ご覧いただきありがとうございます。
どうも、宴です。

今回はそんな物語を紹介させていただきます。
どうぞごゆるりとお楽しみください。
信仰
なあ、俺と、新しくカルト始めない?現実こそ正義、好きな言葉は「原価いくら?」の私は、カルト商法を始めようと誘われてー。信じることの危うさと切実さに痺れる8篇。(「BOOK」データベースより)

壊される当たり前
村田沙耶香さんは『コンビニ人間』や『生命式』という作品で、我々読み手にとんでもない気づきを与えてくれました。
それは当たり前にそうだと思っていたことが、当たり前ではないかもしれない、ということです。
コンビニ人間では普通。
生命式では命。
ずっと当たり前に思っていたことを叩き潰されるかのように覆される衝撃に、僕は慄きました。
でも、ショックとかではなくてむしろ「ありがとう、気づかせてくれて!」という清々しい気持ちになりました。
このまま生きていたら危険だったかもしれない、とすら思いました。
そして、本作信仰。
村田沙耶香さんはまた我々の当たり前をぶち壊していきます。
どうぞ、みなさん。
思う存分に壊されてしまってください。
何がおかしいのか?
あれはおかしい。
これはおかしい。
世の中にはおかしい、と思うことが多々あります。
でも、そのおかしいは一体誰にとっておかしいのでしょうか?
そして、本当におかしいのでしょうか?
村田沙耶香さんは本作で、読み手を異常な世界に連れていきます。
その段階で村田沙耶香さんは、クレイジーだなぁ、という感想が漏れることでしょう。
さすが、村田沙耶香さん、そこに憧れる、痺れる、と。
ところが、僕たちは目の当たりにするのです。
異常が反転する瞬間を。
表題作、信仰。
みなさん、信仰宗教やカルトには怪しいイメージがありませんか?
でも、はたして本当に怪しいのでしょうか…?
今、僕の心の中では、晴れていて明るいのに、なぜか靄がかかっているような異常天候がおきています。
クレイジーとは
お前、おかしいよ、クレイジーだよ。
と言われると僕は、へへ…とついニヤけてしまいます。
これは僕が本当の意味でおかしい人間なのではなく、「おかしい」「クレイジー」「異常」を、褒め言葉だと捉えているからです。
とくに小説は、異常なほどおもしろかったりする面があります。
たからこそ、僕も村田沙耶香さんをクレイジーだ! と讃えていたのですが…
それにより傷つく人がいる可能性を考えてはいませんでした。
僕は、みんながみんな、僕と同じ気持ちであり、感覚なのだと信じていたのです。
なんてことでしょうか…
と、気づかせてくれるエッセイも本作には収録されています。
全8篇の短編集。
たくさんのハッとすること、気づきをくれる一冊です。
心してお読みください。
本作がおすすめな人
本作がおすすめなのはこんな方々です。
コンビニ人間が好きな人
村田紗耶香さんの代表作『コンビニ人間』は多くの人に読まれました。
コンビニ人間がハマったという人は、本作もおすすめです。
ぜひ極上のモヤモヤを堪能してください。
クレイジーな小説を読みたい人
本作はクレイジーな部類に入る小説です。
そして、クレイジーとは何かを考えさせられる小説でもあります。
なのでクレイジーな小説を読みたい人、もしくはクレイジーな人におすすめです。
自分が普通だと思っている人
心に残った言葉・名言
始まりはカルトだって、それで世界中の人が救われたら、それは真実になるわ
現実こそ、あなたの洗脳です。それこそがあなたが一生を共にする美しく完全な幻覚なのです。それがあなたの宿命なのです。これが、あなたの心のタトゥーです
目には見えない大量の『生存率』っていうウィルスが、本当のこの星の支配者なの。
総合評価
今回は村田 沙耶香さんの『信仰』を紹介しました。
村田沙耶香(ムラタサヤカ) 1979年千葉県生まれ。2003年「授乳」で群像新人文学賞優秀作、09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した(「BOOK」データベースより)
物語 | 7/10点 |
---|---|
登場人物 | 8/10点 |
世界観 | 10/10点 |
構成 | 7/10点 |
文章 | 9/10点 |
総評 | 40/50点 |
ぜひ読んでみてくださいね!
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。
