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【ネタバレなし】小市民の青春を描いたシリーズ第一弾|米澤穂信さん『春期限定いちごタルト事件』 書評・感想文と心に残った言葉・名言

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ご覧いただきありがとうございます。

本と宴へようこそ。

管理者:宴
ところで、『名探偵コナンの登場人物で凄腕のスナイパー』と『いちご』って…あかいよね!

どうも、宴です。

いちごって甘酸っぱいですよね。でも、タイトルとは裏腹、その中身は甘酸っぱい青春など許してくれません。それはそれは痺れるような青春でした。

 

ということで、今回は米澤穂信さんの『春期限定いちごタルト事件』をご紹介させていただきます。

 

 

 

 

春期限定いちごタルト事件/米澤穂信

あらすじ

小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。(「BOOK」データベースより)

小市民度 /10点
ドキドキ /10点
感動 /10点
切なさ /10点
読みやすさ /10点
総評 /10点

 

書評・感想文

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小市民シリーズ第一弾

何かで注目されたい、目立ちたい、何者かになりたい。誰しもそんな願望があるかと思います。学生時代ならなおさら。いい青春時代を送りたいですしね。

 

ところが、小鳩君と小佐内さんは小市民を目指すといいます。何を言っているのでしょうか? でも、そこには二人にしかわからない理由がありました。

 

そんな二人の見え隠れする心の中に潜む闇にハラハラさせられる、まごうことなきミステリー小説。それが本作、小市民シリーズ第一弾『春期限定いちごタルト事件』という物語なのです。

 

小市民

そもそも小市民とは何なのか? この疑問こそが本作のおもしろいところなのです。

 

物語自体としては、日常にちょっとばかしスパイスを加えたような謎を解いていくわけでして、人が続々死ぬようなスリル満点な展開はありません。

 

なのにです。そこに小市民という概念と二人の中に潜む闇の部分が加わることで、はいおめでとうございます、スリルが誕生するのです。

 

小鳩君と小佐内さん

過去に探偵めいたことをして痛い目にあった小鳩君の『解きたい』という気持ち。でも小市民なら解かないよね、という葛藤。それはとんでもなくもどかしく、心のざわめきが収まりません。一体過去に何があったのでしょう…? 恥ずかしがり屋なのか何なのか、小鳩君は全然明かす気がないようなので、もどかしさは増幅していくばかりです。

 

そして、問題の小佐内さん。彼女にまとわりつく嫌な予感は読み手の心を煽ります。一体何をしでかすのか。彼女への興味が尽きません。いや、変な意味じゃないです、本当に。

 

不思議な関係の2人がこの先どうなってしまうのか。好奇心が沸騰して吹きこぼれまくりのシリーズ第一弾でした。少し変わり種の青春、小市民シリーズの幕開けです。

 

 

心に残った言葉・名言

日々の平穏と安定のため、ぼくと小佐内さんは断固として小市民なのだ。もっとも、その表れ方はちょっと違う。小佐内さんは隠れる。ぼくは、笑って誤魔化す。

管理者:宴
小市民にもいろんな人がいるんだね。 

 

僕は高尚ってのがよくわからない。高尚と低俗とで常に低俗の方が多いなら、それってただ数の多寡を論じているだけじゃないのかって思えてならないんです。

管理者:宴
みんな高尚になれば逆転するね! 

 

苦笑いが浮かんで、それでぼくの憂鬱は随分収まった。笑うことはいいことだと聞いていたけれど、その種類は問われないらしい。

管理者:宴
じゃあずっと苦笑いしてよっと。 

 

諦念と儀礼的無関心を自分の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を。

管理者:宴
かっこいいけど、結局小市民! 

 

米澤穂信さんの他作品

 

 

最後に

管理者:宴
今回は米澤穂信さんの『春期限定いちごタルト事件』を紹介してきました。
 

青春ミステリーを読みたい人、いちごタルトが好きな人、小市民になりたい人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
またのお越しをお待ちしております。