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PON!と宴へようこそ。

どうも、老人と海で泳ぎたい宴です。
偉大なものに囲まれた生活っていいですよね、知らんけど。
さて、そんなわけで今回は『読書中、「何読んでるの?」って訊かれた時に読んでいた本がヘミングウェイだった時の対処法』をお届けいたします。
ヘミングウェイの危険性
みなさんはヘミングウェイさんの小説を読んだことがありますか?
実は僕は一冊しか読んだことがありません。
読書中毒者失格でしょうか。
その一冊は『老人と海』という小説です。
壮大な自然との白熱する戦いを描かれていて、息を呑む暇もなく読了してしまった記憶があるのですが…
自宅で読みはじめて、面白すぎたので電車や職場でも読もうと思い、かばんに入れた瞬間、僕はこう思ってしまったのです。
何読んでるの? って訊かれたらどうしよう…?
こいつヘミングウェイ読んでる…! と勘づかれたら僕はどうなってしまうのでしょうか…?
適当な浮浪者
みなさんにはわかりますか?
こいつヘミングウェイを読んでいると思われることがどれほど恐ろしいことなのか。
僕は怖くてたまらないのです。
というのも、僕は自分のブランディングとして、『適当に生きていて何も考えていない浮浪者』というキャラクターを設定しています。
毎日昼食を食べながら、「えへえへ、ごはん、おいしい」の一言を忘れたことはありません。
仕事で失敗した時も、「すまねぇだ、おれ、おれ…」の一言を欠かしたことがありません。
そんな奴が、ヘミングウェイを読んでいたとしたらどうなることでしょう。
そんなバカな、ヘミングウェイだって…!
あいつがヘミングウェイを読んでいるわけがないだろ!?
だってあいつは…あいつはぁ!!
はっ! まさかあいつ浮浪者ではないのか…?
適当に見えていたけれど、全て計算された適当だったのでは…?
頭の中は『自由とは何か』をテーマとした論文で埋め尽くされているのでは…?
周りのみんなはパニックに陥ること確実です。
これはまずい…
自宅以外では読むわけにはいかない…
読書中、「何読んでるの?」って訊かれた時に読んでいた本がヘミングウェイだった時の対処法
でも、読みたくて仕方がない!
どうすればいいんだぁ。
自由にヘミングウェイを読んでもいい社会は、僕に訪れはしないのか…!
くそぉ…
僕は打ちひしがれました。
『老人と海』の老人はカジキマグロとの戦いに精魂を尽くしましたが、僕は何もしなくても精魂がつきました。
もうダメだ…
いや、待てよ…
そうだ!
あらかじめ対策を考えておけばいいのです。
何読んでるの? と言われた時の対処法を。
対処法①ニタァ
何読んでるの?
ニタァ…
これならば僕がヘミングウェイを読んでいると知られることはないでしょうし、これ以上深く追求されることはないでしょう。
効果的な対処法だと思います。
ただひとつだけ問題があります。
これ、めちゃくちゃ気持ち悪くないですか?
え、僕の気のせいですか?
いや、絶対気持ち悪いと思います。
狂気も感じますし、もう話すのすら不可能なんだと思われてしまうかもしれません。
引き続き浮浪者だとは思われてもいいのですが、引かれたくはないのです。
このボーダーラインは絶対に守り抜きたいのです。
もう少し良さげな対処法がきっとあるはずです。
考えてみましょう。
対処法②ヘブローミンドゥグォウェイ!
何読んでるの?
ヘブローミンドゥグォウェイ!
これは大変伝わりにくい対処法のひとつなのですが、簡単に言うと『ヘミングウェイ』と『ブロードウェイ』を混ぜてみました。
ちなみにブロードウェイとは、アメリカニューヨークの通りの名前です。
そして、2つの言葉を合わせた『ヘブローミンドゥグォウェイ』という世にも奇妙な呪いのような言葉を世にも早口で言います。
すると完成、『ヘブローミンドゥグォウェイ!』
でも、まぁ、実際に言ってみて気づいたのですが、100%の確率で訊き返されることでしょう。
だって、何言ってるかわからないですからね。
ブロードウェイ感を強めにしても、「ん?」ってなるでしょうね。
仮にほとんど「ブロードウェイ」と言ってしまったとしても、「何読んでるの?」「ブロードウェイ」という回答も異次元です。
それなのに、「何読んでるの?」「ヘブローミンドゥグォウェイ!」ってなったらもう異次元どころの騒ぎではありません。
カオスがはじまります。
しかも、おそらく訊き返されるわけですよ。
「え、何?」って。
で、こちらも「ヘブローミンドゥグォウェイ!」って言い返すわけですよ。
そうなってしまってはもう取り返しがつきません。
カオスなんてものでは計り知れない何かに場が支配されてしまうことでしょう。
…もっと冴えた対処法はないのでしょうか?
対処法③お前の知らない物語さ…
何読んでるの?
お前の知らない物語さ…
………
…うーん
………
あ、ダメですね、これは。
いろんな角度から考えてみましたけど、これは「ニタァ」とタメを張りますわ。
「お前の知らない物語さ…ニタァ」とかいう合わせ技をしてしまった日にはもう僕はこの世にはいないかもしれませんね。
風に乗って、誰も知らない物語の主人公として別世界に旅立っていることでしょうね…
ああ、ちくしょう、この世界で生きていきたいよ…
もっとマシな対処法はないのでしょうか?
対処法④俺はヘミングウェイを読んでいるけれど、お前は空気を読んだ方がいいよ
何読んでるの?
俺はヘミングウェイを読んでいるけれど、お前は空気を読んだ方がいいよ
この方法は今までの対処法とはレベルが違います。
ドラクエで言えば、キングスライムを1人で倒せるかどうかぐらいの違いです。
というのも、まず俺が読んでいるのはヘミングウェイなんだ、と宣言しているのです。
一見、もう諦めたんだな、と思われるかもしれませんが、僕はヘミングウェイ隠しを諦めてはいません。
むしろ更なる隠し技を使って、僕はヘミングウェイを抹殺しようとしているのです。
そうなのです。
その後に、お前は空気を読んだ方がいいよ、と言っているのです。
はい、ケンカです。
ケンカを売ることによって、相手も周りもヘミングウェイどころではなくしてしまおう、という魂胆です。
やばいよね。
この発想はもうサイコパスだよね。
でも、この対処法には弱点があります。
ケンカの後、「何でこうなった?」と偉い人に訊かれた際、ヘミングウェイの名前を出す状況になる可能性があるのです。
もちろん頑なに口を閉ざす方法もあります。
が、偉い人というのはそれなりの拷問をするものです。
それに耐えることができるか…
僕には自信がありません。
…もっと保守的で素敵な対処法はないのでしょうか?
対処法⑤ジョージ・オーウェル
何読んでるの?
ジョージ・オーウェル
思いっきり嘘をついてみました。
ちなみにジョージ・オーウェルさんは『人間農場』や『1984年』という名作を残した偉大な作家さんです。
何となくですが、ヘミングウェイは言うのが憚られるけど、ジョージ・オーウェルは大丈夫な気がするのです。
この対処法の問題点としましては、嘘がバレてはいけないこと。
なので、絶対に本のタイトルは言えませんし、表紙を見られても終わりです。
本を隠し、何だったらうずくまりながら「…ジョージ・オーウェル」というのが安全かもしれません。
ああ、良かった、いい方法が見つかりましたね。
………
…でも、本当にこれでいいのでしょうか?
僕は…本当は嘘をつきたくなんかありません。
だって、ヘミングウェイにも、ジョージ・オーウェルにも失礼じゃないですか?
…嘘をつかずに済む良い対処法はないものなのでしょうか?
対処法⑥ない
ありませんでした。
諦めてヘミングウェイを読んでいると言います。
すいませんでした。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。
