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本と宴へようこそ。
どうも、宴です。
料理って苦手意識を持っていると、すごく難しいですよね。とくにみりんの効力って意味不明です。そんな料理苦手女子の物語があります。
ということで、今回は佐々木愛さんの『料理なんて愛なんて』をご紹介させていただきます。
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料理なんて愛なんて/佐々木愛
料理嫌いな優花は、ずっと好きだった真島に高級バレンタインチョコを渡すも「好きな人に手作りチョコをもらったから」と振られてしまう。真島が憧れていた相手は料理教室の先生だった。その日から、彼女の格闘と迷走が始まった!自炊に挑戦し、料理男子と合コンし、初めて「みりん」を購入するも料理が上達するどころか好きにもなれずに苦悩する日々。“料理は愛情”というけれど、料理が嫌いな優花の愛情は一体どこにー!?(「BOOK」データベースより)
料理 | 8/10点 |
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ドキドキ | 5/10点 |
感動 | 6/10点 |
切なさ | 7/10点 |
読みやすさ | 7/10点 |
総評 | 6/10点 |
書評・感想文
料理が出来ない女子
女子は料理をするのが当たり前思考男子諸君に捧げる小説が、ででん! と出現。それが佐々木愛さんの『料理なんて愛なんて』です。
本作は料理苦手女子の優花が凄腕料理人として一世を風靡する、といった痛快料理小説ではなく、どう足掻いても料理をやりたくないし、やっても上手くいかない、なんだったら体調さえ悪くなる。そんな優花が料理に振り回され、料理上手な女性が好きな想い人に振り回され、とにかく振り回されて一周ぐらいしちゃう小説でございます。
僕は男性であり、料理が出来なかったとしても、世間的にそこまで支障がないと感じます(できるけど)。が、女性が『料理が出来ない』というと、がっくりと肩を落とし印象を下げてしまう人がいるのは、悲しいけれど事実。
それが意識している男性とかだったら、なお悲しいのではないでしょうか。
好きになりたい詐欺
でも、なぜなのでしょう。よくよく考えてみると、女性が料理をしなくてはいけない、という規則もないし、男性が料理しても問題はないはずなのです。でも、世間ではそれがまるで正解ではないかのような風が吹いています。
もしかすると自分は正しくないのか。料理を好きになるべきなのか。みりんの効力がよくわからないけれど、やっぱり買うべきなのか。好きではないものを、好きになろうとするべきなのか。好きになりたい、と言い続けて好きにはならない、『好きになりたい詐欺』を続けるべきなのか。
優花の料理と想い人に揺られ悪戦苦闘する日々はとんでもなく切ないです。そして、「料理好き女子が好き」とは女性の前で言うの絶対にやめようという決心を固くさせます。冷蔵庫で冷やしたチョコレートのように、固く。
抜群のセンス
また、本作は章のタイトルが愉快です。『1 冬、ホッキョクグマの解体』というタイトルからは、一体どんな内容なのか、興味がぐつぐつと沸騰して鍋から溢れそうになってしまいます。
本作『料理なんて愛なんて』は、ネーミングセンスといい、テーマといい、佐々木愛さんのセンスが光る至高の一冊です。そのセンスをぜひご体感あれ。
心に残った言葉・名言
「思ってたのと違った。きみは悪くない」
「きみも俺のこと、長いこと好きでいてくれたよね。だからわかると思うんだ。好きじゃない子からの『一生ずっと愛してる』より、好きな子からの『ちょっと好きかもしれない』が欲しいこと」
みりんってスーパーに行くたびに買おう買おうと思うんだけど、結局は先送りしちゃう。重いし
そもそも、この世に手作りじゃないものなんて、ないんすよ。どんな食べ物だって元をたどれば、誰かが必ず手作りしているから存在しているんです。
「誰かがもう何度も歌っていることでも、ださくても、自分で歌わないと納得できないときってあると思いますよ」
料理ってひとりでできちゃうでしょ。それが話をややこしくしてると思うんだよね。片方が、片方に見えないところでできる愛情表現って、難しいよ。
好きとか嫌いの気持ちって、自分以外の誰かが測定したり、判定したりできないと思う。誰かが勝手に決めつけられるものじゃない
佐々木愛さんの他作品
最後に
料理が出来ない人、料理好きな人がタイプな人、みりんの意味がよくわからない人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。