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本と宴へようこそ。
どうも、宴です。
街中で恋人たちの群れを見ると、『絶滅』しないかな? ってよくないことを思うことがありますよね。でも、恋人たちも絶滅しないよう必死で生きているのです。そんな恋人たちの物語があります。
ということで、今回はオラフ・オラフソンさんの『ヴァレンタインズ』をご紹介させていただきます。
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ヴァレンタインズ/オラフ・オラフソン/岩本正恵
「一月」から「十二月」まで、夫婦や恋人たちの愛と絆にひびが入る瞬間を鋭くとらえた12篇。研ぎ澄まされた感覚、洗練されたユーモアが端正な文章の行間に漂う。アイスランド出身の実力派による、珠玉の第一短篇集。“アイスランド文学賞”“O・ヘンリー賞”受賞作。(「BOOK」データベースより)
静謐 | 10/10点 |
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ドキドキ | 9/10点 |
感動 | 6/10点 |
切なさ | 9/10点 |
読みやすさ | 7/10点 |
総評 | 9/10点 |
書評・感想文
リズムの違い
日本の小説をずっと読んでいて、で、気分を変え、たまに海外の小説を読むとリズムの違いに戸惑うことがあります。ソーラン節をずっと踊っていたのに、サルサを踊ることになったかのように。
本作『ヴァレンタインズ』を読み始めた直後、まずは戸惑いが真っ先にやってきました。なぜなら、どうやら本作、相当な恥ずかしがり屋なようで、はっきりとしてくれないのです。思わせぶりな子猫ちゃんのようです。
落ち着く暇がない
「え、何?」、と思ったのも束の間。このノリで続いていく短編たちを一つ、また一つ読んでいくたびに、気がつくと、このノリをもっとくれと懇願している自分がいたのです。このノリと静謐な文章で綴られる空気感は、日本の小説ではなかなかお目にかかれない代物です。
状況は自分で掴むがいい。おそらく本作はそう言っています。なんてふてぶてしいのでしょうか。そして、やっとのことで読み手が全てを把握した瞬間、物語は畳み掛けるように走り出していきます。おお、落ち着く暇を与えないつもりなのでしょうか。
静謐とはこれです
でも、そうか、恋って落ち着く暇ないですもんね。本作はいろんな恋人たちを綴った短編集。落ち着いたと思っても、どこで物語が急発進するかわからないものなのです。
このリズムとノリに静謐な文章。恋人たちを語るにはこれほどピッタリなコラボレーションはありません。とにかく「静謐とはこれです」と言わんばかりの小説。一度味わうと病みつきになること間違いなしです。
心に残った言葉・名言
ビジネスでは余人をもって代えがたい人物などいないのだよ。
わたしたちは生まれつき挫折や喪失を乗り越えようとする性質があるの。愛する人の死でさえね。
「恐怖には立ち向かわなければいかん。さもなければ、一生、克服できん」
岩本正恵さんの他作品
最後に
恋愛小説が好きな人、静謐な物語が読みたい人、将来アイスランドに住みたい人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。