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【おすすめ本】今年ももう終わりということで『2021年に読んだおすすめ本30選 後編』を紹介しよう

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管理者:宴

ご覧いただきありがとうございます。

ところで、『「お前、そんなことしたら親が悲しむぞ!」と説教をしてきた人がニートだった時』と『2021』といえば、うっせぇわだよね。
 

 

どうも、宴です。

お前が言うなよ! って強く思うよね。でも、僕は言いたい。2021年読んだおすすめの本を…

 

まぁ、そんなわけで、今回は『2021年に読んだおすすめ本30選 後編を紹介しようと思う。

 

 

 

 

まりも日記/真梨幸子

あらすじ

真梨幸子が放つネコミス登場! 人を魅了してやまない猫たちに惑わされた愚かな人間の行く末、そして猫たちのその後--。(amazon紹介ページより)

 

猫とイヤミスのコラボレーションは豊かな混沌と狂気を生み出していく。序盤はエッセイかと思いきやエッセイではなかったり、猫のまりもさんの可愛さに酔いしれるのだけれど、次第に何かがおかしくなっていく。徐々に迫りくる混沌へと駅伝のバトンのように受け継いで走っていく語り手たちは猫に翻弄され、狂気の海へとダイブ。その狂気のあまりの気持ちよさに思わず、マンションのエントランスで大便をしたくなってしまうことだろう。

 

管理者:宴
大便はトイレでね。 

 

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬/若林正恭

あらすじ

飛行機の空席は残り1席――芸人として多忙を極める著者は、5日間の夏休み、何かに背中を押されるように一人キューバへと旅立った。クラシックカーの排ガス、革命、ヘミングウェイ、青いカリブ海……「日本と逆のシステム」の国の風景と、そこに生きる人々との交流に心ほぐされた頃、隠された旅の目的が明らかに――落涙必至のベストセラー紀行文。

 
キューバという国はなんて素晴らしい国なのだ、行ってみたいではないか。読了後はキューバ熱の高まりでいてもたってもいられなくなることだろう。国の歴史、雰囲気、人々、景色。それももちろん素晴らしい。けれど、もっと素晴らしいのは筆者がキューバへ行った理由。旅行記に自分探しが加わると、こんなにも胸が熱くなるとは。トゥース!
 
管理者:宴

モンゴルもアイスランドも。

 

 

星の子/今村夏子

あらすじ

大切な人が信じていることを、わたしは理解できるだろうか。一緒に信じることができるだろうか…。病弱なちひろを救うため両親はあらゆる治療を試みる。やがて両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき…。

 

両親がハマってしまった宗教。それに揺れるちひろ。けれど作中でちひろは何も語ることはない。なのに、ちひろの痛みがずしりと伝わってきて、妙に痛くて歯がゆくなってしまう。例えあやしくても、大切な人が信じていることへの理解を放棄しないちひろの健気さが胸を穿つ。

 

管理者:宴
ちひろが幸せでありますように。 

 

ワカタケル/池澤夏樹

あらすじ

暴君であると同時に、偉大な国家建設者。実在した天皇とされる21代雄略の御代は、形のないものが、形あるものに変わった時代。私たち日本人の心性は、このころ始まった。『古事記』現代語訳から6年、待望の小説が紡がれた。

 
時代小説すぎる時代小説は神話と人間の世界の境目を紡ぐ。傍若無人で現在であれば支持率急降下間違いないであろう雄略天皇、ワカタケル。彼は如何にして大王として君臨したのか。どんな国づくりをしてきたのか。日本のルーツの一端に迫る一冊である。

 

管理者:宴
大王万歳。 

 

 

移動された約束/小川洋子

あらすじ

こうして書棚の秘密は私とB、二人だけのものになった―ハリウッド俳優Bの泊まった部屋からは、決まって一冊の本が抜き取られていた。Bからの無言の合図を受け取る客室係…。“移動する”六篇の物語。

 
約束された移動とはどんな移動なのか。ああ、そういう移動でしたか。筆者が作り出す不思議と抜群のセンスが光る少し残酷が見え隠れする短編集は、とても大らか。人との繋がりって不思議なものなのね、と心に沁みる一冊だ。

 

管理者:宴
約束をやぶってはいけないよ。 

 

架空の犬と嘘をつく猫/寺地はるな

あらすじ

空想の世界に生きる母、愛人の元に逃げる父、その全てに反発する姉、そして思い付きで動く適当な祖父と比較的まともな祖母。そんな家の長男として生まれた山吹は、幼い頃から皆に合わせて成長してきた。だけど大人になり彼らの“嘘”がほどかれたとき、本当の家族の姿が見えてきて―?破綻した嘘をつき続けた家族の、とある素敵な物語!

 

人間生きていればたくさんの嘘をつく。僕は人をあざ笑いたいから嘘をつくけれど、辛い時、苦しい時、人は自分自身に嘘をついてしまうのだ。主人公山吹の成長と次第に明るみになる嘘が織りなす家族ドラマは、素敵な余韻と犬を残した。僕は猫派。

 

管理者:宴
苦しい嘘の連鎖。
 

 

雨降る森の犬/馳星周

あらすじ

9歳で父を亡くした中学生の雨音は、新たに恋人を作った母親が嫌いだった。学校にも行かなくなり、バーニーズ・マウンテン・ドッグと立科で暮らす伯父・道夫のもとに身を寄せることに。隣に住む高校生・正樹とも仲が深まり、二人は登山の楽しみに目覚める。わだかまりを少しずつ癒やしていく二人のそばには常に溢れる自然や愛犬ワルテルの姿があった。犬の愛らしい姿が心に響く長編小説。

 

自然あふれる田舎暮らしと優しい人たちが家族とは何かを教えてくれる。そして何よりワルテル。男尊女卑が激しい愛犬の存在は雨音に真っすぐに生きること、逃げずに立ち向かうことを憮然とした顔で諭す。さっきまで猫派だった僕が犬派へと変貌を遂げた一冊だ。

 

管理者:宴
ワルテルかわいいよ、ワルテル。 

 

君のために今は回る/白河三兎

あらすじ

ねぇ、銀杏。わたしたちは確かに友達だったよね?わたしが観覧車の幽霊になって随分時間が経ちました。この観覧車には変わった人がいっぱい乗ってきます。盗聴魔、超能力を持つ占い師、自信喪失した女記者、ゴンドラでお見合いをする美人医師…みんな必死にくるくる生きてる。だから今、わたしは人を思う力を信じてる。そうしたらいつかもう一度、あなたに逢えるかな?これはすれ違う人々の人生と運命を乗せて、回り続ける観覧車の物語―。

 

人を思う力の凄まじさ、けれど幽霊だからこその切なさが心を覆う。小学生の頃に読んだら3日間ぐらい引きこもってもおかしくないぐらいの切なさだ。観覧車に乗ってくる癖の強い人たち、銀杏、わたし、くるくる回る想い。そこに仕掛けられたマジックも追い打ちをかけ、涙なくしては読めない傑作である。

 

管理者:宴
観覧車…乗ったことない…
 

 

テスカトリポカ/佐藤究

あらすじ

メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。

 

どのページをめくってもチラつくアステカの神々。そして、圧倒的な迫力で襲い掛かってくる残虐な暴力とアンダーグラウンドな世界。この凄味は読まないとわからない。読書中毒者にはぜひとも読んで頂きたい一冊である。

 

管理者:宴
呑み込まれそうになるよ。 

 

 

俺と師匠とブルーボーイとストリッパー/桜木 紫乃

あらすじ

ギャンブルに溺れる父と働きづめの母から離れ、日々をなんとなく生きる二十歳の章介。北国のキャバレーで働きながら一人暮らしをする彼は、新しいショーの出演者と同居することになった。「世界的有名マジシャン」「シャンソン界の大御所」「今世紀最大級の踊り子」……店に現れたのは、売り文句とは程遠いどん底タレント三人。だが、彼らと言い合いをしながらも笑いに満ちた一か月が、章介の生き方を変えていく。『ホテルローヤル』『家族じまい』著者が放つ圧巻の人間ドラマ! このラストシーンは、きっとあなたの希望になる。

 
決して華やかではない場所で、溌溂と個性を醸し出す出演者たち。章介との家族にはなりえない共同生活は僕の心を、万引き現場を目撃した瞬間のように、とらえてはなさない。場末の愛しすぎる哀愁感が心に染み入る。

 

管理者:宴
師匠にやられた。
 

 

不滅の子どもたち/クロエ・ベンジャミン/鈴木 潤

あらすじ

マンハッタンに住むゴールド家のきょうだいは、幼いころ、近所で評判の占い師に会いにいき、自分が死ぬ日を告げられる。しっかり者のヴァーヤが13歳、リーダー的存在のダニエルが11歳、好奇心旺盛なクララが9歳、末っ子サイモンが7歳の夏のことだ。その後4人は生物学者、軍医、マジシャン、ダンサーと、それぞれの道に。これは、予言された「あの日」に繋がる道なのか。

 

4人のきょうだいの個性と生き方は、細切れにされたミンチのようにバラバラで、まるで違う小説を読んでいるかのようなお得感。けれど、そこに共通しているものが宣告された死。果たして彼らの人生は宣告された死によって作られたものなのか。それとも、宣告されなかったとしても同じ人生だったのか。息が詰まりそうな展開の中に微かに見える希望が滲む。

 

管理者:宴
4人のきょうだいは不滅だ。 

 

スモールワールズ/一穂ミチ

あらすじ

ままならない現実を抱えて生きる人たちの6つの物語。夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。第74回日本推理作家協会賞短編部門候補作「ピクニック」収録。

 

人の物語とは簡単には上手くいかないもの。ゾッとしたり、ホッとしたり、ネオンテトラを飼いたくなったりすることもあるし、このまま平穏に終わるかとおもいきや裏切られることもあるのだ。いろんな形の物語に心を揺さぶられ、グイグイと刺さってくる言葉たちに翻弄される。苦しいけれど、愛おしい一冊だ。

 

管理者:宴
魔王がいるよ。
 

 

悲しみの歌/遠藤周作

あらすじ

米兵捕虜の生体解剖事件で戦犯となった過去を持つ中年の開業医と、正義の旗印をかかげて彼を追いつめる若い新聞記者。表と裏のまったく違うエセ文化人や、無気力なぐうたら学生。そして、愛することしか知らない無類のお人好しガストン……華やかな大都会、東京新宿で人々は輪舞のようにからみ合う。 ――人間の弱さと悲しみを見つめ、荒涼とした現代に優しく生きるとは何かを問う。

 

人間の弱さや不完全な優しさや正義。正しいことが何かよくわからず模索して生きる人間の悲しさが舞う新宿は、一周回ろうが何をしようがやはり悲しい。その中で、ひたすらに優しいお人好しなガストンは甘い考えなのかもしれないが、それでも救われるものだ。 それなりに豊かな今の時代からでは導き出しにくい悲しみと救いに胸を打たれる。

 

管理者:宴
人間は悲しい。 

 

高瀬庄左衛門御留書/砂原浩太朗

あらすじ

神山藩で、郡方を務める高瀬庄左衛門。五十を前にして妻を亡くし、息子をも事故で失い、ただ倹しく老いてゆく身。息子の嫁・志穂とともに、手慰みに絵を描きながら、寂寥と悔恨の中に生きていた。しかしゆっくりと確実に、藩の政争の嵐が庄左衛門に襲いくる。人生の苦渋と生きる喜びを丁寧に描く、武家もの時代小説の新星、ここに誕生!

 

つい鬱憤を時代のせいにしてしまう人は今でも絶えない。けれど、僕たちは今の時代に生きて死んでいくしかないのだ。高瀬庄左衛門の生き様は現代にも通ずる芯のあるもの。決して時代のせいにせず、真摯に立ち向かい生きている。 悲しみや喜び、諦念、いつの時代でも、どうしようもないことはたくさんあるけれど、そんな時は本作を思い出そうと思う。

 
管理者:宴
高瀬庄左衛門のように生きるね。 

 

クロス/山下紘加

あらすじ

私はどちらの性で、どんな立ち位置で、彼を愛せばいいのだろう。 警備会社で働く28 歳の「私」は、結婚していながら関係を続けていた浮気相手との悪戯をきっかけに、女性装にのめりこむ。 ストッキングを履いたり、自らの手でメイクを施したりと女性性に寄り添うような生活は、「私」に新鮮な喜びと自由をもたらす。 あるとき女の姿で訪れたバーで、タケオと名乗る男に出会い、強烈に惹かれていくが――。

 

主人公の、女装してみたら世界が変わりました、ありがとうございます、という感覚。それは窮屈な現状からの解放であったり、娯楽のような甘ったるい幸福感であったり、とにかく美味しい。そこに性という問題も加味され、男であるはずの人格が、女装すると乗っ取られたかのように変わる。自分は一体どこにいるのか。そして、誰なのか。出口のない迷路のような迷いは、残念ながら最高の物語を作り出し、この気持ち悪さがいい! と絶賛されることになる(僕調べ)。

 

管理者:宴
いい!
 

 

銀杏手習い/西條奈加

あらすじ

子に恵まれず離縁され、実家の手習所『銀杏堂』を継ぐことになった二十四歳の萌。女先生と侮る悪童らに振り回されながら、忙しない日々を送っていた。ある朝、銀杏堂の門前に女の捨子を見つける。自身も血の繋がらぬ両親に愛情深く育てられた萌は、その子を「授かりもの」として育てることを決心するが…。真っ直ぐに子どもと向き合い成長する、時代人情小説の傑作。

 

昨今の教育現場にはモンスターが溢れかえっているらしい。いくらモンスターになろうとも、子どもの成長に繋がるわけがない。古き良き時代の思いやりを忘れてしまったのだろうか。そんな古き良き時代が本作にはある。萌の子どもたちに向ける想いは真剣そのもの。それを受け、子どもたちも、周りの人たちもみんなが助けてくれる。ある日萌は子どもを拾う。現代であれば誹謗中傷の嵐でTwitterが炎上するかもしれない。けれど、周りの人たちはそんな萌を助け、優しく見守る。その子は、きっと優しい子どもに育つこと間違いなしだろう。

 

管理者:宴
教育の根本がここにある。
 

 

 


 


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