本と宴





【書評・感想文】いつまでもピーターパンのように子どもでいたいのならば、ネヴァーランドと現実世界が交差する物語を読めばいいと思う

管理者:宴

ご来訪に感謝。

ところで、こんなことを思う時がないだろうか?

 

 

  • ピーターパンが大好き。
  • ティンカーベルが大好き。
  • ネヴァーランドに行ってみたい。

 

ちょうどよかった!

そんな人におすすめの小説がある。

 

『若い頃から緻密に築き上げてきたキャリアが壊れるような致命的な失敗』と『夢』っておきると終わるよね。

どうも、宴だよ。

 

注意

おこさないように気をつけよう。

 

今回は『ネヴァーランドと現実世界が交差する物語』ということで、小林泰三さんの『ティンカー・ベル殺し』をご紹介していこうと思う。

 

ネヴァーランドと現実世界が交差する物語

f:id:s-utage:20210830234055p:image

 

あらすじ

夢の中では間抜けな“蜥蝪のビル”になってしまう大学院生・井森建。彼はある日見た夢の中で、活溌な少年ピーター・パンと心優しい少女ウェンディ、そして妖精ティンカー・ベルらに拾われ、ネヴァーランドと呼ばれる島へやってくる。だが、ピーターは持ち前の残酷さで、敵である海賊のみならず、己の仲間である幼い“迷子たち”すらカジュアル感覚で殺害する、根っからの殺人鬼であった。そんなピーターの魔手は、彼を慕うティンカー・ベルにまで迫り…ネヴァーランドの妖精惨殺事件を追うのは殺人鬼ピーター・パン!

 

筆者の小林泰三(やすみ)さんは1962年8月7日生まれ。

 

1995年、『玩具修理者』で第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞。

1998年、『海を見る人』で第10回S-Fマガジン読者賞国内部門受賞。

2012年、『天獄と地国』で第43回星雲賞日本長編部門受賞。

2014年、『アリス殺し』で2014年啓文堂大賞(文芸書部門)受賞。

2017年、『ウルトラマンF』で第48回星雲賞日本長編部門受賞。

2021年、第41回日本SF大賞功績賞受賞。

 

2020年11月23日5時56分、がんのため大阪府内の病院で亡くなられた。

58歳没。

 

<他作品>

『未来からの脱出』

『ドロシイ殺し』

 

 

 

ティンカー・ベル殺し

管理者:宴
え、被害者がティンカー・ベルなの?
 

 

書き出し

 「フック船長って誰だ?」ウェンディが大敵について話したとき、ピーター・パンは興味深げに尋ねました。

 

夢の中では蜥蜴のビルになってしまう大学院生、井森建の物語。

アリス殺し、クララ殺し、ドロシィ殺しと続く、夢と現実がリンクするメルヘンシリーズの第4弾。

 

今回の舞台はあの有名なネヴァーランド。マイケルジャクソンか、ピーター・パンで二択のネヴァーランド。ちなみに僕はNEWSファンなので三択になるのだけれども、わかる人だけ理解してくれればいい。で、今回はピーター・パンの方のネヴァーランドである。

 

そのピーター・パン、なんと残虐非道な殺人鬼であった。

 

ああだ、こうだしている内にティンカー・ベルは殺されてしまうのだが、一体誰が…

ピーターがものすごく怪しさ満点だけれども…

 

 

STEP
ネヴァーランド。
ティンカーベル殺し発生。
STEP
現実世界。
ティンカー・ベルとリンクする人物が死亡。
STEP
犯人捜し。
名探偵ピーターとワトソンのビルが犯人を捜す。

 

現実とリンクするネヴァーランド

管理者:宴
まさに夢のような国。
 

 

たまに夢で見る殺される系のやつ。僕が一体何をしたのか、夢なので判然としないのだが、あの危機感はおそらく、秘密組織のいけない現場を目撃したか、もしくは僕がアンパンマンでカバオくんが僕の顔を狙っているかのどちらかだと思う。

 

で、殺される瞬間「うお!」という声と共に目覚めることが5年に1回ぐらいはあるのだけれど、本作の夢はほぼ必ず見ることになるし、殺されれば目覚めることがない。

 

ならば大好きな幼馴染がいつの間にか付き合っていた憎きあの子を夢で殺せば完全犯罪成立だ! と企む健全な方もいるだろう。ところがどっこい、夢の人物はそう上手く動いてくれない。リンクしているだけで、ピーター・パンはピーター・パンの人格をもっている。ビルはビルの人格をもっているのだ。

 

どういうことかというと、井森建はなかなか冴えた男である。もしもビルが井森建をそのまま反映した存在であれば事件はあっという間に解決なのであるが、残念なことにビルは蜥蜴。それほどの頭脳も性格も持ち合わせてはいない。

 

現実世界での疑心暗鬼、そしてネヴァーランドでの殺人鬼ピーター・パンの恐怖。揺れるネヴァーランドと現実世界の人間たち。一体この事件はどこへ進んでいこうとしているのか。

 

わからなすぎて眩暈がするぐらいである。貧血かしら。

 

よくわからない夢ベスト3
  • 同性の友達と恋仲に
  • 好きでも嫌いでもない芸能人の出現
  • 普通の日常

 

蜥蜴のビル

 
 
 
 
管理者:宴
蜥蜴っぽい蜥蜴だよ。 

 

○○っぽい、という言葉がある。僕は学生の頃ガクトっぽい、とよく言われたのだが、言う人みんな半笑いである。いい意味で言っていないのは明らかである。ラ・ミゼラブル。

 

本作出演中の蜥蜴のビルは限りなく蜥蜴っぽい。蜥蜴が喋ったらこんな感じだよね、っていうのを体現した蜥蜴の中の蜥蜴。のほほーんとした蜥蜴感が本人は伝えようという意図がなくても、伝わりすぎてくるので、進化してスーパー蜥蜴3ぐらいにはなっているのではないだろうか。

 

「友達を食べてはいけないんだよ」

 

「あなた、遺体を食べたのね」

 

一見残虐な話ではあるが、蜥蜴なのだ。そりゃ、友達を食べることも、遺体を食べることもあるだろう。そんな奴が犯人を見つけ出せる気がしないのだが。

 

f:id:s-utage:20210830162603p:plain

トカゲ一覧

 

ピーター・パンの残虐性と幼児性(with ビル)

管理者:宴
残虐とコミカルが入り混じる。 

 

恐れ入るのはピーター・パンの残虐性である。

 

今日何回唾を飲み込んだとか、今日何回瞬きをしたとか、今日何回息をしたとか、答えられるか? それと同じで殺した妖精の数なんかいちいち覚えちゃいない。

 

震えあがるほど猟奇的で無邪気なのであるが、どうやら原作でのピーター・パンにはその片鱗が窺えていたようなので、本作のオリジナル設定というわけでもないようだ。

 

そんな殺人鬼とヘッポコワトソンであるビルが犯人を捜すという時点でカオスである。が、このふたり、いや、ひとりと一匹はなかなか相性がいいようである。

 

「ワトソンと言えば、おまえに決まっているだろ。ワトソン以外の名前でおまえのことを呼ぶやつがいたら、即刻死刑だ。わかったか、ビル?」

「ピーター、自殺するの?」

 

このコンビはM-1でも目指しているのだろうか? なかなかよいネタであると思うが。

 

「おまえを殺した方がいいのか、殺さない方がいいのかわからなくなったから、とりあえず殺さないでおく。殺さないことが間違っていたことがわかったら、後で殺すことができるけど、殺したことが間違っていたとしても、もう生き返らせることはできないからな」

「ちょっと何言ってるのかわからないけど、ピーターって頭がいいんだね」

 

ブラックなネタではあるが、斬新なネタではないだろうか。度々入り込むこのコンビのやり取りは殺伐とした本作にまるみをもたらし、ポップさを演出しエンターテイメントとして抜群の面白みを爆発させている。

 

それにしても殺人鬼が近くにいるのに殺人犯を探すというのは、なんとカオスな展開なのだろうか。

 

カオスな展開といえば。
  • 2か月間同じ話を繰り返すアニメ。
  • Nice boat.
  • パルスのファルシのルシがパージでコクーン

 

 

 

まとめ

さて、今回は小林泰三さんの『ティンカー・ベル殺し』を紹介させていただいたが、いかがだっただろうか。

 

殺伐としたネヴァーランド。

現実世界とのリンク。

蜥蜴のビルとピーター・パン

 

血にまみれるネヴァーランドの衝撃と現実世界の確執。これがどう一つの終着点へと辿り着いていくのか。ビルとピーター・パンの不思議で不気味な絡みと共に、近づいていく真実は衝撃的であった。けれど、スッキリもした。

 

それでは本日はこのへんで。

ごきげんよう。

 

 

管理者:宴

ご覧いただきありがとうございました!

ぜひ読んでみてね!

 

 


 


にほんブログ村 本ブログへ