【おすすめ10冊】読書ノート#18

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 次はどんな本を読もうかしらん。
  • いろんな本を読みたい。
  • 宴が読んだ本を教えて欲しい。

 

ちょうどよかった!

今回は宴の読書記録『読書ノート』をご紹介しよう。

 

 

 

 

読書ノート

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書店主フィクリーのものがたり/ガブリエル・ゼヴィン

その書店は島で唯一の、小さな書店―偏屈な店主のフィクリーは、くる日もくる日も、一人で本を売っていた。そしてその日、書店の中にぽつんと置かれていたのは―いたいけな幼児の女の子だった。彼女の名前はマヤ。婦人たちは頻繁にマヤの様子を見に訪れるし、あまり本を読まなかった警察署長も本を紹介してくれと気にかけて来てくれる。みなが本を読み、買い、語り合う。本好きになったマヤはすくすくと成長し…人は孤島ではない。本はそれぞれのたいせつな世界。これは本が人と人とをつなげる優しい物語。

 

感想書評

人間と本をまた一段と好きになる物語。

 

人間に生まれて良かった。小説を好きでいて良かった。フィクリーの物語は僕にそんなことを思わせてくれる。そして、マヤと共に生きていく彼の人生は、人はいくつになっても変われるし成長できるものなのだと教えてくれる。

 

死ぬまで小説を読み続けようと決心した一冊だ。

 

 
こんな書店に行ってみたい。 

 

さるのこしかけ/さくら ももこ

ベートーベン「運命」のメロディとともに肛門を襲った強烈な痔を完治させた、驚きのドクダミ療法。台風直撃、さらに食中毒にも直撃された台湾旅行。そして、「ノー・プロブレム」な国民性に振り回された、初めてのインド…。日本中をわかせた、あの爆笑エッセイ第二弾が文庫になって帰ってきた!デビュー前夜の妄想炸裂な日々を熱く語り合う、文庫オリジナルの巻末お楽しみ対談つき。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

もうさらけ出すものなんて何一つもないのではないかと思われるエッセイ。

 

性病と痔は中々人に打ちあけることができない病として忌み嫌われている。ところが筆者は痔の事実をさらけ出し、尻の穴で壇ノ浦の合戦が始まっているどころか、ジンジンからジャジャジャジャーンと運命にまで至ったと語る。

 

もし僕が痔になった際は、同じように道端に生えているドクダミの葉を肛門にあてようと思う。

 

 
これで痔なんか怖くない。 
 

阿修羅ガール/舞城 王太郎

アイコは金田陽治への想いを抱えて少女的に悩んでいた。その間に街はカオスの大車輪!グルグル魔人は暴走してるし、同級生は誘拐されてるし、子供たちはアルマゲドンを始めてるし。世界は、そして私の恋はどうなっちゃうんだろう?東京と魔界を彷徨いながら、アイコが見つけたものとは―。三島由紀夫賞受賞作。受賞記念として発表された短篇「川を泳いで渡る蛇」を併録。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

女子高生の脳内が最高に弾け飛んでいる物語。

 

筆者の作品にしては比較的おとなしいなぁ、と疑っていたらやはり筆者の作品である。今どきの女子高生ともいえるアイコの内面、そして世界は文章と交じり合い、何がなんだかわからないカオスへと突入していく。

 

そんなカオスな世界を真っすぐに突き進むアイコは、やはりカオスだ。いや、女子高生という存在自体カオスなのかもしれない。

 

 
読んでも減るもんじゃないし。 
 

ディスコ探偵水曜日/舞城 王太郎

迷子専門の米国人探偵ディスコ・ウェンズデイは、東京都調布市で、六歳の山岸梢と暮らしている。ある日彼の眼前で、梢の体に十七歳の少女が“侵入”。人類史上最大の事件の扉が開いた。魂泥棒、悪を体現する黒い鳥の男、円柱状の奇妙な館に集いし名探偵たちの連続死―。「お前が災厄の中心なんだよ」。ジャスト・ファクツ!真実だけを追い求め、三千世界を駆けめぐれ、ディスコ。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

ついにここまできてしまったか…と感慨深くなる物語。

 

あれ、今何を読んでいるのだ? と自問自答を繰り返しながらも、文章が僕を推し進めていく。これはカオスだ、カオスの極みだ。混沌としながらも、最後まで突き進んでいく物語を作り出せる技術と精神力は並大抵のものではないはずだ。

 

意図的に作り出したカオスなのか、それとも自然とカオスになったのかはわからないが、筆者は常人の域の遥か高みに達してしまったのだと思う。

 

 
カオスを超えたカオス。 
 

有頂天家族/森見 登美彦 

「面白きことは良きことなり!」が口癖の矢三郎は、狸の名門・下鴨家の三男。宿敵・夷川家が幅を利かせる京都の街を、一族の誇りをかけて、兄弟たちと駆け廻る。が、家族はみんなへなちょこで、ライバル狸は底意地悪く、矢三郎が慕う天狗は落ちぶれて人間の美女にうつつをぬかす。世紀の大騒動を、ふわふわの愛で包む、傑作・毛玉ファンタジー。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

狸と天狗と人間がしっちゃかめっちゃかする物語。

 

人間と天狗の間にぎゅっと挟まれながらも、愉快な狸たちを、ほほほ、とセーヌ川のほとりにたたずむ貴婦人かの如く、微笑ましく眺めていたら、そうは問屋が卸さなかった。

筆者が一貫したほのぼの狸ライフを描くわけがない。

 

気づけば下鴨家の面々に共有されていた暗い影がそっと忍び寄り、柔道の帯のようにぎゅっとしていた絆が、乱暴に緩まり、『面白きことは良きことなり!』を合言葉に、狸らしく愉快な物語だったはずが、家族の愛を描く緊張感高まる物語へと昇華していっている。

 

これはやられた!

筆者の描く京都と、バカらしさと、その後にしれっと、え、何かありました? といった風情でやってくる情緒は、狸だろうが人間だろうが関係なく、ずばん! と胸を突いてくるではないか。

 

融通がきかなかったり、雷が怖かったり 、上手く変化できなかったり、蛙だったり、阿呆だったり、一筋縄ではいかない下鴨家の面々だったけれども、そこには人間の家族では描くことのできない、狸の家族だからこそのデティールと哀愁が乱舞し、もはやパーティ会場である。

 

彼らはきっと今日も異世界京都で絆を武器に奮闘しているのであろう。

「くたばれ!」とでも言い放ちながら。

 

 
狸鍋を食べてみたい。 
 

倒立する塔の殺人/皆川 博子

戦時中のミッションスクールでは、少女たちの間で小説の回し書きが流行していた。蔓薔薇模様の囲みの中に『倒立する塔の殺人』とタイトルだけ記されたその美しいノートは、図書館の書架に本に紛れてひっそり置かれていた。ノートを手にした者は続きを書き継ぐ。しかし、一人の少女の死をきっかけに、物語に秘められた恐ろしい企みが明らかになり…物語と現実が絡み合う、万華鏡のように美しいミステリー。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

戦争末期から戦後を背景とした少女たちの物語。

 

本作は優しく残酷であるが、不思議と居心地がよく、3泊4日のつもりが一週間滞在してしまった気分だ。長期滞在中、僕は強く気品のある少女たちに出会った。時代背景を顧みると、そこには辛く厳しい現実があるはずなのに、彼女たちはむしろ飄々としている。現実におきた事件、そして、『倒立する塔の殺人』と書かれたノート。これらが交互に描かれ、物語は真実へと、幻想的な雰囲気のまま、まっしぐらに進んでいく。

 

優しくも厳しい少女たちの世界観を堪能できる一冊だ。

 

 
幻想的なミステリー。
 

 

重力ピエロ/伊坂 幸太郎

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは―。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

へばりつく重力に覆われた家族の物語。

 

良質なミステリーとは心を沈めてくれるものである。本作は事件がおき、謎解きもあるが、それよりなにより、家族を覆っている重力が主軸である。それは読み手を丁度いい深さに沈め、やがて思考の海への大航海へと誘ってくれる。

 

そして春はどこからやってくるのか? 本作でその謎が解ける。

 

 
絶妙なタイトル。 

 

蜜蜂と遠雷/恩田 陸

近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

 音楽が文章によって紐解かれる物語。

 

音楽家にとって、演奏とは世界観を作り出すことである。その世界観を文章で表現する表現する技術力と描写力は、まさに圧巻としか言いようがない。まるで音楽を聴いているかのような感覚で読了してしまった。

 

音楽をやっている人にはぜひ読んで頂きたい一冊である。

 

 
クラシックが聴きたくなる小説。 

 

ハサミ男/殊能 将之

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

猟奇殺人鬼が思いがけない殺人に出会う物語。

 

数いるサイコキラーの中でも、僕はハサミ男に夢中である。ご飯を食べるかのように当たり前に死を日常に取り入れたり、現実か幻覚なのか曖昧に揺れる世界観は他のサイコキラーと一線を画している。

 

そんなハサミ男に僕は騙され、虜にさせられてしまった。時代が時代ならば、ハサミ教なる新興宗教をおこしていたことであろう。

 

 
最初から騙されていた。 

 

シッダールタ/ヘルマン・ヘッセ

シッダールタとは、釈尊の出家以前の名である。生に苦しみ出離を求めたシッダールタは、苦行に苦行を重ねたあげく、川の流れから時間を超越することによってのみ幸福が得られることを学び、ついに一切をあるがままに愛する悟りの境地に達する。 ――成道後の仏陀を讃美するのではなく、悟りに至るまでの求道者の体験の奥義を探ろうとしたこの作品は、ヘッセ芸術のひとつの頂点である。

 

感想書評

自分とは何か、世界とは何かを探求する物語。

 

この世は摩訶不思議。なぜ空は青いのだろう。なぜ草は緑なのだろう。世界には山や川があり、自然が色彩豊かにあふれているのはなぜだろう。シッダルタはその、なぜ、に真っ向から挑もうとしたのだ。生涯をかけて。

 

僕もシッダルタのように、自分にしかない真理を、いつか見つけたい。マーラの誘惑に負けずに。

 

 
自分だけの心理を見つけたい。
 

 


 


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