【2021】6月に読んだおすすめ本10選

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が先月に読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴が『6月に読んだおすすめ本10選』を紹介しよう。

 

 

 

 

6月に読んだおすすめ本10選

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ことり/小川 洋子

人間の言葉は話せないけれど、小鳥のさえずりを理解する兄と、兄の言葉を唯一わかる弟。二人は支えあってひっそりと生きていく。やがて兄は亡くなり、弟は「小鳥の小父さん」と人々に呼ばれて…。慎み深い兄弟の一生を描く、優しく切ない、著者の会心作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

小鳥の小父さんの優しい世界を描いた物語。

 

何かの拍子で僕の才能が目覚め、燦然と輝く人生を歩むことになろうとも、小鳥の小父さんのように素敵な人生を歩むことは出来ないであろう。小父さんの人生はたしかに仄暗い。誰にも理解されないだろうし、誰も知る由もないことだろう。でも、その人生はとても暖かくて、優しい温もりを知っている。人生とはそれだけで構わないのかもしれない。

 

どんな人にもこんな優くて、誰にも知られない物語があるのかもしれない。誰にも触れられないようにそっと置いておきたい一冊だ。

 

 
小鳥の小父さん、お疲れ様。
 

 

戦う操縦士/サン=テグジュペリ

ドイツ軍の電撃的侵攻の前に敗走を重ね、機能不全に陥ったフランス軍。危険だがもはや無益な偵察飛行任務を命じられた「私」は、路上に溢れる避難民を眼下に目撃し、高空での肉体的苦痛や対空砲火に晒されるうち、人間と文明への“信条”を抱くに至る。著者の実体験に基づく小説。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

戦争の中にいる「私」が人間と文明ろは何かを問う物語。

 

戦争の無情さと、そこに存在する人間は痛ましい。なぜ戦うのか。意味はあるのか。見出した真理は当事者でなければたどり着けないものであろう。そこにある説得力と事実に胸がむかむかして仕方がない。

 

筆者の運命を鑑みると、より一層考えてしまう。星の王子様とは違う筆者が垣間見える一冊だ。

 

 
戦争とは何であろうか? 

 

ギフト/原田 マハ

忙しさの中で見落としている「贈り物」をあなたへ。第1回「日本ラブストーリー大賞」大賞受賞、『カフーを待ちわびて』の著者が贈る、珠玉のショートストーリー。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

筆者が与えてくれた『ギフト』という名の短編集。というギフト。

 

一つ一つの物語はとても短いが、その中に詰まっている温かさは太陽のように大きく、幸せな余韻を何度も何度も味わうことができる。本作があれば冬でも暖房器具はいらないのではないだろうか。

 

短編だからこそじわりとくる優しさに、最上級の幸せを感じた一冊だ。

 

 
こんなギフトを誰かください。 

 

嫉妬/林 真理子

高校時代、やけに男を魅きつけた尾高裕美に。東京で生まれ育った美貌の同級生の吉岡暁子に。海外生活をしてきた同僚のエイミーに…。そのおさえても湧き上がる黒い嫉妬の感情に飲まれていく男女を鋭い筆さばきで描いた、切なくも残酷な傑作短編集。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

様々な嫉妬の形が描かれる短編集。

 

醜いものは? と問われたならば、5位以内にはランクインするであろう嫉妬が、まさかこれ程の美しさを帯びるとは思ってもいなかった。本作で描かれる嫉妬は単純な怖さと同時に、女性のたくましさと神秘性をも持ち合わせている。

 

怒りや蔑みだけではなく、歯がゆかったり物思いに耽ったりしてしまう嫉妬のバラエティパックは、お歳暮なんかに贈ると喜ばれることであろう。

 

 
たまには嫉妬するのも悪くないかもしれない。 

 

誰もいない夜に咲く/桜木 紫乃

親から継いだ牧場で黙々と牛の世話をする秀一は、三十歳になるまで女を抱いたことがない。そんな彼が、嫁来い運動で中国から迎え入れた花海とかよわす、言葉にならない想いとは―(「波に咲く」)。寄せては返す波のような欲望にいっとき身を任せ、どうしようもない淋しさを封じ込めようとする男と女。安らぎを切望しながら寄るべなくさまよう孤独な魂のありようを、北海道の風景に託して叙情豊かに謳いあげる、傑作短篇集。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

仄暗い生活の中で光を見つけていく短編集。

 

都会では目に見えにくい地方の問題や苦労を、筆者は北海道という広大な土地の情緒と風景と共に投げかける。その中で生きていく登場人物たちはボロボロだけれど、健気で力強い。道産子魂ここにあり、だ。

 

どんな境遇でも必死に生きていけば咲くことができるのだと、本作は訴えかけるように叫んでいる。

 

 
いろんな北海道を堪能できる一冊。 

 

銃/中村 文則

雨が降りしきる河原で大学生の西川が出会った動かなくなっていた男、その傍らに落ちていた黒い物体。圧倒的な美しさと存在感を持つ「銃」に魅せられた彼はやがて、「私はいつか拳銃を撃つ」という確信を持つようになるのだが…。TVで流れる事件のニュース、突然の刑事の訪問―次第に追いつめられて行く中、西川が下した決断とは?新潮新人賞を受賞した衝撃のデビュー作。単行本未収録小説「火」を併録。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

銃に魅入られた男の物語。

 

理由がよくわからないけれど、何かに魅了され夢中になることはよくあることではあるが、残念なことに男が夢中になったものは銃。人を殺傷する道具である。銃そのものではなく、銃の意味にまで魅入られた男の運命は手に汗握るスリルを常に纏っている。

 

迷いと誘惑の中の逡巡と行動は男をどこへ向かわせるのか。片時も目が離せない一冊だ。

 

 
男にとって銃とは何だったのだろう。
 

 

スモールワールズ/一穂 ミチ

夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。

 

感想書評

魔王のように晴れ晴れとさせてくれたり、ピクニックのように苦い後味になったり、ネオンテトラの雑学を知り飼いたくなったりする物語。

 

短編集でありながらどの物語にも物語としての熱量を帯びている。このまま終わるのかなと思わせておいて、きちんと裏切ってくれたり、きちんと丁寧に気持ちの起伏をおこさせてくれる。筆者にありがとうを一千万回言っても足りないぐらいである。

 

心にグイグイと刺さる言葉たちが自然な形で染み渡っていく、清々しい一冊だ。

 

 
僕は魔王になりたい。 

 

高瀬庄左衛門御留書/砂原 浩太朗

神山藩で、郡方を務める高瀬庄左衛門。50歳を前にして妻を亡くし、さらに息子をも事故で失い、ただ倹しく老いてゆく身。残された嫁の志穂とともに、手慰みに絵を描きながら、寂寥と悔恨の中に生きていた。しかしゆっくりと確実に、藩の政争の嵐が庄左衛門を襲う。

 

感想書評

高瀬庄左衛門の生き様が胸に響く物語。

 

つい鬱憤を時代のせいにしてしまう人は今でも絶えない。けれど、僕たちは今の時代に生きて死んでいくしかない。高瀬庄左衛門の生き様は現代にも通ずる芯のあるもの。決して時代のせいにせず、真摯に立ち向かい生きている。

 

悲しみや喜び、諦念。いつの時代でも、どうしようもないことはたくさんあるけれど、そんな時は本作を思い出して強く生きていこうと思う。

 

 
高瀬庄左衛門のように生きたい。
 

 

悲しみの歌/遠藤 周作

米兵捕虜の生体解剖事件で戦犯となった過去を持つ中年の開業医と、正義の旗印をかかげて彼を追いつめる若い新聞記者。表と裏のまったく違うエセ文化人や、無気力なぐうたら学生。そして、愛することしか知らない無類のお人好しガストン……華やかな大都会、東京新宿で人々は輪舞のようにからみ合う。 ――人間の弱さと悲しみを見つめ、荒涼とした現代に優しく生きるとは何かを問う。

 

感想書評

人間の悲しみに満ちた物語。

 

人間の弱さや不完全な優しさや正義。正しいことが何かよくわからず模索して生きる人間の悲しさが舞う新宿は、一周回ろうが何をしようがやはり悲しい。その中で、ひたすらに優しいお人好しなガストンは甘い考えなのかもしれないが、それでも救われるものだ。

 

それなりに豊かな今の時代からでは導き出せないであろう悲しみと救いに胸を打たれた一冊だ。

 

 
人間は悲しい。
 

 

星落ちて、なお/澤田 瞳子

不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。残された娘のとよ(暁翠)に対し、腹違いの兄・周三郎は事あるごとに難癖をつけてくる。早くから養子に出されたことを逆恨みしているのかもしれない。 暁斎の死によって、これまで河鍋家の中で辛うじて保たれていた均衡が崩れた。兄はもとより、弟の記六は根無し草のような生活にどっぷりつかり頼りなく、妹のきくは病弱で長くは生きられそうもない。 河鍋一門の行末はとよの双肩にかかっっているのだった――。

 

感想書評

家族と絵師の境目を彷徨う物語。

 

芸術まっしぐらで、私生活にも支障をきたす芸術家は、それはそれでかっこいいものである。だが家族だとすれば話が違う。とよは父に囚われ、家族と向かい合い、自分自身とも向き合っていく。その様は、父とは違うけれど、同じように偉大だ。

 

実際に存在した絵師だからこそ感じる時代の定めに胸が締め付けられる一冊だ。

 

 
日本にも偉大な絵師がいた。 

 


 


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