#名刺代わりの10選

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
  • 名刺代わりの10選とは?
  • 名刺代わりの10選を選びたい。
  • 宴の名刺代わりの10選が見たい。

 

ちょうどよかった。

今回は宴の『#名刺代わりの10選』をご紹介しよう。

 

 

 

 

宴の名刺代わりの10選

f:id:s-utage:20210709091522j:plain

 

名刺代わりの10選とは、Twitterの読書アカウント、通称『読書垢』の間でロングセラーのハッシュタグである。

 

⇩こんな感じ。

 

 

 
固定ツイートにしている人が多いよ。  

 

 

学問/山田 詠美

東京から引っ越してきた仁美、リーダー格で人気者の心太、食いしん坊な無量、眠るのが生き甲斐の千穂。4人は友情とも恋愛ともつかない、特別な絆で結ばれていた。一歩一歩、大人の世界に近づく彼らの毎日を彩る生と性の輝き。そして訪れる、それぞれの人生の終わり。高度成長期の海辺の街を舞台に4人が過ごしたかけがえのない時間を、この上なく官能的な言葉で紡ぐ、渾身の長編。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

4人の不思議な関係が美しい文章で彩られる物語。

 

なんとも呼べない関係が、砂糖でもかけて食べたいぐらいに愛おしい。成長していくにつれ、美しく妖艶に輝く言葉たちは、そんな彼らの日常を飾っていく。筆者にかかればどんな場所も美しく、そして、学問に変わってしまう。

 

登場人物の個性と章の合間の仕掛けにも注目したい一冊だ。

 

 
家宝にしたい。 

 

寡黙な死骸 みだらな弔い/小川 洋子

息子を亡くした女が洋菓子屋を訪れ、鞄職人は心臓を採寸する。内科医の白衣から秘密がこぼれ落ち、拷問博物館でベンガル虎が息絶える―時計塔のある街にちりばめられた、密やかで残酷な弔いの儀式。清冽な迷宮を紡ぎ出す、連作短篇集。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

11の不穏渦巻く弔いを描いた短編集。

 

タイトルからエッジがきいていて、恐る恐る読みはじめたけれど、そこにはホラーやサスペンスとは一味違う物語が展開されていた。物語同士の繋がりや、死骸たちが何も語らないからなのか、不思議な違和感に包まれる。喉あたりに何かが引っかかっているのだ。でも全然嫌じゃない。もっと引っかかってくれればいいと懇願してしまう。

 

これこれ、こんなの待ってましたよ! と、もし僕が人気アーティストであれば、オーディエンスの声が止まないであろう一冊だ。

 

 
絶妙に素晴らしく不穏。
 

 

痴人の愛/谷崎 潤一郎

生真面目なサラリーマンの河合譲治は、カフェで見初めた美少女ナオミを自分好みの女性に育て上げ妻にする。成熟するにつれて妖艶さを増すナオミの回りにはいつしか男友達が群がり、やがて譲治も魅惑的なナオミの肉体に翻弄され、身を滅ぼしていく。大正末期の性的に解放された風潮を背景に描く傑作。

 

感想書評

愛欲に溺れまいともがく男の物語。

 

日本は古来より男社会である。大分緩和されてきたとはいえ大正時代ならば、未だに男性が強い風潮があったことであろう。そんな時代に生きる譲治と、現代に生きる僕は、ナオミという女性にすっかりまいってしまった。え、土下座ですか? いえいえ、させてください! と、一体どんな状況なのかわからなくても、胸をはって言えることだろう。

 

翻弄しようと思っていたら翻弄されていた。現代でこそ、こういう女性や男性は数多くいるものではあるが、大正時代にもいたとは驚きだ。

 

 
ナオミは現代にもいそう。 

 

女の一生〈1部〉キクの場合/遠藤 周作

余りにも短く清らかな愛の生涯。愛のためにすべてを捧げた女のひたむきさ。切支丹弾圧の長崎を舞台にくりひろげられる名作長篇。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

胸が切り裂かれる女の一生を描いた物語。

 

日本が過去に行っていたキリシタンの弾圧。残虐非道極まる仕打ちは見るに堪えない。目を背けたくなる時代の最中、キクはキリシタンに愛おしい恋をした。身を引きちぎるような想いは、ただただ一途で神のように貴い愛だ。

 

心に痣のように残った想いを、時代に阻まれたキクの愛を、僕はずっと忘れないことだろう。

 

 
やりきれない...
 

 

私を知らないで/白河 三兎

中2の夏の終わり、転校生の「僕」は不思議な少女と出会った。誰よりも美しい彼女は、なぜか「キヨコ」と呼ばれてクラス中から無視されている。「僕」はキヨコの存在が気になり、あとを尾行するが…。少年時代のひたむきな想いと、ままならない「僕」の現在。そして、向日葵のように強くしなやかな少女が、心に抱えた秘密とは―。メフィスト賞受賞の著者による書き下ろし。心に刺さる、青春の物語。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

私を知ろうとする物語。

 

本作で描かれているのは紛れもない青春である。だが、あまり明るくないし、塩梅がよくない。「僕」と「キヨコ」の関係に歯がゆくなり、未だ大人になりきれていないからこそのひたむきな想いと、私を知らないで、というキラーワードがそっと胸を抉る。

 

きっと、キヨコは知らなかったのだろう。人間は拒否すれば拒否する程、知りたくなる好奇心と優しさで溢れているのだ。

 

 
私も知らないぜ。 

 

斜陽/太宰 治

敗戦直後の没落貴族の家庭にあって、恋と革命に生きようとする娘かず子、「最後の貴婦人」の気品をたもつ母、破滅にむかって突き進む弟直治。滅びゆくものの哀しくも美しい姿を描いた『斜陽』は、昭和22年発表されるや爆発的人気を呼び、「斜陽族」という言葉さえ生み出した。(「BOOK」データベースより)

 

 

感想書評

落ちてゆく悲しみのようなものを描いた物語。

 

美しさと切なさが入り混じった貴族の没落。どんな状況になろうとも、今までに培われてきた気品さが消えることはないけれど、だからこそ余計に切ない。それは現代では2度と味わうことのできない、愛おしい切なさである。

 

この先、どんなに時代が進もうとも、どんなに凄腕の小説家に出会おうとも、どんなに心を揺さぶる小説に出会おうとも、本作が与えてくれるものは、不変だと思う。

 

 
僕も没落した。
 

 

ツ、イ、ラ、ク/姫野 カオルコ

地方。小さな町。閉鎖的なあの空気。班。体育館の裏。制服。渡り廊下。放課後。痛いほどリアルに甦るまっしぐらな日々―。給湯室。会議。パーテーション。異動。消し去れない痛みを胸に隠す大人達へ贈る、かつてなかったピュアロマン。恋とは、「堕ちる」もの。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

恋に墜ちる瞬間を目撃する物語。

 

今まで恋の墜落現場を目撃したことがなかったのだけれど、こんなにも劇的で、こんなにもドラマティックなものだとは知らなかった。コロコロと移り変わるクラスメイトの視点から見る準子は、悲劇的だ。そして、田舎と学校という閉鎖空間の怖さともやもやとした感情のツートップが嘆かわしく、やりきれない。

 

たしかに準子の墜落は、ベストな形ではなかったかもしれない。けれど、墜ちてしまったのならば、仕方がないではないか。着地場所が素敵な所であるよう祈るばかりだ。

 

 
最高の恋愛小説。 

 

告白/町田 康

人はなぜ人を殺すのか―。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

あかんかった物語。

 

感情移入し、主人公にのりうつり、壮大なドラマを自分のことかのように駆け抜けていくのが小説の醍醐味である。本作も例に漏れず、主人公に感情移入していったのだが、パンク寸前。苦しくて、うおお、と狼狽えてみるも誰も助けてはくれない。このままではその内、主人公に身体を乗っ取られてしまうのではないか、と不安にもなるけど恐れてはいけない。彼の気持ちに寄り添えば、あら、不思議、何も怖くはない。

 

そんな主人公の凶行は今でも世にうたいつがれている。河内音頭のスタンダードナンバー『河内十人斬り』。主人公は一体どんな気持ちで、それを眺めているのだろうか。

 

 
あかんではないか。
 

 

凍りのくじら/辻村 深月

藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき―。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

少し不思議で少し不在な物語。

 

ドラえもんが親との絆のように大好きな女子高生、理帆子。彼女が見ている世界は、まるで実際にいる位置よりも一歩後ろにいるような視界で、よく見えない。やがて理帆子は光に照らされる。全てをひっくり返してしまうような光。理帆子を変える光。 僕も一緒に浴びたのだけれど、人間はそう簡単には変われない。でも大事なことに気づけたし、勇気をもらった。

 

理帆子と光にはありがとうと言いたい。

 

 
地球破壊爆弾~。 

 

また、同じ夢を見ていた/住野 よる

「人生とは和風の朝ごはんみたいなものなのよ」小柳奈ノ花は「人生とは~」が口癖のちょっとおませな女の子。ある日、彼女は草むらで一匹の猫に出会う。そしてその出会いは、とても格好いい“アバズレさん”、手首に傷がある“南さん”といった、様々な過去を持つ女性たちとの不思議な出会いに繋がっていき―。大ベストセラー青春小説『君の膵臓をたべたい』の住野よるが贈る、幸せを探す物語。(「BOOK」データベースより)

 

感想書評

不思議な出会いが幸せの後押しをしていく物語。

 

夢は所詮夢かもしれないけれど、今生きている現実に影響を与えるものなのかもしれない。小学生にしては大人びている小柳奈ノ花。同級生から見れば、自分たちと少し違っている奈ノ花が怖い存在だったのかもしれないし、ただ単にいけすかない存在だったのかもしれない。そんな爆弾のような彼女をそっと包み込んだ夢は、とても優しく奈ノ花に寄り添う。

 

その夢たちを奈ノ花には、いつまでも忘れないでいてほしい。

 

 
奈ノ花がどうなっていくのかは薔薇の下で。
 

 

 


 


にほんブログ村 本ブログへ