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本と宴へようこそ。
どうも、宴です。
緊急事態宣言って本当に大変でしたね。でも、ここに一冊の本が生まれました。コロナ禍だけには縛られず自由なで壮大な発想が駆け巡る緊急事態下の物語です。
ということで、今回は金原ひとみさん、真藤順丈さん、東山彰良さん、尾崎世界観さん、MINEさんの『緊急事態下の物語』をご紹介させていただきます。
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緊急事態下の物語
ただ街を映すだけのライブカメラは、嘘のない「正しい」世界…。パンデミック下の孤独な者たちの群像劇。(『ただしみ』)。コロナ禍の新たな日常を送る、育ち盛りの中学生・玲奈のもとに、ある日突然おとずれた「濃厚接触」の知らせ(『腹を空かせた勇者ども』)。顔の見えない「ジェントルマン」の声に従い、反ユートピアの物語を紡ぐ男がくわだてる、脱ディストピアの叛乱(『オキシジェン』)。感染症を世界へ巻き散らすことを計画する組織“臆病なテロリスト、臆病な殺人者”に志願したわたしが出会った、究極の人工美を備えた女・アイラ(『MINE』)。死者は活発に人肉を求め、生者が死んだように隠れて暮らす世界で、ぼくは飼い猫を探す旅に出た(『天国という名の猫を探して悪魔と出会う話』)。最前線の作家たちが贈るもうひとつのパンデミック。(「BOOK」データベースより)
緊急事態 | 10/10点 |
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ドキドキ | 8/10点 |
感動 | 6/10点 |
切なさ | 7/10点 |
読みやすさ | 8/10点 |
総評 | 8/10点 |
書評・感想文
会心の一撃
コロナ禍って本当に大変です。とくに緊急事態宣言を出された時は本当に辛い想いをした方々がたくさんいらっしゃるかと思います。今もその影響は消えていないのかもしれませんが。
そんな緊急事態下をテーマにしたアンソロジーがあります。それが『緊急事態下の物語』。筆者は金原ひとみさん、真藤順丈さん、東山彰良さん、尾崎世界観さん、MINEさんと素晴らしき作家さんたちが名を連ねます。
コロナ禍の域を超えて紡がれる『緊急事態下』をテーマに広げた世界。僕にとってそれは会心の一撃でした。
緊急事態下
緊急事態下、と聞くとやはりコロナ禍を想像するかと思います。僕もそうでした。ところが、本作はあくまでも『緊急事態下』の物語。コロナ禍が描かれる作品もありますが、コロナ禍の域を超えた壮大な『緊急事態下』が描かれる作品もあるのです。
コロナ禍の緊急事態が頭の中にある僕は、緊急事態と言えばコロナだと思い込んでいます。ところが、「あれ、この感染症、コロナじゃないぞ…」と驚いたり、「緊急事態だとは思うけど、一体どういう状況?」と惑ったり、頭の中が緊急事態。でも、そこにあるのは不安や恐怖だけではなく、潔いワクワクさんもいらっしゃいます。
本当に作家さんの発想というのはすごいですね。恐れ入るばかりです。
その中でも瀬戸夏子さんの『MINE』という物語には心をさらわれました。心臓にぐさりと刺さる言葉たちで展開されているのですが、不思議とどこか抽象的な世界観。きっちりと形成されていないおぼろげな胸騒ぎで、ビッグバンドが結成されてもおかしくありません。
心に響く一冊
いろんな緊急事態下が描かれた本作。きっとコロナ禍がなければ、緊急事態宣言が発令されなければ出来なかったであろう一冊かもしれません。そう考えると複雑な気持ちにもなりますが、コロナ禍の今だからこそ、余計に心に響く一冊でもあります。
いろんな緊急事態下をぜひともご賞味ください。
心に残った言葉・名言
お母さんはお父さんとお姉ちゃんに対する怒りをまとめて潰して団子にして私に「勉強しろ」って言葉にして投げつけてるんだよまあ私そんなん美味しく食っちゃうけどね
差別された人がそれを話せるようになるまでは時間がかかる
都会にはいろんな価値観があるの、といつか言っていた。それで救われる人もいるけど、でもけっきょく頑なな小さな村がたくさんあるだけなのよ。
「悪さをすればするほど、世界は単純になってくれるんだ」
今回のウイルスは当初生物兵器だという噂もあったが本当ならよくできている。だって地雷みたいだ。どこにあるかわからない、踏んだら死ぬかもしれない、死なないかもしれない、自分は死なないけれど自分を助けようとした相手が死んでしまうかもしれない。
作家さんたちの他作品
最後に
緊急事態下の物語が読みたい人、コロナ禍でまいっている人、今現在プライベートが緊急事態下の人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。