本と宴





【おすすめ10冊】読書ノート#17

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴の読書記録、『読書ノート』をご紹介しよう。

 

 

 

 

読書ノート

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V.T.R./辻村 深月

辻村深月の長編ミステリーから物語が飛び出した。「スロウハイツ」の住人を受け止め、支えたあの作家。物語に生きる彼らと同じ視線で、チヨダ・コーキのデビュー作を味わおう。『スロウハイツの神様』の世界へようこそ。(「BOOK」データベースより)
 

感想書評

チヨダ・コーキのデビュー作である物語。

 

筆者ではなく『スロウハイツの神様』の登場人物チヨダ・コーキが書いたという呈の小説。筆者が書くであろう世界とは一線を画していて、まるでチヨダ・コーキが本当に存在しているのではないか、と錯覚してしまった。

 

とはいえ筆者の影は決して消えていない。ハードボイルドな世界観の中でも、ちゃんと驚かせてくれる。

 

 
スロウハイツの神様から読もう。
 

 

向日葵の咲かない夏/道尾 秀介

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

錯覚していた物語が壊れていく物語。

 

僕は常日頃から小説は狂っていれば狂っている程面白いと唱えてきたのだが、本作の狂いぶりはひどく絶妙に心を揺さぶってくる。普通のミステリだと思いきや、物語が壊れていく瞬間のあの恍惚感は、何ものにも代えがたい。

 

最後の最後まで油断ができない一冊だ。

 

 
ほれぼれする物語。 

 

鴨川ホルモー/万城目 学

このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祇園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒涛の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

ホルモーが織りなす青春の物語。

 

ホルモーとは何ぞや、と呆気にとられつつ爆笑の渦に巻き込まれていたら、突如青春の光とやらに目をやられた。意味不明なものと、誰もが共感できる気持ちが組み合わさるとこんな化学変化が起きてしまうものなのか。

 

忙しなく通り過ぎていく物語の疾走感に、つい、ホルモー! と叫びたくなってしまう。が、ここは京都ではないので我慢をしよう。

 

 
ホルモンではない。 

 

煙か土か食い物/舞城 王太郎

腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが?ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー!故郷に戻った四郎を待つ血と暴力に彩られた凄絶なドラマ。破格の物語世界とスピード感あふれる文体で著者が衝撃デビューを飾った第19回メフィスト賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

勢いがあれば何でもできるだろうと思わせてくれる物語。

 

本作はミステリー小説である。なので謎や伏線もあるのだが、いや、一応謎や伏線置きましたけど必要ありますか? とでも言うかのように吹き飛ばすスピード感は、筆者しか作り出せない唯一無二の発明だ。

 

いろいろと考えさせてくれる小説もいいけれど、そんなの関係ねぇ! と突き放す小説も読んでいて気持ちがいいものである。

 

 
読み応え抜群。 

 

世界は密室でできている。/舞城 王太郎

「何とかと煙は高いところが好きと人は言うようだし父も母もルンババも僕に向かってそう言うのでどうやら僕は煙であるようだった。」―煙になれなかった「涼ちゃん」が死んで二年。十五歳になった「僕」と十四歳の名探偵「ルンババ」が行く東京への修学旅行は僕たちの“世界と密室”をめぐる冒険の始まりだった!『煙か土か食い物』の舞城王太郎が講談社ノベルス二十周年に捧げる極上の新青春エンタ。もう誰も王太郎を止められない。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

奇抜な色をした青春ミステリ、と思われる物語。

 

他作品に比べると混沌ぶりが落ち着いているような気がしなくもないが、それでも文章からにじみ出るパワーは健在。事件や謎が振りまかれても、いやいや、そんなの勢いでどうにかなりますよ、と突っ切る気満々だ。

 

筆者らしい青春溢れたエンターテイメントに心臓を鷲掴みされてしまった。

 

 
勢いがたまらない。
 

 

もものかんづめ/さくら ももこ

「こんなにおもしろい本があったのか!」と小学生からお年寄りまでを笑いの渦に巻き込んだ爆笑エッセイの金字塔!!著者が日常で体験した出来事に父ヒロシや母・姉など、いまやお馴染みの家族も登場し、愉快で楽しい笑いが満載の一冊です。「巻末お楽しみ対談」ではもう一度、全身が笑いのツボと化します。描き下ろしカラーイラストつき。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

エッジの利いた面白エッセイ。

 

まるこのおじいさんといえば、優しさの権化である友蔵さんであるが、実際の祖父はろくでもないジィさんだったらしい。とはいえ、祖父は祖父。肉親であるはずの祖父の死をこんなにも毒づき、笑いに変えられるのは筆者だけであろう。

 

メルヘン翁と化した祖父には大爆笑してしまったが、今後葬式があった際、メルヘン翁が頭を掠めるのを危惧してしまう。どうしてくれるのだ。

 

 
面白さがかんづめのようにいっぱい詰まっている。 

 

学問/山田 詠美

東京から引っ越してきた仁美、リーダー格で人気者の心太、食いしん坊な無量、眠るのが生き甲斐の千穂。4人は友情とも恋愛ともつかない、特別な絆で結ばれていた。一歩一歩、大人の世界に近づく彼らの毎日を彩る生と性の輝き。そして訪れる、それぞれの人生の終わり。高度成長期の海辺の街を舞台に4人が過ごしたかけがえのない時間を、この上なく官能的な言葉で紡ぐ、渾身の長編。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

4人の不思議な関係が美しい文章で彩られる物語。

 

なんとも呼べない関係が、砂糖でもかけて食べたいぐらいに愛おしい。成長していくにつれ、美しく妖艶に輝く言葉たちは、そんな彼らの日常を飾っていく。筆者にかかればどんな場所も美しく、そして、学問に変わってしまう。

 

登場人物の個性と章の合間の仕掛けにも注目したい一冊だ。

 

 
家宝にしたい。 

 

サラバ!/西 加奈子

僕はこの世界に左足から登場した―。圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

信じるものを見つける物語。

 

とにかく姉のインパクトが大きい。本作はある意味で彼女の物語でもある。彼女がずっと探していたものを見つけるための記録。圷歩はそんな姉を畏怖していた。そりゃそうだ、僕でも怖い。

 

けれど、人間の行動に意味のないことなんて何一つない。やがて姉は歩に大切な言葉を放つ。それは本作の全てといっても過言ではない言葉である。

 

 
姉さん…
 

 

告白/町田 康

人はなぜ人を殺すのか―。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

あかんかった物語。

 

感情移入し、主人公にのりうつり、壮大なドラマを自分のことかのように駆け抜けていくのが小説の醍醐味である。本作も例に漏れず、主人公に感情移入していったのだが、パンク寸前。苦しくて、うおお、と狼狽えてみるも誰も助けてはくれない。このままではその内、主人公に身体を乗っ取られてしまうのではないか、と不安にもなるけど恐れてはいけない。彼の気持ちに寄り添えば、あら、不思議、何も怖くはない。

 

そんな主人公の凶行は今でも世にうたいつがれている。河内音頭のスタンダードナンバー『河内十人斬り』。主人公は一体どんな気持ちで、それを眺めているのだろうか。

 

 
あかんではないか。
 

 

風に舞いあがるビニールシート/森 絵都

才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり…。自分だけの価値観を守り、お金よりも大切な何かのために懸命に生きる人々を描いた6編。あたたかくて力強い、第135回直木賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

いろんな職業の中で自分自身の存在を問う短編集。

 

価値観は人によって違う。理解することはできるかもしれないが、わかりました、あなたの価値観にそいます、なんて物分かりのいい人はそうそういないことだろう。それで、ぶつかり合ったり、知ろうとするわけだが、結局のところ完全にわかりあえることは難しい。

 

でも、わかろうとする気持ち。まずそれを持つことが大切なのだと、本作は語っている。そうすれば人間はもっと面白い生き物として、人生という舞台で喝采を浴びるのではないだろうか。

 

 
人生に立ち向かう短編集。
 

 


 


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