本と宴





【書評・感想文】家族のことで悩んでいるのならば、大切なことを教えてくれた犬と家族の物語を読めばいいと思う

管理者:宴

ご来訪に感謝。

ところで、こんなことを思う時がないだろうか?

 

 

  • 猫より犬派。
  • 男尊女卑。
  • 趣味は登山。

 

ちょうどよかった!

そんな人におすすめの小説がある。

 

『親が大富豪でインスタで大人気のセレブ系女子とデートする場合』と『犬』ってリードしないといけないよね。

どうも、宴だよ。

 

memo

そんな女子と出会う確率ほとんどないけどね。

 

今回は『大切なことを教えてくれた犬と家族の物語』ということで、馳星周さんの『雨降る森の犬』をご紹介していこうと思う。

 

大切なことを教えてくれた犬と家族の物語

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あらすじ

9歳で父を亡くした中学生の雨音は、新たに恋人を作った母親が嫌いだった。学校にも行かなくなり、バーニーズ・マウンテン・ドッグと立科で暮らす伯父・道夫のもとに身を寄せることに。隣に住む高校生・正樹とも仲が深まり、二人は登山の楽しみに目覚める。わだかまりを少しずつ癒やしていく二人のそばには常に溢れる自然や愛犬ワルテルの姿があった。犬の愛らしい姿が心に響く長編小説。

 

筆者の馳星周さんは1965年2月18日生まれ。

 

<主な受賞歴>

1997年『不夜城』で第18回吉川英治文学新人賞及び第15回日本冒険小説協会大賞(国内部門)受賞。

1998年『鎮魂歌-不夜城II』で第51回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞。

1999年『漂流街』で第1回大藪春彦賞受賞。

2020年『少年と犬』で第163回直木賞受賞。

 

<他作品>

『夜光虫』

トーキョー・バビロン

ゴールデン街コーリング

 

 

 

雨降る森の犬

管理者:宴
犬好き必読。
 

 

書き出し

「あの家だ。覚えているか?」

 

資源ごみにそっと生ごみを織り交ぜるような嫌な人間だとしても、切っても切れないのが家族という縁。雨音の母親は僕から見ても嫌な香りを発するタイプの人間だ。雨音の気苦労は絶えなかったことだろう。

 

そんな雨音が一大決心をして母親から離れた場所で出会ったのは、大切な家族と一匹の男尊女卑気味の犬。

 

彼らとの暮らしは雨音に見たこともない光を見せ、雨音の逃亡癖を優しく厳しく諭してくれた。まるで森に降り注ぐ恵みの雨のように。

 

今回、注目すべきポイントは…
  • 愛犬ワルテル
  • 自然の力
  • 犬のような生き方
の3点でお送りいたします。

 

愛犬ワルテル

管理者:宴
悪そうな名前だね。
 

 

とにかくワルテル。雨音や正樹の家庭の問題などクリスマスのオードブルなのか? と怯んでしまうぐらい盛沢山の内容であるが、その中でも常にスポットライトを浴び、光り輝いているのがワルテル。マンガやアニメで、悪魔の子どもとかに付けられそうな名前である。

 

「そう。とんでもない男尊女卑の犬なんだよ。なぜそうなったかはわからんがな」

 

このワルテルのかわいさは、この男尊女卑にある。いや、男尊女卑の考え自体がかわいいと言っているわけではない。そんな奴いたらそこそこ最低である。ではなくて、人間のような考えであったり行動をするのがかわいい、ということだ。男尊女卑の犬なんて聞いたことがない。

 

犬は人の心を読むーー道夫の言葉を忘れたことはない。恐れを抱けば悟られ、見下される。

 

「そう。犬の上に立つ人間は、ルールの守護者じゃなきゃだめなんだ」

 

とはいえ、犬はやはり人間ではない。なぜなら四足歩行だからだ。なんかおかしいと思っていたのだ。雨音はそんな四足歩行に悪戦苦闘しながらも、同じ時間を過ごしていく中で、切っても切れない絆と成長をみせる。

 

もちろん、それはワルテルだけのおかげではない。他に二名ほど、雨音にとって大切な存在がいる。

 

「そっか。よかったら勉強、教えてやるよ。理数系は得意なんだ。おれの部屋に来ればいい」

 

破廉恥な不愛想男だと思われた正樹。でも、ごめん、君はいい奴でした。彼の存在と問題は雨音に大きな影響を与えていく。

 

「家族や友人が支えにはなってくれるが、最後はひとりだ。どの道を進むのかを決めるのはその人間自身なんだ」

 

そしてなにより伯父の存在。伯父がいなければ、雨音はワルテルにも正樹にも出会えなかったはずだ。

 

やがて家族として繋がる物語は、僕の心に家族とはどうあるべきなのかの説明書をそっと置いていった。一言いってほしかったけれど、恥ずかしがり屋なのかな?

 

説明書がほしいものベスト3
  • 異姓の扱い方。
  • 人間関係の渡り方。
  • 外国産の組み立て式家具。

 

自然の力

 
 
 
 
管理者:宴
自然に叶うものはない。
 

 

雨音の伯父は田舎暮らし+アウトドアを兼ねそろえたスーパーヒューマン。本作には彼の影響により、自然の力、豊かさ、素晴らしさが余すことなく描かれている。1人キャンプに挑戦して、キャンプ場に行ったはいいものの、まずテントが立てられず帰宅するような辛い過去を拵えるよりも、本作を読んだ方が自然と戯れることができるだろう。

 

「雨は水だ。水は命の原点だ。だから、植物や虫や動物たちが喜ぶ。無数の命の歓喜が森をざわめかせるんだ」

 

幼い頃体験した森林浴を思い出した。辛い、帰りたい、しかなかった過去の僕にこの言葉をぜひともきかせてあげたい。で、歓喜したい。

 

でも、この世で一番綺麗な星空が見られるなら、なにをしたって見に行きたい。

 

そんなことを思えたら幸せだろうなぁ、としみじみ。

 

この岩場を一心に登り続けていけば、いつか、空に触れることができる。

 

その感覚はきっと、文明の利器の中で生きている大多数の人にはわからないような贅沢なものなのだろう。この瞬間、僕は自然最高ー! とブクロ最高ー! のように叫ばずにはいられなかった。ご近所迷惑を気にしながら。

 

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偉大なる自然

 

犬のような生き方

管理者:宴
生きるんだ。
 

 

こう生きろという親切丁寧なマニュアルが企業から送られてきていないせいか、生きるということは大概が難しい。ただ呼吸をして日々を消費すればいいだけのはずなのに、なぜこう複雑なものになってしまったのだろうか。

 

人間は迷い、惑う。でも、犬は真っ直ぐだ。これが得だとか損だとか、そんなことは思いもしない。純粋に生き、純粋に仲間を愛する。だから、間違わない。

 

「動物が幸せなのは、今を生きているからだ。不幸な人間が多いのは、過去と未来に囚われて生きているからだ。おれは、こいつらみたいに生きたい」

 

見返りを求めず、愛し、見守り、寄り添う。

シンプルなそれだけのことがどれだけ難しいかを知れば、他人に対する鬱憤や不満は薄らいでいく。

 

なるほど。犬の生き方に学ぶ、というのは盲点であった。たしかに僕たち人間は考えすぎているのかもしれない。もっとシンプルに。余計なものを鉋とかで削れば生きやすくなるのかもしれない。

 

いつまでも描いていたい。ただひたすらに描いていたい。描いて、描いて、描いて、頭の中が空っぽになるまで描き続けたい。

 

そして、それは強さに変わる。夢中に生きていくって、なんだかんだ言って最強だよね。

 

先のことをくよくよ考えていても仕方がない。ワルテルのように、一瞬一瞬を生きるのだ。

 

雨音のように夢中になれるもの、ワルテルのように一瞬一瞬を精いっぱい生きること。それは人生において最善の幸せなのかもしれない。僕はワルテルから最良の生き方の欠片を教えてもらった。ありがとう、ワルテル先生。

 

ちなみに伯父からはこんなことを教わった。

 

カルボナーラというのは炭火焼き職人風という意味だそうだ。一説ではその昔、ローマ近郊の炭火焼き職人は、炭を焼くために山にことる時、保存食としてのベーコンと乾麺のパスタ、そして雌鳥を連れていったのだという。

 

97へぇ~。

 

どうでもいいトリビア。
  • 俺の兄ちゃん元ヤクザ。
  • 昔はブイブイ言わせていた。
  • 俺を怒らせたらたいしたもの。

 

 

 

まとめ

さて、今回は馳星周さんの『雨降る森の犬』を紹介させていただいたが、いかがだっただろうか。

 

愛犬ワルテルとの生活。

雨音と正樹の問題。

壮大な自然と生き方。

 

人間というのは複雑怪奇。曲がったものが大好きなようで、なかなか真っすぐに生きることができない。どうすればいいのだ、と困惑気味の僕に雨音とワルテルの物語は、切々と語りかけてくる。

 

今という時間の一瞬一瞬を精いっぱい生きること。シンプルに生きること。真っすぐに生きること。そして、自然の素晴らしさとバーニーズ・マウンテン・ドッグは最高にかわいいのだということを。

 

それでは本日はこのへんで。

ごきげんよう。

 

 

管理者:宴

ご覧いただきありがとうございました!

ぜひ読んでみてね!

 

 


 


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