本と宴





【書評・感想文】明日が不安で絶望しているのであれば、占い師でもディーラーでもないカード師の物語を読めばいいと思う

管理者:宴

ご来訪に感謝。

ところで、こんなことを思う時がないだろうか?

 

 

  • 人生を占いに左右されている。
  • ポーカーに目がない。
  • 自分、カード師ですから。

 

ちょうどよかった!

そんな人におすすめの小説がある。

 

『複雑すぎてわけがわからなくなってきた人間関係』と『トランプ』って切れば切るほど、ちゃごちゃしていくよね。

どうも、宴だよ。

 

注意

そう簡単には切ることは出来ないんだ。

 

今回は『占い師でもディーラーでもないカード師の物語』ということで、中村文則さんの『カード師』をご紹介していこうと思う。

 

占い師でもディーラーでもないカード師の物語

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あらすじ

占いを信じていない占い師であり、違法カジノのディーラーでもある僕に舞い込んだ、ある組織からの指令。それは冷酷な資産家の顧問占い師となることだった──。国内外から新作を待望される著者が描き切った、理不尽を超えるための強き光。新たな代表作、誕生!

 

筆者の中村文則さんは1977年9月2日生まれ。

 

<主な受賞歴>

2002年『銃』で第34回新潮新人賞を受賞しデビュー。

2004年『遮光』で第26回野間文芸新人賞受賞。

2005年『土の中の子供』で第133回芥川賞受賞。

2010年『掏摸』で第4回大江健三郎賞受賞。

 

国内だけではなく、ウォール・ストリート・ジャーナル紙でベスト10小説に選ばれたり、アメリカでデイビッド・グーディス賞を受賞したり、海外でも評価の高い作家さんだ。

 

<他作品>

『土の中の子供』

『何もかも憂鬱な夜に』

『世界の果て』

 

 

 

カード師

管理者:宴
カード師?
 

 

書き出し

小さい頃、カードをめくるのが怖かった。

 

タロットカードを使うのは占い師。トランプを扱うのはディーラー、及びギャンブラー。では、カード師とは何であろうか。その答えが本作にあった。

 

めくってみるまでどうなるのかわからない物語。占いや運に頼らないけれど、運命が味方しているかのような怒涛の展開。タロットカードとトランプを巧みに扱う主人公の選択。

 

それらは彼が占い師、ディーラー、ギャンブラーを包含した生粋のカード師であることを証明している。

 

漂うオカルト臭と上手いこと絡み合いながら進行していくカード師の物語は、不穏な空気を纏わせながらも、めくるまでどうなるかわからない展開へと向かっていく。

 

STEP
仕事の依頼。
隠居したいのに…
STEP
嫌な予感。
なんだかきな臭い。
STEP
カード師の本領発揮。
めくるまでどうなるか、わからない。

 

めくるまでわからない物語

管理者:宴
ワクワク。
 

 

独裁者も苦痛だった。何かを自分で決めることが

 

自分で決めるって責任も伴うし、何より僕のケースで言うと優柔不断の化身なので何も決められず、服も夕食もトイレのタイミングも誰かに決めてもらわなければどうすればいいかわからない。そんな時は誰かに決めてもらえばいい。そうだ、占い師だ。

 

カードをめくれば何がでるか前もって予測できればいいけど、それは人間には届かない領域だから

 

けれども、占い師は万能ではない。いや、本物の占い師であれば何でもわかるのかもしれないが、生憎主人公は万能ではない。

 

だからこそ、カード師の物語は何が出るかわからないから面白いのだ。この真理めいたものはカード師だけではなく、僕にも、誰にでも当てはまるかもしれない。あれ、僕はカード師? カード師は僕? 人類みんなカード師?

 

何がどうなるかわからない出来事ベスト3
  • 告白。
  • ギャンブル。
  • ドリンクバーを全部混ぜてプレゼントフォー・ユー。

 

絶望とは

 
 
 
 
管理者:宴
絶望した!
 

 

そんなことはおこらないはずだ。と思っていても信じられないようなことはおきてしまうものである。

 

これほど人のいない街は現実感がなかった。魔女狩りやナチスやオウムも現実感はなかったはずだった。だがこの世界に出現した

 

2021年現在、世界はコロナに打ちひしがれている。誰がこんなパンデミックを予想できたであろう。けれど、僕たちは果たして絶望の中にいるのだろうか。そもそもこの状況の中にあるのは絶望なのだろうか。

 

だから人間は、本当は、誰も完全に絶望することはできないんだ。だってそうじゃないか? まだこの世界が、どのようなものかわからないんだから。わからない場所にいるのに絶望なんてできないんだよ

 

たしかに僕は人生の中のどの地点にいるのかなんてわからない。明日急に1000万円が振り込まれるかもしれないし、背中から羽が生えて邪魔だなぁと思いつつも優雅に空を飛んでいるかもしれない。飛行機とスカイフィッシュには気をつけます。

 

―—最後に一つ、これまでのカードを全てひっくり返すようなことを言おうか?……つまり君達は、やはり絶望なんてできないんだよ。

浮いたカードが回転する。

——だってそうだろう? 明日何が起こるのかも、わからないんだから。

 

明日という日に期待をしている限り絶望なんてしている暇はない、そう物語は訴えている。だから、今日出来ることは全部明日やろうと思う。

 

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絶望している人たち

 

ありがたいお言葉

管理者:宴
ありがたやー。 

 

本作はタロットカード、トランプ、ポーカー、更にはオカルト要素や宗教観などファミコンの容量では収まりきらない内容がところせましと敷き詰められている。相当なプログラマーでなければ完成には至らないはずなので、筆者はプログラマーなのかもしれない。

 

その中で、ハッさせられる文章が2つほどあったのでご紹介したい。

 

人間が画面を眺めるのはそれを見たいからでなく、恐らく前頭葉を抑制したい欲求で、そのこと自体に中毒を感じているかの制がある。人間は自ら発達させた前頭葉の完全な抑制に成功し、いずれ恍惚とした豚になる

 

スマホ中毒者は豚になるよ、といったありがたいお言葉だ。つまり僕は豚である。ぶーぶー。誰が豚だ。よし、次。

 

部屋に行こうとする女性を断ることがどういうことか、教えなければと思った

 

これはいけない。女性の頼みは例え、ツボを買ってくれとか、ここに判を押すだけでいいの、という類だったとしても断ってはいけない。騙されて行方をくらました友人が言っていたよ。

 

断れない女性の頼み例。
  • 朝まで一緒にいてくれる?
  • ディズニーランド行かない?
  • 生ごみだしてきてくれない?

 

 

 

まとめ

さて、今回は中村文則さんの『カード師』を紹介させていただいたが、いかがだっただろうか。

 

めくるまでわからない物語。

白熱するカード師。

漂うオカルト、というか悪魔。

 

筆者の作品のイメージにあるのが宗教観。本作は宗教観も書かれてはいるものの、どちらかというとオカルト色が強め。それがカード師の物語と上手いこと融合され、絶妙なフュージョンを果たしている。

 

そして、何より作中中盤のカード勝負が熱い。手からぶわぁっと手汗がわいて、発掘していたら温泉でも出たのかと不安になったほどだ。このシーンはぜひとも読んで体感して頂きたい。手汗がぶわぁっとわきでて、本がふやけていくはずだ。気をつけろ。

 

それでは本日はこのへんで。

ごきげんよう。

 

 

管理者:宴

ご覧いただきありがとうございました!

ぜひ読んでみてね!

 

 


 


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