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【ネタバレなし】寂しさに胸を打たれるホテルの物語|桜木紫乃さん『ホテルローヤル』 書評・感想文と心に残った言葉・名言

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ご覧いただきありがとうございます。

本と宴へようこそ。

管理者:宴
ところで、『家のチャイムが鳴って、相手をよく確かめもせずにドアを開けたら警察だった時』と『ホテル』って…とまるよね!
 

どうも、宴です。

今や世の中にはチャラチャラしたラブホテルで溢れています。そんなラブホテルを僕は求めていません。もっと寂れていて哀愁漂うラブホテルがいいのです。ホテルローヤルのような。

 

ということで、今回は桜木紫乃さんの『ホテルローヤル』をご紹介させていただきます。

 

 

 

 

ホテルローヤル/桜木紫乃

あらすじ

北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開くー。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昴揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。第149回直木賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

寂しさ 10/10点
ドキドキ /10点
感動 /10点
切なさ /10点
読みやすさ /10点
総評 /10点

 

書評・感想文

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あのお城みたいな建物は何?

近年ではラブホテルも進化を遂げているようで、大分ライトな存在として我々善良な市民の憩いの場となっています。設備も充実しているようで、ちょっとしたビジネスホテルよりも優雅なひと時が送れそうです。

 

ですが、一昔前のラブホテルというのは、何と言いますか触れてはいけないような後ろめたさと侘しさ…「お母さん、あのお城みたいな建物は何?」と気軽に聞いてはいけないような雰囲気が漂っていました。お母さんも大変ですね。

 

未来から過去へ

本作に登場するラブホテル『ホテルローヤル』は、いわゆるそういう後ろめたい系のラブホテルです。僕は田舎育ちなのですが、妙な場所に少々豪勢なホテルらしきものがちらほら見受けられました。営業しているようには見えませんでしたが…

 

思えばあれは、一旗あげてやろうと意気込んだ誰かさんの忘れ形見だったのでしょう。ホテルローヤルもそうでした。物語は錆びれたホテルローヤルからはじまり、過去へと向かっていきます。最大限に寂しさを演出した構成は、すでにわかりきっている未来への物悲しさを抱かせます。

 

寂しさに酔いたい

ホテルローヤルに関わる人々の物語も、もちろん哀しみに埋もれています。悲しい、ではなく、哀しいという字がぴったり合います。他作品でもそうですが、桜木紫乃さんは、寂しくて苦みいっぱいの寂れた雰囲気を作り出すのが卓越しています。噛みしめるごとに溢れ出る切なさに溺死するのではないかと不安になりました。

 

溺れる寸前の恍惚とした寂しさに酔いたいのであれば、本作はおすすめです。今の令和という時代だからこそ、ついつい欲してしまう寂しさがここにあります。

 

 

心に残った言葉・名言

「死ぬまでいいひとでいられる能力は、そのひとに与えられた徳ですもんね」

管理者:宴
死ぬ直前で悪い人になられたらびっくりするよね! 

 

「死んだものに手を合わせたって、生き返るわけじゃなし」

管理者:宴
生き返られたら逆に怖いです。 

 

「せんせぇに見えちゃってる将来と、あたしが昨日今日で見ちゃった将来って、絶対的に違うものだと思う」

管理者:宴
未来は人の数だけあるのです。 

 

ホテル屋は、客室を自分で使ったらおしまいなの。

管理者:宴
ホテル屋のプライドですね。 

 

『いいかミコ、なにがあっても働け。一生懸命に体動かしてる人間には誰もなにも言わねぇもんだ。聞きたくねえことには耳ふさげ。働いていればよく眠れるし、朝になりゃみんな忘れてる』

管理者:宴
働くことが一番!
 

 

桜木紫乃さんの他作品

 

 

最後に

管理者:宴
今回は桜木紫乃さんの『ホテルローヤル』を紹介してきました。
 

寂しさに酔いしれたい人、ラブホテルが好きな人、ラブホテルを経営していたけれど潰れちゃった人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
またのお越しをお待ちしております。