【おすすめ10冊】読書ノート#15

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴の読書記録、『読書ノート』をご紹介しよう。

 

 

 

 

読書ノート

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かがみの孤城/辻村 深月

どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。9時から17時まで。時間厳守のその城で、胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探す―(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

現実世界に打ちのめされた7人の鏡の世界での邂逅の物語。

 

どうしようもなく弱ってしまった時、僕は背中を、ぽん、と押してくれる何かに期待をする。現実世界の辛さや葛藤は容赦なく押しつぶしてくるし、叩き潰されることもあるだろう。だが、彼ら7人は助け合える。それは回りくどいし、まやかしであるかもしれない。それでも、きっと助け合うことができるのだと思えてならない。

 

例え、うまくいかなかったとしても、彼らはもう大丈夫だ。きっと強く生きていける。そう思わせてくれるような、前向きな一冊だ。

 

 
子どもの痛みは大人にはわかりにくいものである。
 

 

白鳥とコウモリ/東野 圭吾

遺体で発見された善良な弁護士。一人の男が殺害を自供し事件は解決ーのはずだった。幸せな日々は、もう手放さなければならない。東野版『罪と罰』。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

罪とは何か、罰とは何かを痛切に訴えてくる物語。

 

やはり筆者は人間を描くのが上手い。それは過去作でもわかっていたことではあったが、改めて再認識した。幸せに暮らしたいたはずの生活。それが一変。身に覚えのない罰を与えられてちんぷんかんぷん。そこに余計なファンタジーなど必要ないぞ、と言わんばかりに描かれた人間は、ひどくリアルにどよめく。

 

登場人物を使い、罪と罰の模索に奔走した物語は、もう称賛とかそういうレベルではないエグみを感じた。

 

 
優しさは時として上手くいかないものだ。 

 

おまじない/西 加奈子

さまざまな人生の転機に思い悩む女子たちの背中をそっと押してくれる魔法のひとこと―。著者の新境地をひらく10年ぶりの短編集。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

そっと背中を押してくれるおまじないのような短編集。

 

孫係』という物語がある。小学生の頃、○○係というのをクラスごとに設けていた。黒板係であれば黒板を消し、保健係であればみんなにうがいをさせたり、いきものがかりであれば「ありがとう」と歌う。それを、日常でも取り入れてみてはいかがでしょうか、という画期的な名案を訴えた物語だ。なるほど、頷くしかない。生きることは全て係で括れるのだ。これは強力なおまじないである。

 

生きていると大変なことばかりだけれど、そんな時は係になってみればいいのではないだろうか。人間係というやつに。

 

 
めちゃくちゃ押される。
 

 

神に守られた島/中脇 初枝

沖永良部島―沖縄のすぐそばにある小さな島は、大戦末期、米軍機による激しい攻撃を受けた。戦況が厳しくなっていくなか、島のこどもたちは戦争を肌で感じつつも、いきいきと過ごしていた。そんなある日、島に特攻機が不時着するという事件が起きる。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

戦時中の沖永良部島の物語。

 

沖永良部島の子どもたちは強い。けれど、そんな強い気持ちをも打ち砕くのが戦争。当時、正確な情報などあやふやなもので、体感したことでしか戦争を感じ取れない人たちは、疑心暗鬼のまま、不安を積み重ね、混沌としていく。それでも彼らは希望と明日をみて、唄をうたう。もちろん内心は戦争を憎んでいるのだろうけれど、ちゃんと未来をみている。

 

その強さは現代にはないものだ。味わえ、と言われても味わえないのだけれど、直視しなければいけない強さなのだと思う。

 

 
島の言葉が満載。 

 

悲しみのイレーヌ/ピエール・ルメートル

【異様な手口で惨殺された二人の女。カミーユ・ヴェルーヴェン警部は部下たちと捜査を開始するが、やがて第二の事件が発生。カミーユは事件の恐るべき共通点を発見する……。ベストセラー『その女アレックス』の著者が放つ衝撃作。あまりに悪意に満ちた犯罪計画――あなたも犯人の悪意から逃れられない。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

あまりの悪意にイレーヌが悲しむ物語。

 

本作の悪意はひどく強烈で、嗅いだことのない悪臭が漂っている。一部と二部に分かれて構成されているのだが、二部へ入った瞬間、いや一部の終盤から、その悪意は異彩を放つ。どうもー、僕が悪意ですよー! と高らかな声で叫びに叫ぶ。悪意さん、そんなことまでするのですか!? 

 

硬派だと思っていた本作に違った印象をもたせた悪意に敬意を払うと同時に、どうか不幸のどん底へ行ってくれますように、と願うばかりだ。

 

 
イレーヌが悲しい。 

 

放課後の音符/山田 詠美

大人でも子供でもない、どっちつかずのもどかしい時間。まだ、恋の匂いにも揺れる17歳の日々―。背伸びした恋。心の中で発酵してきた甘い感情。片思いのまま終ってしまった憧れ。好きな人のいない放課後なんてつまらない。授業が終った放課後、17歳の感性がさまざまな音符となり、私たちだけにパステル調の旋律を奏でてくれる…。女子高生の心象を繊細に綴る8編の恋愛小説。

 

感想書評

17歳の想いが蠢く放課後の物語。

 

人間はいやらしい生き物である。子供の頃はそういった大人の事情を嫌悪したりもするが、当事者へと向かっていくにつれ、それは憧れへと変わっていく。僕は男性なので女性とは感じることが違うと思うが、思春期のあの何とも言えない複雑な感覚。大人になってからでは感じることのできない心臓の揺れが、本作には詰まっている。

 

17歳の日常というのは、二度と来ない大切な日々だったのだ、とつくづく思わされた。

 

 
無駄な時間は無駄ではないのだ。
 

 

海と毒薬/遠藤 周作

生きたままの人間を解剖する―戦争末期、九州大学附属病院で実際に起こった米軍舗虜に対する残虐行為に参加したのは、医学部助手の小心な青年だった。彼に人間としての良心はなかったのか?神を持たない日本人にとっての“罪の意識”“倫理”とはなにかを根源的に問いかける不朽の長編。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

戦争というものと罪の意識を考えさせられる物語。

 

どんなボディビルダーでも持ち上げることが困難な程の重さが漂う本作は、良心とは何か、を問いかけている。戦時中における良心というのは、なかなか難しい問題で、ほどんどの人々が棚に上げていたのではないかと思う。それどころではなかったのだ。人や状況によっても変わっていく良心、罪の意識、倫理。ここにはその答えは書いていない。問だけが宙に浮いている。だからこそ、僕らは考えなければいけない。

 

多くの人にぜひとも読んで頂きたい一冊だ。

 

 
僕ならどうしていただろう... 

 

博士の愛した数式/小川 洋子

「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた―記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

80分しかもたない愛にまみれた物語。

 

数学と僕の関係は初対面から最悪で、犬猿とかそういう動物の諍いでは表せないぐらい拗れてしまっている。そんな僕が忌み嫌い、末代まで祟ってやろうと決意あらたかな数学を愛している博士と博士と家政婦と息子。数字を通して会話をする三人は、ビジネス的な関係でもあるのだが、数字に夢中な博士と過ごしている時間は、家族のような絆が芽生えているようだ。

 

きっと愛は80分以上を超えて継続中なのだろう。

 

 
愛は博士を救う。
 

 

ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー/山田 詠美

ある時、街ですれ違った男の上着の中の匂いを嗅いで、私は昔の男を思い出して道の真ん中で泣きたくなる。ある時、バーで流れる黒人音楽は特定の男を思い出させて私を泣かせる。嗅覚があって良かった。5感が正常で良かったと、神様に感謝するのはこんな時。そして、恋物語を泣かずに書ける自分の理性にも感謝する。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

美しい日本語で描かれる海外を舞台にした恋物語。

 

海外の小説も好きなのだが、どちらかと言うと、僕は日本のどろどろとした美しさが大好きである。なので、本作が外国人の恋愛物語ときいて、うーん、と首を捻っていた。だが、読んでみて、その捻った首を更に捻ってやりたい! と後悔の念が沸き起こった。汚いようで美しい世界が広がっていたのだ。

 

男と女がいる限り、切なく甘酸っぱい気持ちは国境を越えるものなのだと、思い知らされた。

 

 
外国のバーのような小説。 

 

テースト・オブ・苦虫〈2〉/町田 康

生きていると出会ってしまう不条理な出来事の数々。口中に広がる人生の味は甘く、ときに苦い。「打ち合わせで打たれて歌ってる」「俺さんの研究」「だれが理解するかあ、ぼけ。」「始まっている泥棒」ほか、ちょっとビターなエッセイ集第二弾。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

エッセイをこえたエッセイ。

 

筆者は小説を書くこともあれば、随筆も書くし、作詞もする。しかも、筆者はプロである。プロというのは一度書いたものを消すことはしない。そんな筆者が書きだした言葉が、『馬の子供が』  …え? …馬の子供? それなりに多くの音楽を聴いてきたと自負しているが、そんな歌詞は見たことがない。それに続くのが、『 駆け出した』 ここに、馬の子供が駆け出した、という歌詞が誕生した。  …え、だから何? 実は僕も思っていたことを筆者は煩悶しながらも、吹き飛んだ世界で繋ぎ合わせる。愉快だ。

 

筆者は、なんて愉快な小説家兼デザイナー兼VJ兼フリーターなんだろうか。

 

 
そこに憧れる! 

 


 


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