行すると言い出した―。一日あれば、世界は変わる。男たちの命がけの情熱は、彼女に届くのか?大いなる「企み」を秘めた第25回小説すばる新人賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

一日あれば世界を変えられる物語。

 

壮大で悲しいドッキリ企画。それはなぜ行われることになったのか。どういう準備をしてきたのか。名も無き世界とは一体何なのか。それらが思わせぶりに描かれているものだから、気になって一気に読んでしまった。おお、なるほど、そうだったのか。

 

彼らが辿り着いたエンドロールの余韻が体に纏わりついて、未だに離れてくれない。どうしてくれるのだ。

 

 
圧巻のエンドロール。 

 

キャッチャー・イン・ザ・ライ/ジェローム・デーヴィド・サリンジャー

J.D.サリンジャーの不朽の青春文学『ライ麦畑でつかまえて』が、村上春樹の新しい訳を得て、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』として生まれ変わりました。ホールデン・コールフィールドが永遠に16歳でありつづけるのと同じように、この小説はあなたの中に、いつまでも留まることでしょう。雪が降るように、風がそよぐように、川が流れるように、ホールデン・コールフィールドは魂のひとつのありかとなって、時代を超え、世代を超え、この世界に存在しているのです。さあ、ホールデンの声に(もう一度)耳を澄ませてください。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

若者の叫びにならない想いが吐き散らかされた物語。

 

全編を通して、周りの環境であったり、状況に対する気の利いた愚痴が大半を占めているのだが、これが何とも小気味いい。だが、これは大人になってしまった人が読むと少々苛々してしまうかもしれない。なぜならば、読む人によっては、ほとんど愚痴でしかないからだ。

 

ホールデンには何年経っても、変わらずいてほしいとも思うけど、変わっていてほしいとも思う。不思議な魅力に包まれた主人公と物語だった。

 

 
10代におすすめ。
 

 

黒い雨/井伏 鱒二

一瞬の閃光とともに焦土と化したヒロシマ。不安な日々をおくる閑間重松とその家族…彼らの被爆日記をもとに描かれた悲劇の実相。原爆をとらえ得た世界最初の文学的名作。 (「BOOK」データベースより)

 

感想書評

原爆の恐ろしさがひしひしと伝わる物語。

 

原爆が投下され、降り注ぐ黒い雨。今でこそ、それが何だったのか、どういう意味があったのか、どんな影響に見舞われるのか、理解は出来る。だが、その当時を生きる人にとって、それは敵の新型爆弾であろう、という予測しかつかない。ある家族を焦点にして描かれた黒い雨は、僕の奥深くを濡らした。僕たちは、それを悲劇だと見るけれど、その時を生きる人にとっては現実であり、日常の一部であったのだと思い知らされる。

 

風化させてはいけない現実。それを思うと、今の時代がどんなに幸せなことなのだろう、とつくづく思う。

 

 
二度とおきてはいけない現実。
 

 

悪童日記/アゴタ・クリストフ

戦争が激しさを増し、双子の「ぼくら」は、小さな町に住むおばあちゃんのもとへ疎開した。その日から、ぼくらの過酷な日々が始まった。人間の醜さや哀しさ、世の不条理―非情な現実を目にするたびに、ぼくらはそれを克明に日記にしるす。戦争が暗い影を落とすなか、ぼくらはしたたかに生き抜いていく。人間の真実をえぐる圧倒的筆力で読書界に感動の嵐を巻き起こした、ハンガリー生まれの女性亡命作家の衝撃の処女作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

戦争の中で生きる双子の異様な日記の物語。

 

戦争は痛ましいし、二度と繰り返してはならないもの。ある意味において、本作はそれを顕著に表している。気づかない内にそっと抱え込んでしまった痛みは、あれ、いたの? と思った時にはもう、モルヒネでも打たれたのですか? といった具合に麻痺してしまい、異常が普通に変わってしまっている。

 

平和に生きている僕らでは感じ取れないこと、感じるしかなかったこと。双子の痛烈なメッセージが日記を通して胸に突き刺さる一冊だ。

 

 
心が抉られたように痛む。
 

 


 


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