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【ネタバレなし】辻村深月さん『青空と逃げる』 書評・感想文と心に残った言葉・名言|母と子の逃避行の果ては…?

ご覧いただきありがとうございます。

本と宴へようこそ。

管理者:宴
ところで、『「違うんです!」と否定はしているものの、明らかに怪しい人の顔色』と『空』って…青いよね!
 

どうも、宴です。

どんな辛いことがあっても、楽しいことがあっても、上を見上げるとそこには青空がいてくれます。たとえ、逃げなければいけない状況に追い込まれたって、青空と一緒なら何も怖くない気がしますね。

 

ということで、今回は辻村深月さんの『青空と逃げる』をご紹介させていただきます。

 

 

 

 

青空と逃げる/辻村深月

あらすじ

深夜、夫が交通事故に遭った。病院に駆けつけた早苗と息子の力は、そこで彼が誰の運転する車に乗っていたかを知らされる…。夫は何も語らぬまま、知らぬ間に退院し失踪。残された早苗と力に悪意と追及が押し寄せ、追い詰められた二人は東京を飛び出した。高知、兵庫、大分、仙台ー。壊れてしまった家族がたどりつく場所は。(「BOOK」データベースより)

苦しさ 10/10点
ドキドキ /10点
感動 /10点
切なさ /10点
読みやすさ /10点
総評 /10点

 

書評・感想文

逃げること

逃げるは恥だが役に立つ。という言葉があります。何を言っているのだ、武士が敵前逃亡などできるものか、恥知らずめ! と今まではぷりぷりぷんぷんしていたのですが、よくよく考えてみると僕は武士でもなければ、逃げることは恥でも何でもなかったのです。

 

それは意味のあることであり、必要なことでもあったのです。

 

母と子の逃避行

本作『青空と逃げる』は母と子の逃避行を描いた物語です。場所を転々としながらも生きていく二人の成長。そして、深まる家族の絆には熱いものが込み上げてきます。

 

もちろん逃避行には理由があるのですが、そこには謎が隠されています。小出しに現れる謎は読み手を撹乱し、ワクワクさせたり不安にさせたりもしますが、本作がただの逃避行の物語ではなく、家族の物語なのだとそっと教えてもくれます。

 

辻村深月さんが作中にばら撒く伏線は、いつも粋で我々を嬉しい驚きに導いてくれます。ありがたや。

 

砂かけさん

また、母と子の逃避行の場所それぞれの暮らしは、まるで旅行記を読んでいるかのような趣もあります。

 

印象に残っているのは『砂かけさん』。お客さんを寝かせ、周りにある砂をかけてもらい、「ああ、気持ちいい」となるリラクゼーションです。その砂をかけるのが『砂かけさん』なのです。

 

ただ砂をかけるだけだろうに。と甘く見てはいけません。認定試験を受けないとなることができない砂かけマイスターという勲章もあるぐらい技術が必要な職業なのです。気になる方は別府へ行ってみてください。

 

旅行記と家族の物語が合わさった本作。読了後、僕は青空を見上げてみました。すると、いつもより感慨深い気持ちがわいてきました。青空が一緒なら逃げることも悪くない気がします。

 

そんな壮大な勇気をもらった一冊でありました。

 

 

心に残った言葉・名言

「旦那さんの責任はご家族の責任だとは思いませんか」

管理者:宴
連帯責任制度、取り入れてないんで!
 

 

失われた"きのう"を辿り、"あした"の思い出を新たに作る。この写真館で撮られる新しい写真は、"あした"を向く覚悟をした人たちの背中を押すものなのかもしれない。

管理者:宴
背中とシャッターを押す写真館! 

 

子どもだから何もできないかもしれない。だけど、子どもだからこそ、助けを求めていいんだ。世の中の大人の全員が助けてくれるわけじゃないかもしれない。だけど、誰か一人が助けてくれなくても、次に声をかける別の一人は、きっと助けてくれる。

管理者:宴
優しい人はきっといるよ! 

 

辻村深月さんの他作品

 

 

最後に

管理者:宴
今回は辻村深月さんの『青空と逃げる』を紹介してきました。
 

急遽逃避行をしなければならなくなった人、家族が大好きな人、砂かけマイスターの人にはおすすめなので、ぜひ読んでみてね!

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
またのお越しをお待ちしております。