本と宴





【10年半ぶりW受賞】第165回芥川賞・直木賞の受賞作が決定!

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 芥川賞が気になる。
  • 直木賞が気になる。
  • 受賞者は一体誰なの?

 

ちょうどよかった!

今回の記事は『【10年半ぶりW受賞】第165回芥川賞・直木賞の受賞作が決定!』だ。

 

 

 

 

第165回芥川賞・直木賞の受賞作が決定!

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芥川賞

石沢麻依さん『貝に続く場所にて』(群像6月号)

李琴峰(りことみ)『彼岸花が咲く島』(文学界3月号)

 

直木賞

佐藤究さん『テスカトリポカ』(KADOKAWA)

澤田瞳子さん『星落ちて、なお』(文芸春秋)

 

 

おめでとうございます!

 

各賞がW受賞となるのは、10年半ぶりだということで誠にめでたい。

 

僕も事前に受賞作を予想していたのだが…

 

sutage.net

 

見事に外した…!!

 

申し訳ございませんでした!

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せめてものお詫びに受賞作を紹介させていただきたいと思う。

 

受賞時のコメント(抜粋)を添えて。

 

 
誰にでも間違いはあるよ。
 

 

 

貝に続く場所にて/石沢 麻依

コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。静謐な祈りをこめて描く鎮魂の物語。 ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人を隔てる距離と時間を言葉で埋めてゆく、現実と記憶の肖像画。第64回群像新人文学賞受賞作にして、第165回芥川賞候補作。

 

石沢 麻依(いしざわ まい)

1980年、宮城県生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了。ドイツ・ハイデルベルク大学大学院博士課程在学。

2021年 『貝に続く場所にて』が第64回群像新人文学賞受賞。

 

受賞のコメント(抜粋)

実感がともなわない。

正直なところうれしいというよりとても恐ろしい方が強い気がします。

大きな賞をいただいてこの先大丈夫なのかという自分自身への不信感のようなものがある。

震災という大きなテーマに扱っただけに、踏み台にしているのかという違和感が、おそろしさにつながっているのではないかと思う。

 

 

彼岸花が咲く島/李 琴峰

記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。

 

李 琴峰(り ことみ)

1989年、台湾生まれ。台湾大学卒、早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了。

2017年『独舞』で第60回群像新人文学賞優秀作に選ばれる。

2020年 『ポラリスが降り注ぐ夜』が第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞[文学部門]を受賞。

 

受賞のコメント(抜粋)

受賞して一番言いたいこと、言わなければならないのは感謝。

小説は一人でも書ける、本にして読者に届けるためにはいろんな方が関わっている。

ましてや受賞となると選考委員、運営スタッフの方々、本当にありがとうございます。

一番感謝しないといけないのはこれまで作品を読んで応援してくれた読者の方々。

これまでの作品1作ごとに、日本文学を確実にアップデートしてきた自負はあります。

ただ、これから日本文学の中でどのような役割を担うかと思ったときに、理解し整理し分類するのは評論家・研究者の仕事かと思います。

自分が大事と思っている問題意識を小説の中に取り込み、書きたいものを書いていくことに尽きると思います。

 

 

【芥川賞】選考委員の松浦寿輝さんの講評

石沢作品は、 震災から10年を経ないとこの物語に昇華できなかった、と感じさせる独創的なアプローチと感じました。

歴史的に大きな傷痕を残す出来事は、時間がたってからその意味や本質が明らかになることもあります。

 

李さんは楊逸(ヤン・イー)さんに続き、日本語を母語としない作者で2人目の受賞です。

日本語というものは固定された言語でなく、母語としない人も使うことで、これからもどんどん変わりうることを示している。

日本語の概念そのものを問い直す作品で、李さんのような方が賞を受けるのは大きな意義があります。

 

個人的な意見も含みますが、石沢さんは完成度の非常に高い文学的な文章。

一方で李さんに関しては、文章が粗っぽい、比喩が多すぎるなどの批判もありましたが「(李さんの)ポテンシャルを買いたい」という声も多かった。

 

(下記より抜粋)

 

芥川賞選考「2作が際立って高い評価」 松浦寿輝さん講評 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 

 

テスカトリポカ/佐藤 究

メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。第34回山本周五郎賞受賞。

 

佐藤 究(さとう きわむ)

 1977年、福岡県福岡市生まれ。福岡大学附属大濠高等学校卒。2004年に『サージウスの死神』で群像新人文学賞(小説部門)の優秀作(佐藤憲胤名義)、2016年に『QJKJQ』で江戸川乱歩賞を受賞。

2017年 『Ank: a mirroring ape』 が第20回大藪春彦賞、第39回吉川英治文学新人賞を受賞。

2020年 『テスカトリポカ』が第34回山本周五郎賞を受賞。

 

受賞のコメント(抜粋)

当然、立ち位置の変化はあるんでしょうけど、これ以前にいくつかの賞をいただいて「何か見える風景が変わりましたか」とよく聞かれました。

考えてみたんですけど、我々小説家――僕はその業界の端っこにいるだけですけど――読者の皆さんの人生を変えるとまで言ったら大げさですけど、ちょっとでも皆さんの生活に変化をもたらすのが仕事ですので、賞をもらってこちらの見方が変わっているようでは手遅れというか、仕事になっていない。

だから僕自身はもう、変わらないというか、変えないとしか言いようがないですよね。

もちろん応対は丁寧にやりますけども、僕自身の人生がどう変わるかではなくて、僕らの仕事は読者の一日のちょっとした変化、それは1週間の変化でもそれをやるのが仕事ですので、それをやりなさいということなのかなと、今日ここに座って受け取っていますけどね。

 

 

星落ちて、なお/澤田 瞳子

不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。残された娘のとよ(暁翠)に対し、腹違いの兄・周三郎は事あるごとに難癖をつけてくる。早くから養子に出されたことを逆恨みしているのかもしれない。 暁斎の死によって、これまで河鍋家の中で辛うじて保たれていた均衡が崩れた。兄はもとより、弟の記六は根無し草のような生活にどっぷりつかり頼りなく、妹のきくは病弱で長くは生きられそうもない。 河鍋一門の行末はとよの双肩にかかっっているのだった――。

 

澤田 瞳子(さわだ とうこ)

1977年、京都府京都市生まれ。同志社大学文学部卒、同大学院文学研究科博士課程前期修了。

2011年 『孤鷹の天』が第17回中山義秀文学賞を受賞。

2012年 『満つる月の如し――仏師・定朝』が第2回本屋が選ぶ時代小説大賞、2013年に第32回新田次郎文学賞を受賞。

2016年 『若冲』が第5回歴史時代作家クラブ賞[作品賞]、第9回親鸞賞を受賞

2020年 『駆け入りの寺』が第14回舟橋聖一文学賞を受賞。

 

受賞のコメント(抜粋)

我々が生きている時間というのは、長い歴史の中の一瞬だけで、だけど私たちの前にも時代はあったし、私たちの後にもまた時代はあるわけで。

そう考えてみると、本当に生きている時間は一瞬で、だけどその一瞬の中に、私自身もそうだし、周囲のいろんな方もそうだし、本当に数え切れないほどの悩みや苦しみがあって、そういったことを歴史の授業の勉強の中では有名人にしか日が当たらないけれど、そういったことを本当にいろんな人が生きて、日々のことで悩み苦しんでたんだよということを少しでもすくい上げられればいいなと思っています。

 

 

【直木賞】選考委員の林真理子さんの講評

皆さんご想像の通り、佐藤さんの「テスカトリポカ」を受賞作とするかどうかで大激論となり、時間がかかりました。

「こんな描写を文学として許してよいのか」「文学とは人に希望と喜びを与えるものではないのか」といった意見があがった一方、「描かれたことは現実世界のこと。目を背けてよいのか」との意見もありました。

女性委員に支持する声が大きかったことも興味深いですね。

希望の物語であるという見方も少なくありませんでした。

 

澤田さんは5回目の候補での受賞となったベテラン。

淡々としているところにやや物足りなさがありましたが、これだけのものを書き上げた技量はすばらしい。

有名な絵師を父に持つ女絵師の一代記。

主人公は天才の狂気を持つ人物ではなく、やや地味ではあるが、それを非常にきめ細やかな描写で最後まで読ませました。

周囲に破天荒で濃厚な人物を配置し、花を添え、澤田さんでなくては書けない作品になりました。

文章が素晴らしくうまいということも選考委員で一致しました。

 

一穂ミチさんの「スモールワールズ」を含む3作をめぐって討論が行われ、決選投票のすえ、本2作が同点での同時受賞となりました。

素晴らしい作品を受賞作品とすることができました。

 

(下記より抜粋)

 

直木賞選考「3時間の大激論」 林真理子さんの講評 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 

 

受賞決定後、一穂ミチさんのお言葉

 

僕は一穂ミチさんの『スモールワールズ』に酔いしれている。

ベロベロである。

 

 

まとめ

 

残念ながら予想は外れてしまったが後悔はしていない。

 

僕はまだ直木賞作品しか読んでいないが、候補作たちはどの作品も別々の面白さで楽しませてくれた。

 

心躍らせてくれた。

 

 

どうしても受賞作に目がいきがちになるけれども、機会があればぜひ候補作も読んでみることをおすすめしたい。

 

 
関係者の皆様、お疲れさまでした! 

 

 


 


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