本と宴





【書評・感想文】死を宣告された子供たちの物語

 管理人:宴
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • きょうだいって何だかいいよね。
  • 占いを信じている。
  • 幼い頃に死を宣告されたことがある。
 
ちょうどよかった!

今回の記事は『【書評・感想文】死を宣告された子供たちの物語』である。

 

 

 

 

【書評・感想文】死を宣告された子供たちの物語

 

家の中になぜか蛙が侵入していたぐらい、死を宣告されるのって衝撃的だよね。

 

どうも、宴である。

 

今回はクロエ・ベンジャミンさん 訳:鈴木 潤さんの『不滅の子どもたち』を全力で紹介していこうと思う。

 

あらすじ

マンハッタンに住むゴールド家のきょうだいは、幼いころ、近所で評判の占い師に会いにいき、自分が死ぬ日を告げられる。しっかり者のヴァーヤが13歳、リーダー的存在のダニエルが11歳、好奇心旺盛なクララが9歳、末っ子サイモンが7歳の夏のことだ。その後4人は生物学者、軍医、マジシャン、ダンサーと、それぞれの道に。これは、予言された「あの日」に繋がる道なのか。

 

 
子供に死の宣告をするなんてひどい!
 

 

クロエ・ベンジャミンとは?

 

カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。

 

ヴァッサー大学を卒業後、ウィスコンシン大学で小説専攻の芸術修士号を取得。

 

2014年発表のデビュー長篇“The Anatomy of Dreams”はエドナ・ファーバー小説賞を受賞、センター・フォー・フィクション新人賞候補作となる。

 

2018年に発表された本作が長編2作目で、ニューヨークタイムズのベストセラーとなり、全米で50万部を超える売り上げを記録する。

ワシントン・ポスト紙『注目の一冊』他、いくつものメディアで年間ベストブックに選ばれている。

 

現在、夫とともにウィスコンシン州マディソンに在住。

 

 
1作目も日本で発売して欲しい!
 

 

不滅の子どもたちとは

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ヴァーヤは十三歳。

背丈は八センチ近く伸び、股間にはやわらかな毛におおわれた黒っぽい一画ができた。

 

ページ数464ページのきょうだいたちの物語は、まだ死を宣告される前の子ども時代のヴァーヤの特徴を描く冒頭の書き出しから始まる…

 

 

 

 

登場人物

 

サイモン

死を宣告された時の年齢は7歳。

第1部では一大決心をし、サンフランシスコでダンサーになる。

 

クララ

死を宣告された時の年齢は9歳。

第2部ではマジシャンとして、ナイトクラブなどでショウに出演する。

 

ダニエル

死を宣告された時の年齢は11歳。

第3部では入隊業務処理局(MPES)に勤めている。

 

ヴァーヤ

死を宣告された時の年齢は13歳。

第4部では科学者としてドレイク老化化学研究所に勤めている。

 

 

キーワード

 

死を宣告する占い師

作中では死ぬ日を教える、以外の占いをしている描写はなく、ただただはた迷惑な預言者。

幼いきょうだいたちに、それぞれの死ぬ日にちを伝える。

 

ダンサー

サイモンは仕事を探している際に、ひょんなことからダンサーへ。

それまで一度もやったことがなかったので、バレエ・アカデミーの扉を叩くこととなった。

 

マジシャン

クララは幼い頃のとある些細な出会いからマジシャンを目指し、ショウをするためクラブを渡り歩いている。

 

入隊業務処理局

若者が戦争に赴けるぐらい健康かどうかを判断する仕事。

ダニエルはそこで順調なキャリアを築いていたが、問題が発生する。

 

ドレイク老化化学研究所

ヴァーヤはここで飼育場にいる猿(マーモセット)で実験をし、長寿の研究をしている。

 

 
きょうだいたちは違う人生を歩んでいくよ。 
 

ここが面白い!

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注目すべきおすすめ面白ポイントは以下の3点。

 

  •  死の宣告がもたらす影響

  •  きょうだいたちそれぞれの人生

  •  時代背景

 

 

死の宣告がもたらす影響

 

子どもの頃に死の宣告という、テレビ画面から謎の女性が突然出てくるような恐怖感。

それは大人になったきょうだいたちにどんな影響をもたらしていくのだろうか。

 

 

 

きょうだいたちそれぞれの人生

 

きょうだいたちの人生は共有されている物語も含まれているものの、全然違う人生を歩んでいて、まるで別の小説を読んでいるかのよう。

つい先ほど5分前に釣ったマグロの刺身ぐらい新鮮な気持ちで読み進めることができることだろう。

 

 

時代背景

 

1969年から2010年まで続く物語からはいろんな歴史を感じることができる。

とある病気が始まったり、様々な流行を通りながら近づいていく現代。

 

その中で生きていたきょうだいたちの物語はとても感慨深い。

 

 

 

 

 

 

総評

 

4人のきょうだいたちの物語で構成された本作。

 

 

彼らの個性と生き方は、細切れにされたミンチのようにバラバラで、まるで違う小説を読んでいるかのようで、お得感たっぷりだ。

 

ありとあらゆる面白さが、僕の鼻腔をくすぐるのだが、そこに共通しているものが宣告された死である。

 

子どもの頃に叩きつけられる死というのは、とても大きすぎるものであろう。

 

それがどんなに曖昧なものだとしても、彼らの人生に多大な影響を与えたとしてもおかしくはない。

 

果たして彼らの人生は宣告された死によって作られたものなのか。

 

それとも、例え宣告されなかったとしても同じ人生だったのか。

 

抗うように生きる彼らの人生は、息が詰まってしまうので酸素ボンベが必要かもしれない。
 
 
けれども、その生は誰かの心にそっと根付き繋がっていくのだろう。

 

そんな希望をも抱かせるきょうだいたちであった。

 

 
きょうだいたちは永遠に不滅です。
 

 

心に残った言葉、名言

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リシカはあたしたちにお別れを言う時間をくれたんだよ。

リシカは預言者のこと。きょうだいたちとは真反対の感情である。

 

 

あんたが自分の人生をスタートさせちゃいけないちゃんとした理由が一つでもあるなら言ってみてよ。

胸を打ち抜かれる一言である。

 

 

あたしは、架け橋になれる。

クララの言葉。実際、架け橋になったと思う。

 

 

クララは星(スター)だった。

切ないけれど、刊行する予定が全くない小説のシメの言葉大全に収録したい。

 

 

「わたしはちゃんと自分が何をしてるかわかってた」

この言葉を言い切る人は粋である。

 

 

老化を止めるなんて、脅迫概念で悪いことが起こらないようにするのと同じくらい無理な話だ。

悲しいけれど、その通り。

 

 

「みんな愛してる、みんな愛してる、みんな愛してる」

愛は不滅である。

 

 
心に刺さる言葉が多い小説だったよ。
 

 

まとめ

 

死という不穏にまとわりつかれたきょうだいたち。

 

けれど、その人生は別の誰かの中で、しっかりと生きているのである。

  

ぜひ彼らの不滅ともいえる人生を読んでみていただきたい。

 

 

 

 
ぜひ読んでみてね!
 

 

 


 


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