本と宴





【書評・感想文】日本のルーツの一端を知りたいのであれば、神話から人間の時代に移り変わる物語を読めばいいと思う

管理者:宴

ご来訪に感謝。

ところで、こんなことを思う時がないだろうか?

 

 

  • 人は時に狂う。
  • 「吾」ではなく「我」だ。
  • 天皇に興味がある。

 

ちょうどよかった!

そんな人におすすめの小説がある。

 

『学生時代、学校のアイドルにスリーサイズをきいたクラスメイト』と『天皇』って偉大だよね。

どうも、宴だよ。

 

注意

女子にスリーサイズをきくのは絶対にダメだよ。

 

今回は『神話から人間の時代に移り変わる物語』ということで、池澤夏樹さんの『ワカタケル』をご紹介していこうと思う。

 

神話から人間の時代に移り変わる物語

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あらすじ

暴君であると同時に、偉大な国家建設者。実在した天皇とされる21代雄略の御代は、形のないものが、形あるものに変わった時代。私たち日本人の心性は、このころ始まった。『古事記』現代語訳から6年、待望の小説が紡がれた。

 

筆者の池澤夏樹さんは1945年7月7日生まれ。

 

<主な受賞歴>

1988年『スティル・ライフ』で芥川賞受賞。

1992年『南の島のティオ』で小学館文学賞受賞。

1993年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞受賞。

2000年『花を運ぶ妹』で毎日出版文化賞 文学・芸術部門受賞。

2001年『すばらしい新世界』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

2005年『パレオマニア』で桑原武夫学芸賞受賞。

 

<他作品>

『キトラ・ボックス』

『光の指で触れよ』

『きみが住む星』

 

 

 

ワカタケル

管理者:宴
ヤマトタケルの親戚?
 

 

時代は五世紀後半の古墳時代。もはやその時代も僕らにとっては神話レベルの話だけれども、この時君臨した天皇がワカタケルである。

 

彼の存在は、日本のルーツともいえるべき形あるものを作り上げていった。本作はそんな神話から解き放たれようとした時代の物語である。

 

ワカタケルがどうやって、その時代の大王である天皇になったのか。そして、どう国を作ってきたのか。どう治めていったのか。入り混じる神話と人間が作る世界を舞台に、圧巻のスケールで紡がれていく。

 

STEP
先代の天皇の死。
え、しかも暗殺?
STEP
次の大王。
我しかいないのでは?
STEP
大王ワカタケル。
よし、治めるぞ。

 

大王という存在

管理者:宴
当時は天皇という呼び方はなかったよ。
 

 

今の天皇像から母を訪ねるかのような3000里ぐらいかけ離れたイメージのワカタケル。傍若無人で、すぐ殺すし、すぐまぐわう。俺最強感がすごいのだが、大王という役職はそんなに簡単なものではなかった。

 

「大王(おおきみ)とはそういう立場です。日照りも地震(ない)も嵐も、責は大王に帰します。だからこそ気力横溢の者でなければ務まらないのです」

 

この時代はまだ神話から抜けきっていないので、大王は神に近しい存在でもあった。けれども、ワカタケルはれっきとした人間だ。いくら傍若無人に振舞おうとも、迷いも出れば葛藤も生まれる。

 

「義とは何だ?」

「万民の取るべき道。天の定める道」

 

人は時に狂うものだ。

神は人を狂わせる。

今の我、これは正気であるか?

 

それでも懸命に国を治めようとするワカタケルの生涯は凄まじい。僕が親なら、あんたそれでよかったんか? と諫めたいところだ。

 

迷う時ベスト3
  • デザートはプリンかアイスか。
  • 誰にも言わないからさ。
  • 寝坊した時の行くか休むか。

 

男と女

 
 
 
 
管理者:宴
男と女の役割とは。
 

 

イザナミとイザナギの初めのまぐわい以来、この國は男と女の腰の力によって動かされてきた。

 

「男は殺す。女は産む。役割が違う」

 

この時代から何となくではあるが、男と女の在り方が確立されていたようである。現代ではその極端な形に疑問を呈することもあるが、この時代の女性は威風堂々と、男性とは違う役割に誇りを持っているようだ。

 

そして、こんなケースもある。

 

「恋だけで満ちて終わる者もある。吾らはそれで充分だった」

 

時代によって恋は、好きなだけでは結ばれないことがままある。この時代も恋は自由とまではいかない。まぁ、大王はやりたい放題で羨ましい限りなのだが。

 

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男と女一覧

 

文字の力

管理者:宴
文字って強いんだよ。 

 

文字を教えられ、思うところを文字で伝えられると知った後、この我という文字に出会った。これこそ他ならぬこの己にふさわしい文字だ。みなが用いる「吾」ではなく「我」。

 

「文字は見える形から音が生まれる。形と音が繋がっている」

 

今や当たり前に世に溢れている文字であるが、この時代はそうではない。文字を学び始め、そして文字の力を知っていく。

 

「魂は人を離れてどこまでも行く。動くことで力となる。すなわち言霊。それに対して、紙に書かれ、木に書かれ、鉄の剣に刻まれた文字はその場を動かない。何百年も何千年も後まで残る。これもまた言葉の力」

 

実際にワカタケルらしき文字が書かれた剣が発掘されていたりする。何千年後も残っていた言葉の力の偉大さに、秋に食べたら美味しいようなロマンを感じる。それはマロンかもしれない。

 

だがしかし、

 

「私は文字というものが人と人を隔てるような気がするのです。歌はまずもって声であり響きであり、その場にいる者すべての思いです。文字になった歌はもう歌ではないような」

 

君が住き 日長くなりぬ

山たづの 迎へを行かむ 待つには待たじ

 

あなたの旅はあまりにも長くなりました。

(やまたづの)迎えに行きます。とても待てません。

 

文字は歌を殺したのだろうか。結果、歌は文字として残されてはいるけれど、どんなリズムで、どんな気持ちでかはわからない。湾曲して伝わっているのかもしれない。

 

そう考えると文字が不思議なものに見えてくるから不思議だ。あ、お急ぎの方はお急ぎくださいみたいなことを言ってしまった、失敬。

 

文字の力を感じるケース。
  • パチンコのパが消えている看板。
  • ゴゴゴゴゴゴ…
  • 事件をおこした○○メンバー。

 

 

 

まとめ

さて、今回は池澤夏樹さんの『ワカタケル』を紹介させていただいたが、いかがだっただろうか。

 

傍若無人なワカタケル。

女の神秘的な力。

国の在り方。

 

現代の目線で見るとワカタケルのやり方は、それがお前らのやり方かー! と某芸人に言われても仕方がない所業だ。けれども、物語を通したワカタケルの想いには、国を治めようとする気迫がびしばしと伝わってくる。

 

日本のルーツは神話であるが、国の在り方としてのルーツはこの時代なのではないだろうか。それを作り出したワカタケルは偉大な大王だ。

 

それでは本日はこのへんで。

ごきげんよう。

 

 

管理者:宴

ご覧いただきありがとうございました!

ぜひ読んでみてね!

 

 


 


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