【おすすめ10冊】読書ノート#14

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴の読書記録、『読書ノート』をご紹介しよう。

 

 

 

 

読書ノート

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異類婚姻譚/本谷 有希子

子供もなく定職にもつかず、ただ安楽な結婚生活を送る主婦の私はある日、いつの間にか互いの輪郭が混じりあって、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く…。夫婦という形式への強烈な違和を軽妙洒脱に描いた表題作で第154回芥川賞受賞!自由奔放な想像力で日常を異化する中短編4作を収録。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

結婚とは何か、夫婦とは何か、を問いかける物語。

 

顔が似てきた。それを危惧しつつも、馴れ合いに勤しむ夫婦。寓話と現実の境目で訴えかけるメッセージに、はあっ、とさせられてしまった。

 

それから、しばし何度も読み直し、結婚と夫婦とは何かを考えた。そしてわからないという結論に達した。わからないけど、何かの縁でそこにいる。案外それだけの関係なのかもしれない。

 

 
小説に決まった形はないことを知った。 

 

ペンギン・ハイウェイ/森見 登美彦

ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした―。少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく。第31回日本SF大賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

研究熱心なぼくのペンギンとお姉さんの研究の物語。

 

大人顔負けの利発な小学生がペンギンを生み出すお姉さんを研究する、という発想がどこから出てきたのか。森見先生の発想とユニークさには感嘆するしかない。少年の研究は、やがて悲しいエウレカにたどり着く。ひょっとして、と頭を掠める展開が、終盤になるにつれ、僕と少年の涙腺を刺激した。少年は泣かなかったけれど、代わりに僕が泣いた。

 

彼はこれから、どんなペンギンハイウェイを走り、どんな大人になっていくのか。期待がふくらんで、今にも爆発しそうである。

 

 
ペンギンが可愛い。
 

 

 薬指の標本/小川 洋子

楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡…。人々が思い出の品々を持ち込む「標本室」で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そしてわたしは…。奇妙な、そしてあまりにもひそやかなふたりの愛。恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描いた珠玉の二篇。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

摩訶不思議な標本室の物語。

 

欠けた薬指、プレゼントの靴、やけどの標本、飛び散る活字盤、いなくなる事務員、標本室。いくつもの要素と技術士弟子丸の偏屈な愛が、物語を妖艶に飾る。主人公がこれからどうなるのか、知りたいような知りたくないような。この気持ちも標本にしてほしいぐらいである。

 

本作にはもう一つ、六角形の小部屋という物語が主録されている。どちらもはまれば抜け出せなくなる女性の話。はまるのは簡単だけれど、抜け出すのは難しいのだと改めて思い知らされた。

 

 
なんでも標本にしちゃう。 

 

コーヒーが冷めないうちに/川口 俊和

お願いします、あの日に戻らせてください―。「ここに来れば、過去に戻れるって、ほんとうですか?」不思議なうわさのある喫茶店フニクリフニクラを訪れた4人の女性たちが紡ぐ、家族と、愛と、後悔の物語。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

喫茶店フニクリフニクラを訪れた人の物語。

 

その喫茶店は、ある条件の元に過去や未来へ行くことができる。ただ、何をどう奮闘しても歴史を変えることはできない。なんてもどかしいのだろうか。けれど、そのもどかしさが時間を超えた4人の人間を強くさせたことは間違いがない。とどのつまり、今の自分を変えることこそが大事なんだと、苦いコーヒーを飲んだかのようにハッとさせられた。

 

個性豊かなスタッフと常連が集う喫茶店フニクリフニクラ。行きたい喫茶店が1つ増えてしまった。ルールがめんどくさいので、時間移動する気はないけれど。

 

 
素敵な喫茶店。
 

 

リピート/乾 くるみ

もし、現在の記憶を持ったまま十ヵ月前の自分に戻れるとしたら?この夢のような「リピート」に誘われ、疑いつつも人生のやり直しに臨んだ十人の男女。ところが彼らは一人、また一人と不審な死を遂げて…。あの『イニシエーション・ラブ』の鬼才が、『リプレイ』+『そして誰もいなくなった』に挑んだ仰天の傑作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

人生をリピートする選ばれた10人の奇妙な物語。

 

過去を知り、より良い人生を送ろうとする10人。ところが運命というヤツは優しく無い。1人、また1人消えていくリピートメンバー。狂い出す歴史。身勝手な主人公の、ある意味での人間らしさと焦燥。それらの旨みがぎゅっと濃縮され、物語はR11へと導かれていく。

 

最後の最後まで、胸騒ぎを止めることができず、今も胸騒ぎが止まらないので病院へ行こうかと思っている。

 

 
リピートしてみたいような、したくないような... 

 

猫を抱いて象と泳ぐ/小川 洋子

「大きくなること、それは悲劇である」。この箴言を胸に十一歳の身体のまま成長を止めた少年は、からくり人形を操りチェスを指すリトル・アリョーヒンとなる。盤面の海に無限の可能性を見出す彼は、いつしか「盤下の詩人」として奇跡のような棋譜を生み出す。静謐にして美しい、小川ワールドの到達点を示す傑作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

チェスを知らなくてもはまってしまうチェスの物語。

 

主人公リトルアリョーヒンはちょっと変わったチェスをするし、唇が脛毛で、像とミイラが友達。個性が、バナナにケチャップをかける人ぐらいインパクトが強い。けれど彼がチェスをする時、それはそれは優しい。彼の半分は優しさで出来ている。勝負師独特の荒々しさがそこにはない。相手がどんなチェスをしてきても、彼は優しく包む。幼い頃に出会ったマスターのように。

 

僕も包まれたいと思うが、それは永遠に叶わない。あ、その前に、まずチェスのルールを覚えないと。

 

 
世界観と着想がすごい!
 

 

もしもし、還る。/白河 三兎

異様な暑さに目を覚ますと、「僕」は砂漠にいた。そこへ突如降ってきたのは、ごくごくありふれた電話ボックスだった。―いったいなぜ?混乱したまま電話ボックスに入り、助けを求めて119番に電話をかける。だが、そこで手にした真実はあまりにも不可解で…。過去と現在が交錯する悪夢のような世界から、「僕」は無事に生還することができるのか。ミステリアスな傑作長編。文庫書き下ろし。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

不思議な世界と現実が不思議に交じり合う物語。

 

気づけば砂漠にいて、空から降ってきた電話ボックスに閉じ込められるという衝撃のはじまりに驚嘆。このまま突飛な展開になるのかと思いきや、謎と伏線と解答が、過去と現在を織り交ぜながら、丁寧に散りばめられていく。それが鮮やかでもあるし、もどかしくも感じ、最後まで心臓と脳味噌の高揚が止まらなかった。

 

これから主人公たちはどうなるのか、それを思うと、また物語を噛みしめられる。主人公は還ったけれど、僕はまだまだ物語から還れないようだ。

 

 
砂漠と電話ボックスのコラボがお見事。 

 

medium 霊媒探偵城塚翡翠/相沢 沙呼

推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。一切の証拠を残さない殺人鬼を追い詰めることができるとすれば、それは翡翠の力のみ。だが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた―。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

霊視と論理が色鮮やかに写るけれど、実はグレーだった物語。

 

霊媒によって犯人を暴き、推理作家が上手いこと肉付けをして論理的に解明していく。このコンビ最強だな、と爽快感を感じたミステリーだった。が、僕はただただ騙されていた。その爽快感は詐欺だったのだ。なんてことだ。どういうこと、どういうこと? と訝るのも束の間、そこには悲しい嘘があって、単純なミステリーにはない悲哀があった。

 

どうやら霊媒探偵の悲しみは奇術でも消せなかったようだ。

 

 
予想外の驚き!
 

 

琥珀のまたたき/小川 洋子

魔犬の呪いから逃れるため、パパが遺した別荘で暮らし始めたオパール、琥珀、瑪瑙の三きょうだい。沢山の図鑑やお話、音楽に彩られた日々は、琥珀の瞳の奥に現れる死んだ末妹も交え、幸福に過ぎていく。ところが、ママの禁止事項がこっそり破られるたび、家族だけの隔絶された暮らしは綻びをみせはじめる。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

母親の不可思議な世界観に閉じ込められた3姉弟の物語。

 

その世界観は何を模倣したものなのかはわからないが、母親の異常さが窺える。はたから見れば、狂気的な母親に監禁されたかわいそうな子供たちではあるが、その暮らしは幻想的な宴のように楽しげだ。むしろ僕もこんな生活がしたい、とすら思った。でもこんな母親は、やっぱり嫌だなぁ。

 

同じ暮らしをしてきた家族ではあるが、その終焉はそれぞれ違うのが印象深かった。

 

 
母親の世界観に酔ってしまった。
 

 

ツ、イ、ラ、ク/姫野 カオルコ

地方。小さな町。閉鎖的なあの空気。班。体育館の裏。制服。渡り廊下。放課後。痛いほどリアルに甦るまっしぐらな日々―。給湯室。会議。パーテーション。異動。消し去れない痛みを胸に隠す大人達へ贈る、かつてなかったピュアロマン。恋とは、「堕ちる」もの。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

恋に墜ちる瞬間を目撃する物語。

 

今まで恋の墜落現場を目撃したことがなかったのだけれど、こんなにも劇的で、こんなにもドラマティックなものだとは知らなかった。コロコロと移り変わるクラスメイトの視点から見る準子は、悲劇的だ。そして、田舎と学校という閉鎖空間の怖さともやもやとした感情のツートップが嘆かわしく、やりきれない。

 

たしかに準子の墜落は、ベストな形ではなかったかもしれない。けれど、墜ちてしまったのならば、仕方がないではないか。着地場所が素敵な所であるよう祈るばかりだ。

 

 
最高の恋愛小説。 

 


 


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